概要
原作は社会派推理小説の一種であり、鉄道ミステリーの変形種でもある。
クーデターを起こして右翼政権樹立を狙う自衛隊不穏分子と、それを秘密裏に鎮圧しようとする日本政府の攻防を描く。
原作ではタイトルの意味が明確にされることはなかったが、映画版では「劇中に登場する架空の交響曲」「クーデター作戦の名称」を意味している。
『新幹線大爆破』と同様内容が内容なだけに国鉄の撮影協力が得られず、自衛隊側も「自衛隊員がクーデターを起こす映画の撮影協力なぞできん」というスタンスだったので『戦国自衛隊』の撮影で使われた物を使用している。
なお、作者の小林久三は、欧米5ヶ国共同制作の鉄道パニック映画「カサンドラ・クロス」を参考にこの物語を作ったとのこと。
主な出演者
山本圭
高橋悦司
佐分利信
小沢栄太郎
余談
- 前述通り国鉄の協力を受けられなかったため、寝台特急さくらの外観セットには三菱大夕張鉄道の古い客車にハリボテをつけて14系客車に仕立て上げたものが使用された。よく見ると台車が当時さくらに使われていた14系客車の空気バネ台車ではなく、イコライザー式台車を装備している(外部リンク)。
- 映画のクライマックスシーンにてさくらを爆破してしまったことに対し、国鉄の怒りも大爆発。松竹ばかりか他の映画会社にまで「もうウチは映画の撮影に協力してやらん!」という通達を出してしまった。なお、この作品の元ネタ的存在の「カサンドラ・クロス」でも、スイス国鉄をヒールまがいの描写をしてしまったためにスイス国鉄がブチ切れ、結果その後一切映画の協力を行わなくなっている。
- 監督の山本薩夫は撮影に入ってから軍事専門家より「自衛隊員が一般人と一緒の列車で移動するのは行動の迅速性という問題からあり得ないことだ」と指摘されたが、物語の中心である寝台特急の乗っ取りを変えることが出来ないために非常に悩んだとか。
- 本作にて狂信的な軍国主義者のキャラを演じきった渡瀬恒彦の演技は非常に高く評価され、役者として一皮むけることに成功した。今では想像し辛いが、渡瀬はそれまでヤクザやチンピラといった役ばかりであった。
関連タグ
機動警察パトレイバー2theMovie-同様のモチーフを扱ったポリティカル・フィクション作品。本作の映画版のオマージュが存在する。