概要
攻略本に記事タイトルの一文が載った『スーパーロボット大戦F完結編』は、「オールドタイプには人権がなかった」と呼ばれるほどパイロット間の能力差が激しかった作品である。
敵機の高性能化により増大した被ダメージと高い被弾率。自軍ユニットの撃墜を阻止するため回避力を重視するプレイヤー達にとって、スーパー系(※1)はもとより、リアル系の中でも(高い回避補正を持つ)ニュータイプ、強化人間、聖戦士以外のキャラは、「避けず耐えず当てられず」で使い物にならない存在であった。攻撃に当たれば一撃死も当たり前の環境は、「ニュータイプにあらずんば人にあらず」という言葉に集約され、ファンの間で語り継がれている。
そして、その言葉は同作で本格的に参戦を果たした(※2)『新機動戦記ガンダムW』のキャラにも該当した。ニュータイプの概念が無いW世界(ボンボン漫画版除く)の住人である彼らも、オールドタイプに属するリアル系として全く使い物にならないと判断され、自軍に加入しても即2軍行きという非情なまでの仕打ちを課せられることになる(※3)。
そんな中、辛口な解説に定評があるスパロボの攻略本は、当時エヴァンゲリオンと肩を並べるほど人気のあったガンダムWのキャラ解説でも全く忖度することなく、容赦なく切り捨てていく。
代表的な例としてごひと終始ネタキャラになってしまった張五飛の解説が有名である。
「一応仲間になるくらいの認識でいいキャラ」
「やる気がないんじゃないかと疑いたくなるほど回避力が低い」
「仲間になるといまいちだった」
機体のアルトロンガンダムの性能がそれなりに優秀なこともあって「機体のポテンシャルだけを見るとかなり良い感じであるが、肝心のパイロットがどうしようもないので、実践で使うのはちょっと辛いか」と解説される始末である・・・
その辛辣な解説の数々は動画やSNSを通じて多くの人の目に触れ、実際にゲームをプレイした人からは「あるあるネタ」として、未プレイの人からも現代では凡そ見られないような切れ味鋭い内容が人気となった。
注意点
ただし、これらの評価はあくまでもゲーム発売当時のプレイヤーや攻略本のライターによる評価に過ぎない。
実際の『スーパーロボット大戦F完結編』は気力の影響が凄まじく大きい完全な気力ゲー(※4)であり、オールドタイプのパイロット達も攻撃を回避するのが難しいだけで攻撃を耐えられないわけではなく、運動性を強化すれば攻撃を当てられないわけでもない。
特に五飛は「気合」「鉄壁」に加えて「挑発」「魂」という優秀な精神コマンドを持ち、運動性・装甲の高い乗機と噛み合ったその能力自体は決して悪いものではない。問題が有るとすれば、終盤2つあるルートのどちらを通っても自軍で使えるステージが2つほどしかないというとんでもない参戦の遅さの方である。
攻略本の解説や「ニュータイプにあらずんば人にあらず」を真に受けて発言すると、F完に詳しいプレイヤーとの間で余計なトラブルを招く可能性もあるので注意されたし。
脚注
※1 F完結編の終盤は宇宙が舞台なので、ゲッターロボやガンバスターといった宇宙の地形適応に優れたユニット以外は宇宙Bという十字架を背負うことになり、地上で猛威を振るっていた聖戦士も揃ってリストラなんてのもザラであった。
※2 初参戦は1996年の『新スーパーロボット大戦』だが、Wの放送中に制作されたので序盤しか再現されていない。
※3 一応ヒイロはW系パイロットの中で唯一精神コマンド「集中」を持ち合わせており、比較的使いやすい。ウイングガンダムゼロカスタムを入手できれば自軍でトップクラスの戦力になる。
※4 最大で攻撃力・防御力50%アップ。装甲の数値が高いユニットの気力を精神コマンドや被弾で上昇させると、雑魚敵の攻撃に対しては「鉄壁」を使うまでもなく余裕で対処できるようになる。