卑しか女杯
いやしかおんなばい
前書きとお願い
この言葉はインターネットコミュニティの悪ノリから生まれたものであり、(完全架空のオリキャラでも)自分の推しが卑しい女扱いされることを嫌う人も少なからずいることに注意してほしい。
また、応援してくださっているファンの皆さまにご注意いただきたいこと
を一読すること。
公式に無い要素が付与された場合、二次創作で作られたイメージと公式とのそれに、差異が生まれる。さらに、二次創作は拡散力が強く、ややもすればキャラのモデルとなった競走馬のイメージにすら影響しかねない。
公式に無いキャラ設定の追加は控えるよう留意しよう。ウマ娘はナマモノすれすれの、言わば半生だからである。
……それでも追加したいのならば、今一度規約を読むべし。
卑しい概要
卑しか女杯とは、よくあるヒロインたちの主人公争奪戦の『ウマ娘プリティーダービー』Verである。
京都芝2200m、豪雨でも起きたかのような湿度を保つ(愛の)重馬場の上で、トレーナーへのクソデカ感情をいかに早く強烈にぶつけるかを競うレース。このレースでは脚質やトレーニングの成果ではなく、自分のトレーナーに対する感情の重さが勝敗を決するという異常な大会である。
重症レースにおいて夢女ステークス・百合花賞と並ぶ『タラシック三冠』の一つ。
距離が京都芝2200mなのは、初期のころに製作されたコラ画像が「エリザベス女王杯」をべ-スにしていたため。
他のコラ画像やイラストでは、卑しいの語呂合わせで「1841m」になっていることもある。
もちろん、これらのレースは現実にも『ウマ娘』内にも存在しない。
……はずだったが、2021年6月21日、アプリ版『ウマ娘』にて「ルームマッチ」が実装されたことによって本当に開催出来るようになってしまった。
原典
実在のレースとは一切関係なく、某掲示板スレのウマ娘ジャンルで作成された怪文書が全ての元凶。
レース名の語源は他ゲームの非実在キャラである卑しカラスの持ちネタ、「卑しか女ばい」の語呂合わせ。
そもそも古くから某掲示板ではタキシード仮面、四次元殺法コンビ、トリノミアス3世といったキャラクターの画像を張ってから長文を添え、あたかもその画像のキャラが奇妙奇天烈な主張を唐突に熱く語るように見せる「怪文書」なる文化が存在しており、言ってしまえば身内ネタだったものである。しかしながら、それを気に入ったまとめサイトに取り上げられてしまったため、それが拡散されTwitterを始めとしたSNSにまで存在が知れ渡ってしまった。
その結果、一掲示板の一スレの怪文書の一単語が独り歩きし、結果「とりあえず明確な恋愛感情を持った上で優位に立とうとする言動」全般をひっくるめた一ジャンルのようなものになってしまった。「恋はダービー」ってそういう……。
ちなみに元ネタの卑しか女杯スレでは誰が1着を取ったのかという結果は論じられていない。みんな自分のトレーナーとうまぴょいした時点で1着だというのが共通認識となっている。
原典の原点
そもそもなぜ卑しいというキツめの罵倒語が、一部の界隈とはいえ重めの女性キャラに対する一種の評価語になってしまったのか。
大本は2008年放送のアニメ『紅 kure-nai』にまでさかのぼる。
作中で九鳳院紫が崩月夕乃を指して「卑しい女だ!」と評するシーンがあるのだが、その簡潔で分かりやすい形容詞が2ch(現5ch)やふたば☆ちゃんねる(主にimg板)といった匿名のクローズドコミュニティで流行し、キャラ弄りに使われていった。
それがモバマスに伝播し、「美優は卑しい女よ」というスラングが生まれる。
そこから艦これに飛び火し、「加賀は卑しい女ずい」となり、さらにシャニマスに一種の逆輸入がなされることで、「卑しか女ばい」となった。
もちろん、紫以外は卑しいだなんて公式では一言も言っていない。
レースに出走しがちなウマ娘
後述の参考動画のように、この手の怪文書スレには「○○で○○なウマ娘杯」といった限定的なシチュエーションと、それに見合うウマ娘を並べた画像を貼りつけることでレースとしての演出がなされている。
そんな数々のスレが立つ中、数多く顔を出す「いつもの面子」。逆に言えば、あらゆるシチュエーションでトレーナーに迫ることができる有力ウマ娘なのである。陣営はもうちょっとローテーション考えて。
ダイワスカーレット
「ずーっと前から、アンタにとって1番のウマ娘はアタシでしょ?」
チュートリアルで一度はお世話になるツインテツンデレウマ娘。
余所行きの優等生スタイルも何処へやら、担当トレーナーの前では気性の激しい負けず嫌いな素顔を見せる。ただの可愛げのない娘…かと思いきや、口の悪さとは裏腹にさり気ないトレーナーへの気遣いを見せたり、他人への助力を惜しまなかったりといった優しさも見せる。
強気にこっちを振り回しているだけに見えて、誰より飾らない態度で気を許してくれているという二面性の魅力に惹かれたトレーナーは、上記のセリフに思わず微笑みを浮かべずにはいられなかったのではないだろうか。
ナイスネイチャ
「トレーナーさんの一着だけは、誰にも譲らないから!」
「育成シナリオがまんまギャルゲ」と称されるウマ娘。
素晴らしい素質を持つものの、自信のなさから斜に構えて素直な気持ちを外に出せない彼女。ライバルたちと競い合い、トレーナーと二人三脚でトゥインクル・シリーズを駆け上がる……というシナリオの性質上、ネイチャの内面やトレーナーとの交流に主眼が置かれる。
見事URAファイナルを制覇できれば最後に上記のセリフを見られる。ド直球の好意もさることながら、自信を持てるようになった様子と合わせて胸を熱くしたトレーナーは少なくない。
トウカイテイオー
「――見るべきはほかの子か、ボクか。その目でちゃんと確かめてよ」
幼さを残す舌足らずなボイスが特徴的なウマ娘。
天才とも言われる圧倒的なセンスを持ち、無敵のテイオー様と自らを称する微笑ましい一面がある。そんな彼女の育成は、憧れの皇帝を越えるウマ娘を目指して頑張る爽やかスポ根ストーリーである。一見卑しさとは縁遠そうな彼女をエントリーに導いたのが、上記のセリフ。こちらはトレーニング終了後にランダムに発生する追加トレーニングイベントで見られる(つまり見ることができる機会も多い)。
状況としては「トレーニングが終わって戻ってきたらトレーナーが他のトレーニングしているウマ娘を見ていたので、自分のトレーニング姿と比べて見せようか」というもので、普段の子供っぽい、感嘆符多めのセリフの後で急に罫線付きのセリフを句点で締めるため、その温度差が印象に残ったトレーナーは多いだろう。
ナリタタイシン
「言ってたじゃん、『一生』とか」
デビュー前から嗤われてきた自身の小柄さにコンプレックスを持ち、いつか見返してやるという気持ちから周囲の誰にも、もちろん担当トレーナーにも敵意むき出しのツンツンした態度を崩さない。トレーナーが献身的に彼女の心に寄り添うことで、いつしかお互いに信頼しあえる関係を築き上げるようになってゆく。
「自分自身を信じられるようになるまで、自分は一生でもタイシンを信じる」と言ったトレーナーに、バレンタインイベントで彼女はその時の約束を確認しにやってくるのだ。彼女の信念と弱さを両方受け止めてきたトレーナーに、不器用な好意といじらしさが刺さる。
スマートファルコン
「……にぶトレーナー」
トップウマドルを目指してダートレースを邁進するウマ娘。
バレンタインでも、クリスマスでも、アイドル路線まっしぐら、トレーナーとのイチャイチャなど二の次……と思っていたトレーナー諸氏を打ちのめした。
上記のセリフはクジ引きで温泉旅行券を引き当てないと見られず、それ以外で好意を露わにする場面はほぼなかったため、不意を突かれて致命傷を負ったトレーナーは数知れず。
エイシンフラッシュ
「この後両親に会うのですが…一緒に来てくれますか?」
ドイツから留学してきたウマ娘。
その個別ストーリーにおいて、トレーナーに「(自分のレースを見に日本にやって来た)両親に会ってほしい」と相談するという行動に出たことで、このレースのトップ争いに後方から閃光の如く飛び込んできた。
これまで親が出てくるウマ娘は複数いたが、両親が同時に、かつ立ち絵は無かったとはいえ電話ではなく直接登場するのは初である。
実装前からディアンドルをモチーフとした可愛らしい勝負服と、その開いた胸元を見せつけるレース中の姿に魅了されたトレーナー達から実装を待望されていたが、いざ実装されると両親に直接会わされるという予想を遥かに超える行動に度肝を抜かれることとなっただろう。
劇中のトレーナーの反応もいろんな意味で直球な言い回しが多い上に、両親も(トレーナーとしてだが)自分の娘を託すという、外堀が完全に埋まった状態のため末永くうまぴょいしろとしか言いようがない雰囲気がストーリー中で展開されるのだった。
そしてURAファイナルをクリアした後は、2人のこれからの計画を一緒に立てる発言を2人でフラッシュの実家であるドイツへ向かいながらするという追撃が待っている。
そのせいでダークホースとかトップ争いとか通り越してもはや出禁レベルの反応を喰らう羽目に。
ダークホース(?) 桐生院葵
『ウマ娘』のヒロインは勿論ウマ娘であり、卑しか女杯も彼女たちがトレーナーを目指してしのぎを削る争奪戦である。
しかしそんなウマ娘達とは別に、思わぬダークホースならぬダーク♀ウマ娘が存在する。それが桐生院葵。彼女はアプリ版『ウマ娘』の育成モードに登場するライバルトレーナーである。
トレーナーの名門一族である桐生院家のトレーナーとしてハッピーミークというウマ娘を育て、プレイヤーと切磋琢磨しながら最後のURAファイナルズで戦う…というポジションなのだが、何故かサポートカードとして存在する(しかもチュートリアル中に必ず手に入る)。
『桐生院葵』のカードを入れると、彼女と2人きりで「お出かけ」ができるイベントが発生するようになる。重ねて言うが2人きりで「お出かけ」である。
ちなみに初回イベント発生時にお誘いがあり、これを断ることでフラグを折れる。担当ウマ娘に操を立てたいのならば断ってもいいだろう。
ウマ娘との「お出かけ」は、行き先によってランダムにやる気アップ、体力回復、たまにバッドコンディションを解消できるコマンドである(ごく稀にスキルヒントとステータス上昇を狙えるミニゲームも発生するが、発生率が非常に低く、当てにできない)。一方で彼女とおでかけをするとイベントに応じて体力回復、やる気アップ、一部ステータス上昇が狙え、特にスキルの取得に必要なスキルptを大量に獲得できるなど、ウマ娘とお出かけするよりも確実なハイリターンが狙える。そのため担当ウマ娘のためにあえて彼女とのお出かけに勤しむトレーナーも多い。のだが、回数を重ねるごとに外出先がカラオケ、公園、遊園地……と、どんどん行く場所が親密になっていくのである。
頭でっかちで理論を重んずる彼女は担当ウマ娘とどこかすれ違っており、ウマ娘とあつい信頼関係を結ぶプレイヤーにアドバイスをもらう…という設定なのだが、傍からは「担当ウマ娘を差し置いて(あるいはダシにして)意中のトレーナーと距離を近付けていく」ように見え、(特にPixivにおいて)人間であるにもかかわらず卑しか女杯の有力候補として扱われるようになってしまった。
また前記の卑しカラスのネタをもじり、自らも「カーッ! 見んねミーク! 卑しか女ばい!!」と発言するファンアートも作成され、他の出走候補の牽制も怠らない。
オリジナルキャラクターであることから制約があるウマ娘よりも弄りやすいせいかもしれないが、ネタはネタであってネタ以上のものではない。節度を持って楽しむものであることは、言うまでもない。
ちなみに「お出かけ」は駿川たづなのサポートカードを入れても発生する。
しかもこちらの「お出かけ」が可能になる導入イベントは、レースやウマ娘の話で盛り上がった結果朝帰りするというものである。
それでも桐生院葵が矢面に立つのは、たづなさんがレジェンドウマ娘説があるからか、はたまた「お出かけ」イベントを起こして絆ゲージを最大まで貯めるとURAファイナル後のエンディングに挟まれる最終イベントの影響か……。
最後に
ウマ娘公式サイトの「応援してくださっているファンの皆さまにご注意いただきたいこと」より再び抜粋する。
キャラクターならびにモチーフとなる競走馬のイメージを著しく損なう表現は行わないようご配慮いただけますと幸いです。
本作品には実在する競走馬をモチーフとしたキャラクターが登場しており、許諾をいただいて馬名をお借りしている馬主のみなさまを含め、たくさんの方の協力により実現している作品です。
モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現は行わないようご配慮くださいますようお願いいたします。