ミザリー(スティーブン・キング)
みざりー
概要
スティーブン・キングによる小説は1987年に発表された。
1990年、『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督で映画化。
アニー役のキャシー・ベイツはこの作品でアカデミー主演女優賞、及びゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を獲得している。
アーティストに対するファンの狂気的なまでの偏愛とその暴走を描いたスリラー作品。
あらすじ
小説家であるポールは『ミザリー』というシリーズで人気を博していた。
とある山荘でシリーズの執筆を終えたポールは下山中に事故にあってしまう。
幸い命に別状はなく、近くに住む看護婦のアニーに助けられ看病をされる生活を送る事になる。
しかし、それが恐怖の幕開けであるとはポールはそのとき夢にも思わなかったのだ…。
『ミザリー』の大ファンであるアニーは、看病していたポールから続きの原稿を読ませてもらう事になるが、その内容は彼女のお気に召すものではなかった。
書き直すように迫るアニーは次第に恐ろしい本性を露わにし、頑なに断るポールを監禁して
恐ろしい拷問を課してゆく。
基本的にアニーは心優しい女性なのだが、偏執的な『ミザリー』のファンであり、日常と狂気のギャップが非常に恐怖を引き立てる。
逃げられない恐怖をひたすら味合わされる作品である。
余談
ミザリーとはポールが書く小説の登場人物であって当然一切出てこないのだが、今では狂気的なファンのことを指して『ミザリー』ということがある。
更に本作は実話ではないのか、という噂もあるものの、全てキングの創作した話である。しかし以下の都市伝説が生まれるほどにリアリティーがある物語になった。
スティーブンキングがレストランで食事中にサインを強引にもとめてきた男がいた。しかも、サイン後は小説の内容に関して文句を言い出した。
「こんなやばい奴に作家が捕まったら怖いな」
と考えたスティーブン・キングは、「ミザリー」を執筆したのだった。「ミザリー」完成後、スティーブン・キングはある犯罪者のニュースを見て仰天した。ジョン・レノンの射殺犯チャップマンがサインをねだったあのファンだったのである。
この当時はストーカーという概念が一般的に浸透しておらず飽くまで狂気的なファンというホラーに過ぎなかった。だが、現代においても作品が自分の思い通りにならないと原作者、制作者を口撃したりする者がいることから、キングの先見の明、鋭い見識が伺える。
そしてSNSが発達した今現在、作品について個人や友人同士で感想を述べたりするのは問題はないのだが、作者に直接不満をぶちまけたりするのはマナー違反と言え、 自身がミザリー(アニー)にならないよう自らの行為を省みる必要があるといえよう。
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予告編1
予告編2