概要
大口真神という言葉の意味は“大きな口をしている狼”という意味である。
名の示すとおり、狼(ニホンオオカミ)が神格化した存在で、厄除け、特に火難や盗難から守る力が強いとされ、古くから絵馬などに描かれてきた。特に盗難は、田畑を荒らす害獣も含まれ、その姿が描かれた神札は畑に立てて鹿や猪除けに、戸口に貼ることで火難除けに用いられたという。
『大和風土記』においては、「昔、明日香の地に老狼ありて多く人を食う。土民畏れて大口の神という、その住めるところを名づけて大口真神原という」と記されており、現在の神獣としての側面を持つ一方で、人を喰らう獣として恐怖の対象でもあったという。
また、『万葉集』で舎人娘子が「大口の 真神の原に 降る雪は いたくな降りそ 家もあらなくに」と詠んでいるように、“大口の”の言葉が真神(狼)にかかる枕詞とされている。
更に『日本書紀』においては、日本武尊(ヤマトタケル)が東征の際に大鹿の姿で現れた邪神を退治したが、その騒ぎで霧に巻かれて道に迷ったのを白い狼が道案内して導いたことで無事に切り抜けた時、日本武尊は「大口真神としてそこに留まるように」と白狼に語ったという。
『女神転生シリーズ』のマカミ
初出作品は『真・女神転生Ⅲ』で種族は「神獣」。以降のシリーズでも総じて神獣に属している。伝承の再現として火炎への耐性もしくは火炎技、回復、補助のスキルを覚える傾向にある。
3DCGをフルに活用して常に空中で転回を繰り返す細長い身体に狼の特徴をデフォルメしたようなスタイルと文様を備えたデザインとなっている。霊的な存在であることを表現しているのか体の厚みが布のように薄くペラペラで肉球までもが平らという徹底ぶりである。体の背面は薄い灰色で腹側は白い。口は大きいが牙は無い。
魔獣イヌガミの変異のみで入手可能。通常出現はしない悪魔であり、攻撃系スキル中心のイヌガミに比べて補助スキルが充実、厄を退ける伝承さながらの成長を見せる。
『葛葉ライドウシリーズ』でも登場し、『アバドン王』の別件依頼「スキマから視線が・・・」では人間の文化の発達により山を追われたニホンオオカミの悲しみを吐露する。
「ペラペラだから隙間に入れたんだ!」
古い神だが、シリーズでの口調は一貫して若い男性系統。『女神転生』や『ライドウ』ではやんちゃなオレ様口調だが、『ペルソナ』では幼稚なボク口調だったりする。
何とも言えぬ独特のデザインと動きに愛らしさを感じたマカミ愛好者の数は地味に多い。
『真・女神転生 DEEP STRANGE JOURNEY』の人気投票企画では全悪魔332体中36位、『真・女神転生ⅢHDリマスター』のベストオブ悪魔投票では全181体中24位という結果となった。