概要
2020年4月17日から『暁~小説投稿サイト~』で連載がスタートした『ロックマンZX』を原作とした二次創作小説。
作者はかつて『ロックマンX~朱の戦士~』の作者であるsetuna氏。
本作は前作とは違い、転生ネタではなくZXシリーズの隠し要素を原作メインに加えたようなものとなっており、ストーリーはエール編を主体においている。
最終回は初の試みとしてトゥルーエンドとバッドエンドの二つが用意され、バッドエンドに関してはロックマンDASHに繋がるように作られている。
明言はされていないがおそらく、「ロックマンゼロ&ゼクスダブルヒーローコレクション」の発売を記念して書かれた作品だと思われる。
ストーリー
人と機械。
相容れぬ二つの命が生きる平和な世界。
それはかつて、一人の科学者が望み続けた理想郷。
そしてそれは英雄の帰りを待ち続けた少女の願い。
人と機械の戦争から数百年後、今でも絶えないイレギュラーの出現と襲撃によって家族を失った二人の少年と少女。
今日も運び屋ジルウェ・エクスプレスで働く二人に依頼が来てそれをこなしていたのだが…運命の悪戯か、本来の道とは違う物語。
登場人物
主人公側
メイン主人公。ライブメタル「モデルX」のロックマン。10年前に親を失い、その後はプロローグにおいて幼馴染のヴァンを目の前で失った過去を持っている。後にジルウェからモデルZを託され、「モデルZX」へとダブルロックオンできるようになる。戦闘力に関してはまだまだ発展途上だが、成長が著しく単独でもフォルスロイドや復活したイレギュラーと戦えるくらいになった。大食いの描写がされているが、ZXのサブクエストのキノコで食いしん坊を自称していたりする。
ZX編終盤では、モデルOに意識を取り込まれ暴走するヴァンと激闘を繰り広げ、人々のエネルギーを受けたライブメタルの力でモデルZXのオーバードライブを発動して反撃、全てのライブメタルのエネルギーを集束させたモデルXのダブルチャージバスターでヴァンを倒して救出し、最後にジルウェに自分の想いを伝えた。
ZXA編では、モデルX、モデルZ以外のライブメタルを盗まれるという大失態を犯す。初対面であるアッシュとグレイに対しては最初は敵として挑むものの途中で合流したヴァンの説明で誤解を解く。その後は、彼と並ぶ先輩として手を貸し、マスター・アルバートにと戦うことになる。
戦いを終えた後は、ジルウェを尻に敷きながらジルウェ・エクスプレスを共に営んでいる。
ヴァンと比べて出番は少ないが実力は主人公ということもあり、四天王とも互角以上の勝負をしている。一応言っておくがモデルZの死ぬ死ぬ詐欺は起こっていない。
プロローグでエールと共にイレギュラーに襲われた際に行方不明になっていたが、後に生存していたことが判明、エリアBで謎のロックマンとしてエールの目の前に現れる。ライブメタルの存在はセルパン達も把握しておらず、その姿はかつての彼に似ているがプレリー曰く「彼ではない」。
エリアEにてエールと本格的に再会し、フォルスロイド・ハイボルトと復活したイレギュラー・ペガソルタとの戦闘後に気絶してしまい、その後はガーディアンと組むことになった。モデルOに取り憑かれているために日常生活を送ることが難しかったが、モデルXの力で鎮静化している。
ところがパープリル戦で強い殺意によるオーバードライブ発動が引き金となり、徐々にモデルXの抑制が意味を成さない状態となっていき、モデルOの意識の表面化は本人ですら違和感を感じないほどに自然と出ることもあり、途中で何とか意識を浮上させたことで回避したもののプレリーを殺しかけたことをきっかけに自然と仲間から多少の距離を取って接することになる。最終決戦では何とか意識を繋ぎ止めた状態でセルパンに挑んだものの、途中でモデルVに負のエネルギーを吸収され、更に意識を攻撃を受けたことで失いかけたことでモデルOの意識が完全浮上。狂気的なまでの好戦欲と破壊衝動に支配され、セルパンを圧倒、モデルVのエネルギー吸収すら物ともせずに本体と一体化したセルパンを相手にしても圧倒した。
後にエールと交戦し、複数のライブメタルを無茶をしながら駆使して戦うエールに押されるが、オーラが通常より肥大化した真のオーバードライブを発動して形勢逆転するが、全てのライブメタルと人々の正のエネルギーでパワーアップし、前代未聞のモデルZXのオーバードライブを発動したエールと激戦を繰り広げるが、ヴァンを助けたい一心で挑んだエールの勇気による猛攻でとうとう倒され、人々の正のエネルギーを受けたモデルXの力の上限が跳ね上がったことでモデルOの支配から解放された。
セルパンカンパニー崩壊後は、プロメテたちの言う『あの男』を引き摺り出すためにイレギュラー大量発生の現場に赴いてイレギュラーを狩りつつ、モデルVの破壊する旅に出る。
ZXA編では、本編主人公であるアッシュとグレイの良き先輩として活躍する。こちらではバランスブレイカー的存在として描かれ、四天王を相手に単独で圧倒し、他のボスを瞬殺している。
最終決戦においては、エールと共に四天王を撃退した後に四人でマスター・アルバートに挑み、全てが終わるとようやくプレリーたちとの平穏な日常を手に入れることができた。
エールとヴァンが働いている「ジルウェ・エクスプレス」を営んでいる青年型レプリロイドで二人のよき理解者。ガーディアン所属のライブメタル「モデルZ」のロックマン。原作ゲームでは、操られた末に死亡してしまうのだが謎のロックマンの介入でエールと共に救出される。
しかし、次の回で予想以上の重傷で戦えない体になっていたことが判明。モデルZをエールに託す。
原作では序盤で退場してしまうこともあり、本作では結構意外な一面が見れる。
ZXA編では、戦闘自体には参加していないもののエールに振り回されている姿が見られる。
自警的組織「ガーディアン」の司令官である少女。本作ではモニターに映った謎のロックマンを見て遥か昔に姿を消した彼を思い出す。後にヴァンと協力関係を結んだことで接する機会が増え、ロックマンの姿が彼に似ていることもあって複雑な気持ちを抱いていたが、交流を重ねていくごとにヴァンのことを理解して彼の影ではなくヴァン自身を見つめていく。
ZX編の最後では、旅立つヴァンを見送る。
ZXA編では、出番はあまりないものの人一倍ヴァンの身を案じていた。
最終決戦終了後は、初代司令官である「お姉ちゃん」を探すことを決めるが・・・・
ZXA編からの追加
ZXAの主人公の一人で旅先でヴァンが出会った後にハンターギルドに所属する凄腕の賞金稼ぎの少女。
4年後のZXA編では、正式なハンターとして単独行動が多いながらも数多くのミッションをこなして連合政府・レギオンズにも噂話で名前を聞くほどに成長している。違法ハンターによって遺跡から掘り起こされたモデルAを回収し、レギオンズ本部に運ぶミッションに参加してイレギュラーをあっさりと倒すなど高い実力を身に付けた。
しかし、流石にロックマンであるプロメテには敵わずにやられそうになるがイレギュラー狩りのために訪れていたヴァンに再会、助けられて違法ハンターの小型艇を奪って近くのハンターキャンプに逃走する。
その後、ロックマンの実力に怖じ気づいて身を引いた同期に不貞腐れながらも海岸で倒れていたグレイを救助して医務室に運んだのが、グレイとの初対面。
医務室で目を覚ましたグレイにいきなりバスターを向けられたりしたが、事情を説明してグレイの事情を聞くとそれを許すなどの度量を見せる。
その後のレギオンズ本部へ向かう途中にプロメテとパンドラの襲撃を受けて重傷を負うものの、モデルAに助けられ、ロックマン・モデルAとなり、イレギュラーを指揮していたディアバーンをグレイと共に撃破する。レギオンズ本部にグレイとモデルAを送り届けるために飛行艇のパーツを入手するための旅に出るが、四天王モデルのロックマンであるヘリオス達と邂逅し、その場でまたヴァンと再会する。
中盤からは激化していく戦いによって精神的な余裕を失いかけていたが、先輩ロックマン達によって何とか余裕を取り戻す。
ほとんどのロックマンを倒してアルバートに挑んだ際に原作同様、彼の遠い子孫であることが明かされる。
ZXAのもう一人の主人公。
謎の研究所で眠っていたレプリロイドの少年だが、違法ハンターの飛行艇が積んでいたコンテナが落下したことで完成前に稼働してしまい、パンドラや他のロックマン曰く失敗作。パンドラに殺されかけたことで警戒心が強いが、性格は困った人物を放っておけない優しく勇気のある少年である。
記憶喪失であり、自分のことが全く分からない状態に不安を抱き、レギオンズ本部での出来事で完全に意気消沈するものの、アッシュとモデルAの励ましで再起する。
終盤では原作同様にアルバートのスペアボディであったことが明かされる。
マスター・ミハイル
三賢人の一人であるがぶっちゃけ本編では影が一番薄い。
しかし、最終回で・・・・
敵側
「セルパンカンパニー」の社長で恐らく本作の黒幕。ライブメタル「モデルV」を覚醒しようと暗躍しする。最終決戦では、一時モデルOに取り込まれたヴァンによって倒されてしまうがモデルVの力で復活。最後は二人の連携により敗れる。
セルパン側に着いているロックマン。突然現れた謎のロックマンに逃げられてしまったものの興味を持ち、以降も戦いを繰り広げていく。本作ではZXAに登場するヘリオスたち四天王にライブメタルを渡していたことが判明している。
原作では呆気ない最期を遂げたが本作ではヴァンによって救出され、最終決戦でアルバートに奇襲を仕掛ける。モデルVにエネルギーを吸収されたことで再生能力が失われ、彼から受けたダメージが致命傷となり寿命が尽きるが原作よりは救われたような扱いである。
プロメテの妹であるロックマン。介入してきた謎のロックマンについてはライブメタルを含めて知らない。ヴァンについては自分たちと同類とみている。ZXA編では、崩壊する海底基地でヴァンに兄であるプロメテだけでも助けてほしいと懇願していた。その後は、兄と共にアルバートに一矢報い、兄妹揃って満足そうに息を引き取った。遺体はヴァンたちの手で丁寧に葬られた。
ZXA編からの追加
新たなロックマンたち
ZX編の最後にプロメテたちが発言していた新たなロックマンたち。エールから強奪したモデルH、モデルF、モデルL、モデルPを使う。ZXA編序盤でヴァンに挑むが全員返り討ちに合い、中盤以降はモデルVのパワーを取り込んで挑んでくる。
最終決戦でもヴァンたちに挑むが最後まで勝つことはなかった。
モデルHとロックオンする風のロックマン。自分以外は全て愚か者と見下している完璧主義者でヴァンを襲撃した際には単独では不利と判断し、テティスと連携をとるが敗北する。その後、アッシュとグレイと交戦、モデルVの力でパワーアップするが二人の連携に敗れる。
モデルFとロックオンする炎の女性ロックマン。イレギュラーによって滅ぼされた国の軍人で屈強で寡黙な女戦士だが、ヴァン相手に瞬殺される。一番最初にダウンさせられただけではなく、見逃がされるという屈辱を味わう。ちなみに彼女はその後もヴァンに執念深く挑んでいくがそのたび敗北する。
モデルLとロックオンする氷のロックマン。ヘリオスと連携をとってヴァンに挑むが歯が立たなかった。
モデルPとロックオンする闇のロックマン。アトラスの次にヴァンに挑むもののバイザーが破壊されるほどのダメージを受けた上に意識を失う。
ZXA編のラスボス。
原作同様にモデルVを手中に収めて世界を作り替えようと企む。
最終決戦では自分のスペアと子孫であるロックマンたちに敗北する。
最終回
本作のラスボス。三賢人の一人だが、アルバート死亡後、彼同様に世界をリセットしようと旧ネオ・アルカディア跡地へと生還した四天王と共に立ちはだかる(作者曰く、原作のマニアモードのEDのトーマス暴走イベント後のことをイメージしたとのこと)。漫画版ではモデルVを所持していたため、本作では彼自身もモデルVのロックマンへと変身している。ミハイル曰く、格闘家でもあるらしい。
ロックマンゼロシリーズのヒロインであり、初代ガーディアンの司令官。プレリーの話では長い間消息をつかめていなかったが三賢人の元で意識不明の状態で保護されていたことが判明し、世界のリセットを行おうとするトーマスを止めるべく、ミハイルの判断で残されたアルバートのDNAを刻んで強制的にロックマンへとなる。
使われているライブメタルはミハイル自身が調整したコピーエックスの記憶を刻んだもの。そのため、その姿はかつてのコピーエックスを意識したものとなっている。しかし、ライブメタルの影響が強いのかかつての敵と同じ姿をしているヴァンを狙う。
「ロックマンDASHシリーズ」の主人公でバッドエンドルートに登場。
「ロックマンDASH」のヒロインの一人。バッドエンドルートにて通信のみ登場。
余談
- 本作はエール主体のストーリーを採用したため、ヴァンはOPステージに入る前に行方不明になってしまった。
- 本来死亡するはずだったジルウェが生存しているため、モデルZXの登場はどうなるのかと考えられていたが次の回で本人がエールに託すという形で登場する形になった。
- 作者本人の意思ではZXA編でもヴァンを定期的に出したいとあとがきで語っている(ちなみにZX編後はエールの出番が通信のみのため、おそらく原作以上に出番が少ない可能性がある)。
- 原作ゲームでは、モデルH含めるライブメタルが何故奪われたのか不明だったが本作では独自ではあるものの盗まれたということで保管されている。
- 現在最新話でグレイとアッシュが登場しているがモデルAはおそらく一つのため、どちらかが途中で退場する、もしくはオリジナル展開が起こる可能性があったが二人同時にロックオンするという荒業を披露した。
- 本作もこの作品同様にビターエンドともバッドエンドとも読み取ることができる少しやるせない終わり方を迎えているがこれはインティが今後もZXシリーズを作らなければ変更されることはないであろう結末ともいえる。残念ながら現在のCAPCOMとの関係の修復は難しいようでダブルヒーローコレクションにおいてもインティのロゴだけ削除されていた。
関連タグ
ロックマンX~朱の戦士~:同じ作者の作品。
ロックマンDASH:バッドエンドルートで少しだけ登場。