解説
モーニングアフターピルなどとも言う。
コンドームが破れたなど、避妊に失敗した際に妊娠を防ぐために緊急的に服用するホルモン剤。
通常の避妊薬が「低容量ピル」と呼ばれるのに対しこちらは「中容量ピル」と呼ばれる。
1回の服用で強制的に月経を起こし、排卵と受精卵の着床の両方を抑制することで妊娠を予防する。
2020年現在、日本においては、諸外国と異なり薬局などで市販されていない。処方には産婦人科医の診断が必要である。商品名はプラノバール、ノルレボ等。
注意
受精卵の着床が完了してからでは効果がないため、着床完了前の服用が何より大事である。よって避妊に失敗したら極力早く受診する事が大事。深夜や休日などで病院が開いていないなどの場合もあるが、それでも72時間以内には処方してもらうことが大事である。子宮外妊娠の場合もまた効果が無い。そして服用は医師の指示をしっかり守り、飲み忘れないことが大事。
また吐き気などの副作用が通常のピルよりもきついため、男性側がアフターピルがあるからとこれを理由に彼女や妻に性交を求めるのは言語道断である。また喫煙者では心臓に悪影響が出る危険性がある。
基本は性行為感染症防止の観点からもコンドームが破れないよう正しく着用することを第一とし、ピル使用も通常避妊用の低容量ピル使用を優先すべきであり、「付けていても破れた」「強姦被害等つけてもらえる交渉の余地がない状況だった」等やむを得ない状況下の保険と考えるべきである。アフターピルは5,000〜2万円と値段も決して安くはないため、コンドーム着用の方が安上がりである。
あくまでも緊急用であることを忘れない事。
現状
日本においては、アフターピルは入手のための手続きが煩雑であり、性教育で明示されることもない。かといって知人・友人から譲り受けると薬剤としての位置づけから法律違反となってしまう。
このあおりを受けやすいのが10台の少女などの社会的弱者である。性行為の強要やレイプ、合意上であってもコンドーム着用拒否に突然遭った場合、72時間のうちにあまりに多くのことをこなさなくてはならないことになる。
一般の薬局で入手できる場合、この困難は軽減されることになるのだが……
アフターピルの今後について左右する立場にある厚生労働省や彼らに呼ばれる立場にある有識者の間には男性中心主義、女性軽視が蔓延っており、アフターピルの市販への道筋はまだ開かれているとは言えない(「若い女性は知識がない」「若い女性が悪用するかも」。アフターピルのオンライン診療検討会で出た意見【検討会の経緯まとめ】)。
反対論は女性のほうにのみ性教育の必要性を説いたり、転売ヤーという一部のために全体の利益を損なう事を辞さない、という「問題の先送りのための理屈」しか無い。
いっぽう、日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会に所属する559人に対してSNS上で行われたアンケートでは6割の医師が市販化とオンライン処方の両方に賛成している(アフターピル(緊急避妊薬)のオンライン処方 産婦人科医の6割超が「望ましい」)。
2020年10月7日、日本政府は医師の処方箋なしで、薬局で購入できるようにするという方針を決定した。2021年に導入予定(緊急避妊薬、薬局で購入可能に 来年にも、望まない妊娠防ぐ)。
諸外国での状況
2020年10月現在、86カ国において、医師の処方箋なしで購入できる。
アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア、カナダ、スウェーデン、ドイツ、フランス、ではアフターピルは市販されている。
販売価格はアメリカでの1500~5000円、ドイツでは2000円程度。カナダで1000~2500円ほど(まだ男子任せ?女子ももっと自分で避妊したいのに日本では認められていないのはなぜ?)。
スウェーデン、イギリス、フランス、ドイツなどにおいて、医療機関において、未成年を対象に無料で処方される。
アジアではタイ王国とベトナムでアフターピルが市販されている。
- フランス
性交渉後、72時間~120時間のあいだ有効なアフターピルが、未成年や保険未加入者の場合、無料で入手できる。保険加入者の場合保、処方箋がれば定額の35パーセントの価格で入手できる(フランスの避妊は「女性のピル使用」が大多数である深い理由)。