概要
大体の場合ひんしゅくを買うことが多い販売商法の一つ。
例えば新しいキャラクターを追加したり、新しいダンジョンを追加したり、ストーリーを追加したり、というように既に発売された作品に対して要素を追加して販売することである。
メーカーによっては既にオリジナル版を持っているユーザーに対してアペンドディスクやDLCなどで対応する場合もあるが「完全版商法」とまで言われる場合、大体このような対応はないメーカーを指すことが多い。
尚、リメイクとの違いは難しいが、大体の場合昔のゲームハードで発売されたものを今のゲームハードでプレイ出来るようにしたものをリメイク版という事が多い。
こちらは過去のゲームハードを入手することが困難であることからリメイクされることを歓迎される事も多い(とはいえ、リメイクが多すぎるとひんしゅくを買うが)。
生じた問題
ベスト版や廉価版とは異なり基本的に新しいソフトとして売り出すことが多く、既に同じソフトを持っているユーザーにとっては「また一本買わなければいけないのかよ」という出費を要請することになる。ハードをまたぐ「移植完全版」だとハードを持っていない場合、さらなる出費も...。
また、完全版が出るシリーズと認知されると「完全版出るの待とう」となって無印版の売上が下がり、先細りする要因になりかねない。
一方で新規ユーザーにとっては完全版を購入することで全てプレイ出来るためお得である。
更に、オリジナル版の発売から1年未満で完全版を出す作品も存在し、ユーザーにとって完全版商法はあまり好ましくなくメーカーから金づるだと思われていると感じても致し方ない。
またこの商法のあり方は、所謂クレクレ厨と呼ばれる輩の増加に拍車をかける事にも繋がっており、昨今では例えそれがファーストタイトルであろうとも、Twitter等で他会社のハードへの完全版を望んだり、酷い時には開発会社や開発者のアカウントに対して完全版をクレクレを行う輩まで存在する(一例)。
本当にそのゲームをプレイしたいのならば、ましてやゲーマーを名乗るのならば、そのソフトがどういう経緯で、どの会社から世に出たのかを調べるのは当然の行為であり、ファーストタイトルが他所の会社のハードで出ないという理屈は、一般常識があれば小学生でも理解できる事である…にも関わらずこのような輩の増加は収まる気配を見せない。
代表的な完全版商法の作品
シリーズ
- テイルズオブシリーズ
- ゴッドイーターシリーズ
- 信長の野望シリーズ
- 三國志シリーズ
- 真・三國無双シリーズ
- ファイナルファンタジーシリーズ
- ペルソナシリーズ
- ストリートファイターシリーズ
- モンスターハンターシリーズ
- 実況パワフルプロ野球シリーズ(プロ野球という題材から通常版も完全版も需要のある事例)
単体
- マリオカート8デラックス(オリジナル版とはハードが異なり、移植の側面が強い)
- ドラゴンクエストⅪ
日本ファルコムの完全版商法
近年となってこのメーカーも完全版商法が増えてきているが、他のメーカーとはかなり異質を放っている(なお、2000年前後から既に「イース完全版」等を乱発しており、PCゲーマーにとってはコーエーと双璧の「商法」メーカーである)。
オリジナル版が2016年に発売されたイースVIII-Lacrimosa of DANA-はオリジナル版の発売前の時点で既に完全版の告知がされると言う完全版商法としては異例のケースだったが、無印版のDLCは収録されないどころか配信すら一切なかった。因みにこのケースが起きた背景には、元々はクロスプラットフォームで開発していた所、後に完全版で出すハードの開発が難航した為であり、オリジナル版の事を公式は先行発売版と称している。
後にSwitch版にも完全版仕様で且つ上記のオリジナル版と完全版のDLCが収録された本当の意味で完全版が発売される事になるが、Switch版はそもそも移植メーカーがそのままパブリッシャとして発売する事になっており、Switch版においてファルコムは一切口出しをしていない模様。元々ファルコムはSwitchでの開発には消極的でファルコム側が企画した物ではない為、パブリッシャとして発売するつもりもないものと思われる。
オリジナル版が2015年に発売され、約一年後に完全版が発売された東亰ザナドゥは日本でこそ間隔を空けての発売だったが、海外版ではオリジナル版と完全版の同時発売と言う、またまた異例のケースが起きた。
余談
バンダイナムコゲームスのテイルズオブシリーズには完全商法が多くDLCを買わせる商法+完全版商法をあわせてバンナム商法と呼ばれる事もある。