概要
「あぁ…なぜこんな目にあわなければいけないの!」
何万もの人間を乗せエリダヌス座イプシロン系惑星「アルファ」を目指し宇宙を航(ゆ)く恒星間航行用宇宙船・ダイダロス。
その広大な船内にある丘の上で目を覚ました金髪の少女。赤とピンクで背中の開いたトップスに、両端に黄色い留め具が付いた赤いパンツ・同じく赤色のグローブとブーツという痴女……いやそのもとい、この時期のSF作品のヒロインとしてはむしろ標準的ともいえる露出度の高い格好をしている。
自分の名前を除くすべての記憶を失っていた彼女は、しかしその置かれた状況に不安を覚えるよりも早く、ダイダロス内で起こった居住区爆破事件に巻き込まれる。
それはダイダロス内の人間を管理するメインコンピューターに対する革命の始まりだった。
騒乱の中、幾度にもわたり中央管理局のロボットに捕えられ、全裸にされ鎖につながれてしまうクリス(上記のセリフは、その拘束時のもの)。だが彼女の存在はどういうわけか人員管理されているはずのダイダロス内の住民リストに登録されていないため処分の対象にはならず、そのたびに服だけを返却され釈放される。
革命派のリーダー・キースとの出会いと別れ、紆余曲折を経た上でのメインコンピューターの破壊を為した彼女は、ダイダロスの最奥部において自らの正体と、革命の裏に隠された真実を知る……!
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以下、ネタバレ
その正体は、アンドロイドである。
下記の役割を持たされて「造られた」彼女は、記憶喪失などではなくそもそも過去の記憶がなかったのだ。
地球を旅立ったダイダロスだったが、惑星アルファまでの距離は10.7光年ものはるかはるか先――人工冬眠技術の確立していない状況において、目的地までには数百年の歳月が必要とされた。
その旅路で船内の人類が万が一にも死に絶える事が無いように、ダイダロスにはコンピューターによる徹底した管理社会を構築したが、その結果、ダイダロスがアルファ衛星軌道上に到達するころには人類は自らの意思や希望を持てないものになり果てていた。
その結末を予期していたダイダロス建造当時の連邦政府最高責任者は、2体のアンドロイドを用意していた。
そのうちの1体が「革命」を起こし直接に人類を目覚めさせる役割を持つ「キース」。
そしてもう1体、ダイダロスの人々をアルファに導く役割を持つのが――
写真に写る、惑星アルファに降り立つ人々、そしてクリスの笑顔で、「アルファ」の物語は幕を閉じる。