【機密事項】
※以下、重大なネタバレを含みます。一部単行本未掲載の情報があるので閲覧注意。
「俺は『Victor(人間)』だ」
「『Thor(神)』じゃない」
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』に登場する謎の人物。
男主人公・アンディの内側に存在するもう1人の人格。
アンディに刺さっている記憶を閉じ込めている額のカードを引き抜く事で姿を現すが、体の主導権は完全に乗っ取られ、「記憶が戻ったというよりも人が変わったと言った方が適切」な状態となる。
アンディの体は本来彼のものであるらしく、「俺がオリジナルだ」という主張に対して、後にアンディ自身も「おそらく事実だ」と肯定している。
数多の戦場に勝利をもたらした男「戦勝の神(ヴィクトール)」として、数百年前から英雄的な存在として知られている一方、どういうわけか組織(ユニオン)の女ボス・ジュイスとは面識を持っていた。
またの組織(ユニオン)の否定者・シェンはバトルマニアらしく彼と戦う事を目標としている。
戦勝の神と呼ばれることに関して本人は否定している。正しい呼び名は「ヴィクトル」であるらしく、面識のある人物(ジュイスやアンディなど)からはこちらの名で呼ばれる。
容姿
筋肉質な悪人面で碧眼に髪は伸びて纏まりきらなくなり、髪色は別人格・アンディの灰髪から黒髪に変色している。
体はアンディと共有しているため(正確にはヴィクトルがオリジナルなので)、左胸には弾痕のような傷があり、その上には「1865」の数字。左肩には「DEAD END」の入れ墨が刻まれている。これらに加え、古傷は腕や肩、首にも増えている。
服装はアンディのイメージと異なるためか着こなし方が変化しており、上着は腰に巻かれている。ちなみに初登場時は上裸だった。
またアンディと同様に再生の都合上、必然的に股間へ海苔が付く。
人物
非常に好戦的な性格とされる。組織(ユニオン)の戦力が揃うことを望んでいるらしく、不要と判断した風子を殺して席を空けようとしたり、メンバーの戦い方を分析してダメ出しや称賛を送るなど、組織を試すような態度をとった。
現況に対する思考の柔軟さはアンディと共通しているのか、一度低評価を下した相手を見直す発言もしばしば見て取れる。
アンディと違い死ぬことは完全に諦めている様子で、体の主導権を奪ったあげく決して手に入らない死の為に無駄な時間を費やしたアンディと、彼の死への希望である風子(ヒロイン)を疎んでいる様子。
ヴィクトルから見たアンディの風子への感情は「依存」でしかない事が後の発言で明かされている。風子からしてもヴィクトルは「嫌いな人」と完全にアンディとは別人扱いであり、不運の否定者(ひていしゃ:世界の理(ルール)を否定する超能力者)である彼女が接触しても不運はほとんど何も起きなかった。
ちなみにアンディの口癖は「馬鹿が」だが、ヴィクトルの口癖は「阿呆が」となっている。
戦力・能力
初登場して即座にアンディでは苦戦を強いられたUMAスポイルを瞬殺し、アンディとは比較にならないほどの戦闘力を見せつける。
シェンによると生物としてのリミッターを外して怪力を発揮することが出来るようで―
- 武術家であるシェンの受けをその上から潰し叩き伏せる
- 拳を握り込むだけで指を壊しそのまま部位弾(パーツバレット)の体勢に移行する
など驚異的な怪力を見せつける。
またカードを額に刺しているアンディと違い、単純に再生速度が速くなっているだけでなく頭以外からも再生が可能。これを利用し本体を指弾に移すなどヴィクトールは非常に多彩な戦術を取ることが出来る。
しかし彼の強さの真価はもはや再生能力の範疇を逸脱するほどに磨き上げられた不死の技の数々にある。
以下はヴィクトールの使用した技一覧
部位弾(パーツバレット)
千切れかけの部位を再生の力で押し出し放つ。アンディと同じ技だが、彼と比べ少ない予備動作で放つ事ができる。上記にある怪力で、両拳を握り込んで十指を打ち出す“指連(フィンガーズ)”や、生物のリミッターを外して腕が自壊する程の正拳→腕を再生しつつ指(フィンガー)を打ち出すなど無駄がない連携技が可能。
分裂弾(ディヴィジョンバレット)
部位弾(パーツバレット)の派生技。放った部位弾が弾毎に再生し、ヴィクトールの分身となる。
不死をどこまで拡大解釈すれば分身技になるのか…。この技でUMAスポイルを瞬殺する姿に度肝を抜かれた読者も多い。
分身は上半身のみの体を構成し、再生度合いで生成した骨の剣からの剣戟や部位弾などを駆使して縦横無尽の物量戦を行える。
おそらく分身はアンディ同様時間経過で消えるものと考えられる。また、額の古傷があるのは本体のみなので判別は難しくない。
死閃(デッドライン)
指の先から高圧で血を噴射し、巨大な血のウォーターカッターを生み出して眼前をぶった切る。
驚くべきはその射程。作中ではレインボーブリッジの上から新宿駅をバラバラにし、その間にある地域も壊滅状態へと変えている。
控えめに見ても9㎞以上の攻撃範囲がある。これでも勝てない神とは一体・・・?
死連弾(デッドバルカン)
指を外側に折り、断面から血の弾丸を発射する。
連射が利き、部位弾よりも手数、攻撃範囲に優れる。
因みに指の断面をのぞかせるその姿は何処か既視感を覚える。
死刃(デッドブレイド)
拳から噴出した血を凝固させ、剣として振るう。
予備動作も無く出せる模様(または上記の怪力から、拳の握り具合で出血させているかもしれない)。しかもこの状態からそのまま死閃へと繋ぎ、空まで切り裂いている。
死道(デッドロード)
腕から大量の血を放ち質量で圧し潰す。分かりやすく言うと血で作ったかめはめ波。
明らかに自身よりも大質量の血を放出しており、その驚異的な再生速度が伺える。
pixivのヴィクトール
『ヴィクトール』だけならば他作品に登場するキャラも指す。
そのためpixivにイラストを投稿・タグ付けするならば、本記事の『ヴィクトール(アンデラ)』を使用したり、関連タグとして『アンデッドアンラック』や『アンデラ』など合わせて使うことが絞り込み検索を助ける。
余談
「Victor」という名前は、国々によって発音が異なり―
綴りと発音が一致するのはスペイン語だが、そこにアンディのルーツがあるのかは作者のみぞ知るところである。
単行本のキャラクター紹介ではUNDEADの後ろにクエスチョンマーク表記がされている。果たして何を意味しているのか・・・。
関連タグ
正体
かつてジュイスと共に組織で戦ってきた最古参の組織メンバーであることが、黙示録の記憶によって示唆されている。
不死の力によって世界が滅び地球が破壊されてもなお生き延び、ジュイスとは違う形で世界のループを越えてきた。
そんなヴィクトールが何故今回は記憶に封じ込められ姿を消したのか。1865年4月15日に答えが隠されているようだが・・・?
また、あくまで昔の話と言う事だがジュイスとは単なる仲間以上の関係だったことも仄めかされた。