遠月茶寮料理學園
とおつきさりょうりょうりがくえん
概要
主人公の創真達が通う、日本屈指の名門料理学校。通常は単に「遠月学園」と呼ばれる。中等部と高等部の各3年制。…ゆえに5年制で高等教育機関の高等専門学校というより、中高一貫の中等教育機関である。
制服は男女共に紺色のブレザー。女子はネクタイかリボンのどちらかを選んで着用できる様子。
夏服の半袖シャツ・ブラウスは衿と袖口部分に紺のラインが入ったものがあり、女子はスクールベストがある。
料理人版『虎の門』と言っても良い非常に厳しい少数精鋭教育が特徴で、高等部の千人近い新1年生のうち2年生に進級できる者は全体の一割にも満たず、卒業までたどり着く者はわずか数人しかいないという(つまりモブキャラであっても高等部2年生というだけで強者というわけである)。
当然非常に退学率が高い学校であるが、その徹底した実力主義による業界からの信用は絶大で、「在籍したという履歴があるだけでも料理人として箔がつき、卒業に至れば料理界での絶対的地位が生涯約束される」とも言われている。
学習内容は料理の基礎技術や食材の知識だけでなく、栄養学、公衆衛生学、栽培概論、経営学など多岐にわたる。料理学校としての歴史は長く、創真は第92期生となる。
広大な敷地面積を有し学内には様々な施設がある。学園の運営のほか、富士山と芦ノ湖を望むリゾート地において「遠月リゾート」というブランド名で十数軒の高級ホテルや旅館を経営している。数少ない卒業生の中にはここで働く者もいる。
あくまでも料理人としての腕さえあれば、家柄や出自等に一切関係なく在学し続ける事が許されると言うのが基本方針だが、長い歴史を持つブランドの高い学園であることから生徒の多くは一流の料理店や食産業の跡取りが締める。
その多数派を担う生徒達は豊富な物資に恵まれ、環境や予算に困らない富裕層の生活環境で過ごしてきたせいで、大衆料理など庶民文化に偏見を持ってることに加え、元々生徒同士で激しく競わせようとする学校方針故に、選民思想の強い人間が多い。
そのため多くの生徒は程度の差はあれ「虚栄心」が非常に強く、生徒達は同級生同士であっても敵視して見下したり、足の引っ張り合いまでする生徒が多数いる。そしてその様な生徒から落第し、容赦なく退学になっている。
現在は入学式での発言や大衆定食の倅である事、そして高級な食材を使おうとしない等から創真に対して敵意を抱く者が多く、食戟ではヤジを飛ばしたり物を投げつけたりまでしている。
秋の選抜においても落ちこぼれだった恵や宿泊研修での丸井を見た(選抜に選ばれていない)生徒達が馬鹿にしている描写があり、決勝戦でも創真が黒木場や葉山よりも不利と見なした途端喜んではしゃいだり「どうせハッタリだ!」と口汚く罵ったりまでしている。
これについては一色曰く、自分らの弱さから全力で目を背けようとしている意識の表れらしい。
生徒達の中でも最高地位である「遠月十傑評議会」の中にも、薙切えりなの様に極端なエリート主義の人間や、叡山枝津也・久我照紀の様に自己中心的な人間が少なからずおり、食戟を利用して意にそぐわない者を学園から排除しようとしたり、部活動の方針を強引に捻じ曲げたりするケースもある。
これらの様に、実力主義を謳い実力者が強い発言力や権力が持てる一方で、その強権が公正に使われる様監視する自浄作用を持つ機関(警察でいう監察官の様な役割)が存在しない。
そのため将来性が全く評価の対象外だったり、実力者側の私情で気に入らない相手を能力の有無に関わらず追い込む事が可能であったりと、美食を追い求めるあまり、結果的に人間性の構築に必要な道徳的な教育が疎かになってしまっているという、教育機関としてはあまりにも杜撰な体制となっていた(そのため仙左衛門は、創真たちが遠月の学風本来の在り方であった「互いに高めあう研鑽」を見せてくれた事に喜びを感じている)。
そうした負の面が凝り固まっていった結果、学園祭である「月饗祭」の最終日にて、十傑メンバーの過半数が食の支配を画策している薙切薊の思想に賛同し、学園を乗っ取ってしまう事態が勃発。
薊やそれに迎合した生徒達(主に叡山等)による、長い物に巻かれる事を強いた強権的政権によって学内のレベルや外部からの信用も、少しずつだが確実に低下していってしまった。
しかし、創真やえりな達反逆勢力が彼らに勝利し、学園の実権を奪い返した事で状況は一変。
薊に尻尾を振っていた教員や大多数の生徒達は、料理人業界そのものからの追放も覚悟した。しかし創真たちは彼らを咎めるような事はせず、逆にその器の大きさや"料理の楽しさ"を見せられた事で、遂に彼らの心境も少しずつ変化を見せるように。
そしてえりなを総帥、創真を十傑第一席とし、料理や挑戦の意欲に溢れた新たな遠月として再スタートを切るのであった。