概要
競走馬、農耕馬など、家畜としてなじみ深い。走るのに適した1本指の四肢(後述)、長いタテガミと尾(実際は短い尻尾に長い毛が生じている)が特徴。知能は牛や犬と同様に人間の3歳児並みと高く、人間の感情や行動の機微に敏感である。例えば自分の主人と他人を明確に識別し、自分で解決出来ない問題を見知った人間に解決してもらうよう誘導したりできる。
一般的に大型の動物とされるが、アルゼンチン原産の種「ファラベラ」は体高50〜70cmと大型犬ほどのサイズである。
身体構造
端的にまとめると心肺機能と筋肉にステータスをガン振りして後がぐずぐずという、凄まじき一点特化型。抜群の身体機能を誇る馬だが、その進化の過程で犠牲にしたものも多い歪な生き物でもある。
特に走るために改良された競走馬は自然界にない過酷な走行環境に晒されるため、より骨折のリスクが付きまとう。ゆえに「ガラスの脚」と呼ばれ、細心の注意が払われる。自動車で言えばF1並みのエンジンを積んでいるに等しい心臓も、この脚を損ねればポンプ機能が停止してたちまち機能不全に繋がり、四肢をはじめとした末端の壊死に繋がる。このため重度の骨折を負った時点で死が確定する。予後不良の競走馬に安楽死の処置がなされるのは、骨折が治せない時点で歩行能力を欠いて運動不足となり、そこから芋づる式に疾病を併発してさらなる苦しみを味わわせることになることへの、せめてもの救済といえる。
ウシなどの反芻を行う動物は、複数の胃に細菌や原虫を飼い、彼らを消化することで体を養うタンパク質を得ている。ウマにそうした器官はないため、大腸を発達させここに細菌を養うことで補っているが、腸内細菌の大部分は(一部は腸内で分解されて吸収されるものの)そのまま糞として排出されてしまう。よってウマが大量の草を食べても得られるタンパク質はわずかである。胃のサイズは腸の20分の1と極端に小さく、このために巨大な胃を持つウシより速く走るのに有利ではあるのだが、食いだめができず、小さな胃を常にフル稼働させざるを得ない。「牛飲馬食」と言われるのは、そもそも胃の小ささゆえなのだ。さらに腸を体に固定する腸間膜も未発達なため、ふとした衝撃で簡単に腸の位置が動いてしまい、腸捻転や腸閉塞といった腸に関する物理的な疾患にもかかりやすい。加えて胃の入り口である噴門の筋肉が非常に発達しており、げっぷも嘔吐もできないため、胃にガスを溜めがちで胃破裂を起こしやすい。