概要
CV:森川智之
とある魔術の禁書目録に登場する神の右席の魔術師。
神の右席の実質的なリーダーで、魔術師としての腕も相当なもの。一人称は俺様。
不完全な状態にあった自らの腕の完成を目的として、魔術サイドと科学サイドの争いである「第三次世界大戦」を引き起こした。
聖なる右
フィアンマは「聖なる右」という特殊な術式を使用する。
どんな邪法や悪法だろうが、問答無用で叩き潰し、悪魔の王を地獄の底へ縛り付け、1000年の安息を保障した右方の力。
非常に強力かつ不安定であり、彼の右肩から現れる歪な「第三の腕」は、本来のものではなく空中分解した姿。
この力は「倒すべき敵や試練や困難のレベルに合わせて、自動的に最適な出力を行う」性質があり、莫大な力を常に生み出し続けるだけの出力を、思った通りの結果を出すために適切に行使できる。
触れれば終わるから破壊力はいらない。振れば当たるから速度はいらない。
腕自体が莫大な出力と様々な力を持ち、目標に対する最適な力を自動で発揮するため、破壊力・速度・硬度・知能・筋力・間合い・人数・得物といった戦闘で勝利するための物がフィアンマには必要無い。
上条当麻曰くRPGで「倒すコマンド」が付いているようなデタラメな存在。
つまり、どんな相手にも右腕を振るだけで「勝てる」、戦闘において万能と呼べる能力。
付加価値としての力も高く、
水平方向で射線が通っていれば、どれだけ離れていようと、途中が空中だろうと、望む距離を瞬時に移動出来る、
前方のヴェントの女王艦隊の砲撃で傷一つ負わない、
30~40kmもある巨大な剣を行使することが可能など。
さらに、「十字教的な奇跡は大抵右手をもって行われる」という点から、多くの「十字教的超常現象を自在に行使することができる」。
人の枠に留まり“この世界で説明できる程度の力”の中では反則級と言えるだろう。
ただし、「最適な出力が出る」ということは「敵のレベルで出力が上下する」ということでもあり、力を引き出すには相応の「敵」が必要となる。
加えて、この「万能」と呼べる力すらも、先述の通り不完全な物である。
作中ではとある条件を揃えて『神上』という存在に至り、完成はしたのだが・・・。
神上
フィアンマの右腕の真の力であり、本来あるべき力。その力は凄絶の一言に尽きる。
作中で見せた出力だけでも惑星を破壊し、十字教のあらゆる神話を再現出来る程の力であった。
この『神上』と呼ばれる状態に至る為に、まず第三次世界大戦を引き起こし世界中の人々の「悪意」を表出させる。そして実際に天使を降ろした『サーシャ=クロイツェフ』という素体、『禁書目録』の10万3000冊の知識(霊装)、上条の『幻想殺し』を力の媒介として用いた。
『神上』へと至ったフィアンマは、幻想殺し(右腕)を切断して取り込んだ事で用済みとなった上条にその力を放つ。しかし、上条の切断された腕から現れた謎の力に切り払われた。
彼が上条に向けて放ったのは惑星を塵に変えるほどの力だが、上条の中から現れた謎の力は『神上』に至ったフィアンマすら圧倒する存在だった。
上条は自身の内に潜んでいた力を押し潰し、新たに幻想殺しを宿した右腕を再生させる。
対して、切断された右腕からは幻想殺しとしての機能は失われていった。
さらに作中の登場人物の様々な行動も関係して「悪意」が想定した量に達せず、フィアンマの力も急速に失われていく。
上条曰く、フィアンマが想定した世界中の「悪意」というドロドロとした負の燃料は、あくまで人の一面でしかなかった。「光」とも呼べる人の意思が「悪意」に打ち勝ったのである。
テレマ教との対比
アレイスター=クロウリー曰く、フィアンマの計画は自身の計画と近かった。
もっとも、クロウリー的にはフィアンマの到達点はかつて自身が提唱したテレマ教の思想において、十字教の支配下で神に隷属する「オシリスの時代(アイオーン)」でしかない。つまり未だ旧態依然とした古い枠に囚われていたらしい。
そのクロウリーが見据えていたのは「ホルスの時代(アイオーン)」、テレマの中心概念で人が真なる目覚めを果たして神となる時代であった。
学園都市は科学に擬態させた「テレマ僧院」。
クロウリーはある種の力が封入された小世界を上条当麻のためだけに用意し、上条の右腕、もしくは上条に潜む何かの力の成長を促していた
- ある種の力が封入された神殿を用意(ベツレヘムの星│学園都市=テレマ僧院)
- その中で右腕の力を精錬(聖なる右│幻想殺し、竜王の顎?)
- 位相の厚みを調整して世界を作り変える(天界│既存宗教に無い新たな位相?)
なお、フィアンマのミカエルの力と違って「幻想殺し」「神浄」「右手」はオシリスのアイオーンでは到底説明できない代物らしい。
この設定が判明してから上条=ハディート説がより強固なものとなったが果たして…。
その後
上条との戦闘に敗北した後、落下していくベツレヘムの星で、残る上条にコンテナに乗せられ脱出。その際、フィアンマが救おうとした広い世界を自分の目で確かめてみろ、と説かれる。
しかし雪山で学園都市の生命維持装置の中にいるはずのアレイスター=クロウリーと遭遇し、右腕を切断される。
いくつか言葉を交わした後、「あの男(上条)が命を懸けて救った世界を、これ以上踏みにじらせる訳にはいかない」と、勝利など不可能な状況を理解した上でクロウリーと交戦する。もはや誰もこのフィアンマを敵とは思えなかっただろう。
結果は敗北。吹雪の中で瀕死の状況に置かれるが、オッレルスとシルビアによって救助される。
新約4巻にてオッレルスと共に再登場。彼と共に『魔神』オティヌスと対峙し、結果的に上条を守る事となった。右腕は切断されたまま、その力は不安定な状態に戻っているようだ。その後もオッレルスと裏で暗躍している様子。
新約8巻ラストでオッレルスと共にオティヌス相手に妖精化の術式を打ち込むが、それが決定打となってオティヌスを完全な魔神に昇華させてしまう。皮肉にもオティヌスの思惑を理解しきれなかった彼らの行為が「世界」を消滅へと導いてしまった。
新約13巻では魔神「僧正」に追われていた上条を助ける為に介入。双方とも大幅に弱体化しているとはいえ、元々の力量に差がありすぎたのか一瞬で倒され、病院送りとなってしまう。
余談
作中でフィアンマが使用した空中要塞「ベツレヘムの星」は、高度一万メートルの上空に浮かび、半径四十キロを超える。元ネタは、イエスの誕生に纏わる伝承に登場する星。イエス・キリストがユダヤのベツレヘムで生まれた時、夜空に誰も見たことがない星が出現した。三人の賢者達はその星に向かって旅をし、たどり着いた場所でイエスと出会ったという。また、クリスマスツリーの天辺に飾るあの星はベツレヘムの星を象ったものとされている。