完全版商法
かんぜんばんしょうほう
大体の場合顰蹙を買うことが多い販売商法の一つ。
簡単に説明すると、「既に完成品として販売されていた筈の商品に付加価値を加えることで新作商品として販売すること」である。
例えば新しいキャラクターを追加したり、新しいダンジョンを追加したり、ストーリーを追加したり、という追加要素は基本的に「既に買ってくれているユーザーに更に楽しんでもらうため」に行われるが、勿論それの開発費も決して0円では無い。
基本的には別料金が発生するものであり、既にオリジナル版を持っているユーザーに対する追加のサービスとしてアペンドディスクやDLCなどで対応する場合が多く、新作を買うよりも安価に追加のサービスを受けられることが多い。
しかし、「完全版商法」とまで言われて非難される場合、大体このような対応はないメーカーを指すことが多い。
例えば以下の場合が「完全版商法」と言われやすい例である。(便宜上、元の作品を無印版、追加要素を加えた方を完全版と表記する)
①完全版の発売時期が無印版のそれと近い。
②完全版を買う以外の方法で発表された追加要素を無印版購入者であっても遊ぶことができない(DLC等の無印版購入者向けのサービスが無い)。
③完全版に追加された要素の量や質が新作一本分に匹敵する程の量や質ではない。
④別ハードへの移植作品に追加要素を足したものであっても、無印版のそれと発売時期が近すぎる。
⑤完全版の値段が無印版と比べて同等以上と高額。
⑥DLCを謳いながらも、同時販売された複数ハードでの作品なのに一部の作品でしかDLCを適用できない。
①と②はよく言われる例。
③はその追加要素の量や質が新作一本分以上に相当する程の量や質であった場合、新作に無印版の内容も入ってると認識されて受け入れられることもある。
④は開発期間を考えた場合、無印版発売時点でその追加要素分の開発も行われていたのではないか?と疑われる場合に完全版商法だと言われやすい。逆に無印版の方を「機能削減版」と揶揄されることもある。
⑤の値段については、もしも値段が安い廉価版として販売する場合や無印版購入者のみアペンドディスク並みの安値で購入できる権利が与えられるなどのサービスがあるような場合は完全版商法と言われることは少ない。
⑥は事実上の一部ハード版の切り捨てであり、追加要素で遊びたいならば適用できる方のハード版の購入を要求される。ゲーム機は高額商品であるため、通常の完全版商法よりも遥かに高額を支払わなければならないため、より悪質と言われることも。
要は楽して金儲けしようとしてる、費用対効果が合わない、などといったことから顰蹙を買いやすい商法である。
リメイク
リメイクとは、大体の場合昔のゲームハードで発売されたものを今のゲームハードでプレイ出来るように全面的に一から作り直したものをリメイク版という事が多い。
過去のゲームハードを入手することが困難である事や、過去の名作にハードや技術の進化に合わせたグラフィックの大幅進化や内容の見直しが行われ、時には追加要素が導入される事から歓迎される事が多い(とはいえ、リメイクが多すぎるとひんしゅくを買うが)。
このため完全版とは言われない。
HD版、リマスター版
HD版、リマスター版は数世代前のゲーム機で発売されたゲームを現行機種に合わせてグラフィックや解像度を調整し、再度発売するもの。
リメイクのようにグラフィックを一から作り直すという事は基本的には無く、あくまで元作品のグラフィックを高精細化するだけである。ただし、追加要素が導入される事はある。
元作品が出たゲーム機があまり売れなかった場合には、売れたゲーム機でHD版、リマスター版を出す事で大きく売るチャンスが生じる。
例として、WiiUで発売したゲームの多くがNintendo SwitchでHD版を発売し、WiiU版を超える売り上げを記録した。
ある意味では完全版だが、ゲーム機の世代を跨ぐため完全版扱いされない事も多い。
移植版
移植版は元々発売されたゲーム機から別のゲーム機に移植されたゲームの総称で、前述したHD版、リマスター版も移植版に含まれる。
リメイクは単なる移植では無く一からの作り直しである事が多いため、移植には含まれない。
移植は性能で劣るゲーム機へ行う事もあり得るため、移植版の方がグラフィックなどが低下する事も起こりうる。
移植の際に追加要素やグラフィックの強化などが数多く行われると、移植版であると同時に完全版であると見做されるようになる。
ベスト版や廉価版とは異なり基本的に新しいソフトとして売り出すことが多く、既に同じソフトを持っているユーザーにとっては「また一本買わなければいけないのかよ」という出費を要請することになる。ハードをまたぐ「移植完全版」だとハードを持っていない場合、さらなる出費も……。
また、完全版が出るシリーズと認知されると「完全版が出るの待とう」となって無印版の売上が下がり、先細りする要因になりかねない。
下手すれば無印版があまりに売れないためにそのままシリーズが終了してしまうおそれすらある。
一方で新規ユーザーにとっては完全版を購入することで全てプレイ出来るためお得である。
更に、オリジナル版の発売から1年未満で完全版を出す作品も存在し、ユーザーにとって完全版商法はあまり好ましくなくメーカーから金づるだと思われていると感じても致し方ない。
またこの商法のあり方は、所謂乞食と呼ばれる輩の増加に拍車をかける事にも繋がっており、昨今ではたとえそれがファーストタイトルであろうとも、Twitter等で他会社のハードへの完全版を望んだり、酷い時には開発会社や開発者のアカウントに対して完全版を物乞いする輩まで存在する(一例)。
行きすぎた乞食は自分勝手で勿論非難されるべき行為であろうが、詰まるところ新作を出したとしても「どうせすぐにこれの完全版を出す」というユーザーからメーカーに対する信用が崩壊した証でもあり、一概にその乞食のみが悪いとは言い難い。
結局はユーザーを大事にした商売をした堅実な会社は非難されないということである。
シリーズ
- テイルズオブシリーズ
- ゴッドイーターシリーズ
- 信長の野望シリーズ
- 三國志シリーズ
- 真・三國無双シリーズ
- ファイナルファンタジーシリーズ
- ペルソナシリーズ
- 真・女神転生シリーズ
- ストリートファイターシリーズ…特にストリートファイター2の時代の作品で言われやすい。当時は当然ながらアップデートやDLC等が無い時代であったため、そのバージョンアップは基板毎変更しなければならなかった。そのため僅かな変化で別作品として販売されるということが起こり得た。その中でも無印→ダッシュ→ターボの頃は見た目での大きな変化が少ないためそう言われやすいが、実は色々と細かく変化していることが有名。それを逆手にとって無印~スーパーXまでの五作品の性能の中から選んで戦うことができる「ハイパーストリートファイターII」が販売されたこともあり、コアなファンから人気を博した。
- モンスターハンターシリーズ…殆どの作品にて完全版となる作品が登場している。基本的にタイトルの後ろに「G」とついているものが完全版に相当するが、MHWorld以降ではDLCの形態になっている。モンハンは完全版抜きでも他のプレイヤーとの協力プレイも楽しめるものであり、また完全版で追加されるクエストは上位クエストを一定まで進めることを前提としているために無印版の頃から購入し、それをクリアしてから完全版の方も購入するというプレイヤーは多い。
- 実況パワフルプロ野球シリーズ…プロ野球という題材から開幕前のデータによる通常版と、シーズン終了後のデータによる決定版(完全版)の双方で需要のある事例。特に優勝チームの選手の能力は開幕前よりもシーズン終了後の方が高くなりやすいので、いつも買うというシリーズのファンでなくても現実の優勝チームのファンだからと決定版を買う場合という場合もあった。近年は野球自体の人気が昔よりも落ちているため開幕版と決定版という販売方法ではなく、ひとつの作品をアップデートによって選手の能力を変化させたり、選手を追加したりというやり方を取っており、アップデートこそ必要だがひとつの作品で販売から1、2年最新データで遊べるようになった。
- デビルメイクライシリーズ
- 3、4、5でスペシャルエディションの名前で完全版を販売。
会社
逆の例
- 星のカービィスターアライズ…発売後に複数のDLCを出すことで、歴代のラスボスキャラを含めた人気キャラ達の多数追加プレイアブル化や完全新モード追加等の追加要素を多数出したもののその全てを無料で行ったため、「金を払わせてくれ」「振り込めない詐欺」と逆にユーザーに言わしめた稀有な作品。
日本ファルコムの完全版商法
近年となってこのメーカーも完全版商法が増えてきているが、他のメーカーとはかなり異質を放っている(なお、2000年前後から既に「イース完全版」等を乱発しており、PCゲーマーにとってはコーエーと双璧の「商法」メーカーである)。
オリジナル版が2016年に発売されたイースVIII-Lacrimosa of DANA-はオリジナル版の発売前の時点で既に完全版の告知がされるという完全版商法としては異例のケースだったが、無印版のDLCは収録されないどころか配信すら一切なかった。因みにこのケースが起きた背景には、元々はクロスプラットフォームで開発していた所、後に完全版で出すハードの開発が難航した為で、どちらかというとアーリーアクセスの考え方に近い。オリジナル版の事を公式は「先行発売版」と称している。
後にSwitch版にも完全版仕様で且つ上記のオリジナル版と完全版のDLCが収録された本当の意味で完全版が発売される事になるが、Switch版はそもそも移植メーカーがそのままパブリッシャとして発売する事になっており、Switch版においてファルコムは一切口出しをしていない模様。元々ファルコムはSwitchでの開発には消極的でファルコム側が企画した物ではない為、パブリッシャとして発売するつもりもないものと思われる。
オリジナル版が2015年に発売され、約一年後に完全版が発売された東亰ザナドゥは日本でこそ間隔を空けての発売だったが、海外版ではオリジナル版と完全版の同時発売と言う、またまた異例のケースが起きた。
分割商法…後から追加要素を付けて出す新作として販売する完全版商法とは異なり、当初から一つの作品の内容を複数に分割して販売する場合
コメント
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すべて見る- ~None of The True Human(Being).
エルフの新緑~Border of Real.
…完全(※世界)版、出来ました。…そして、冷やし中華始めました(※謎の夏が始まった感)! 追記・「アンダーナイトインヴァースタグ」付けてくださった方、申し訳御座いませんが、筆者自身、この作品がとても「アンダーナイトインヴァース」タグをつけるにふさわしくないと判断し、このような処置を施すことにしました。当方すみません。…そして、この作品を御拝読有難う御座います。10,232文字pixiv小説作品