概要
CV:杉山佳寿子
イズミの元師匠の錬金術師で、深い森の奥に屋敷を構えてひっそりと暮らしている。
物語後半で登場し、ライラを弟子にしていた。また、エルリック兄弟も使う「フラメルの十字架」も元々ダンテが使用していた物である。表面は穏やかな老婦人だが大の人間嫌いで、それによりイズミと袂を分かった。
ネタバレ注意
※以下、2003年版アニメ(旧ハガレン)の終盤のネタバレ注意
概要
その正体は、アニメ2003年度版のホムンクルス達の統括者であり、原作における「お父様」ポジション。物語全体での最大の黒幕。
他人の肉体を乗っ取り、悠久の時を生きてきた女錬金術師。
錬成陣無しの錬成や赤ん坊を使って真理の扉を開くなど、錬金術師としての実力は高い。
イズミ・カーティスを弟子に取っていたのも、彼女の強靭かつ高い錬金術の才能を有した優秀な肉体を次の乗っ取り先としてストックしておくのが真の狙いであった。
(ただし、この目論見自体はイズミが人体錬成を行ったことで肉体が欠損、乗っ取り先に適さなくなったため諦めている。)
本性を表した後は、弟子のライラの身体を生きたまま乗っ取って暗躍する。
その目的は永遠の命を得ること。そのために肉体の入れ替えに必要な賢者の石を欲している。一般に知られないように石の秘密を守ると同時に、多少の石の情報を流す、あるいは争いを起こすことで、石を追い求める者に作らせ、それを横取りするという計画を立てていた。
ただ、賢者の石を用いた方法では、肉体は新品でも魂その物が劣化していくため、生きたまま身体が腐敗していき、さらにその周期も早まるという欠点がある。その回避のために真理の扉の研究なども行っていた。
性格
物語の進行と共にその本性を表し、その冷徹・利己的な業の深さが現れてくる。
恋愛観に関してはヤンデレに近い感覚を持っており、かつての夫だったホーエンハイム・エルリックを400年以上も愛し続け、彼に拒絶されるとホーエンハイムを真理の扉の向こうの世界に飛ばした。ホーエンハイムが去ってからの数百年、自身の秘密を周囲に気づかれないようにするために夫や愛人を何人も作っていたらしい。
ホーエンハイムの息子であるエドにも興味を示し、ロゼの肉体を得たら彼と恋仲になろうとしていたなど、かなり性には奔放。
活躍
リオールではスカーに賢者の石を錬成させようと企み、当初は有無を言わさず軍をリオールに侵攻させようとしていた。
だがエドに対する好意からプライドにエドの手紙を根拠に出陣を見送らせるよう指示し、一時的に別の仕事をするという名目で政治的圧力を失わせ、虚栄心が強い現場のアーチャーが暴走するという方法に切り替えている。
一方で賢者の石を求めた者を滅して「賢者の石を求めた者は滅ぶ」という伝説を作り上げ、人間が賢者の石に拒絶感を持つように仕向けるという上記の計画とは矛盾したことも目的としており、そのためにホムンクルス達を使って工作活動を行っていた。
これは賢者の石の秘密を独占しておきたいという利己的な理由によるものだが、彼女の言い分としては火薬を手に入れただけで戦争を繰り返す人間が賢者の石を手に入れれば世界そのものさえ滅ぼそうとするのではないかという危惧もあったようだ。
終盤では、地下都市にて賢者の石となったアルを人質に取ってエドを迎え撃ったが、アルが自らを犠牲にする形で賢者の石を使用したため計画は失敗。動揺した彼女はプライドに人間を追い詰めさせるために逃亡し、最期は自ら理性を奪ったグラトニーに襲われるという結末を迎えてしまう。
劇場版『シャンバラを征く者』に於いては、エレベーターから落とされて地下都市の建物を喰らって怪物化したグラトニーが登場しているが、結局の所ダンテ自身の最期のシーンは明示されていない。
配下(ホムンクルス)との関係
ホムンクルス達は「賢者の石で完全な人間にする」との口実で利用していたに過ぎず、エンヴィーと自分が造ったプライド以外は全く信用していなかった。
とはいえかつての自分の愛人をもとに造ったグリードに対しては謀反を起こしても最初は封印するに留めるぐらいには情があった。
ただし、ダンテが錬成した中でもグラトニーは「賢者の石の錬成」という明確な目的がある実用本位のホムンクルスであり、情は持っていない。
一番新参であるスロウスの事はその冷酷さと智謀が気に入ったのか寵愛していたが、ラストに関しては個人的な感情で動くこともあったためか磔にしたりとぞんざいに扱い、自分のために賢者の石が欲しいだけで人間にしてくれることなどないと知られ離反されている。
ラースに対しては、彼はダンテの配下と言うよりスロウスに依存していた為、石を勝手に使おうとした事でエドの手足を奪われてしまうなど、ダンテの信頼を得るには至らなかった。
ホーエンハイムとダンテの息子をベースにしたエンヴィーは人間になりたいとは微塵も思わず彼女の一番の信頼を得ていたが、彼には世界を滅ぼすというダンテとは別の目的があった為、いわゆる「組織のボス」としてのカリスマ性はなきに等しい。
逆に言うとずばぬけた錬金術の知識と能力を持っただけの、良くも悪くもただの人間であるとも言える。
なお、ホムンクルスたちに名前を付けたのはダンテであり、コンプリートブックによれば名前と400年前に流行り今は廃れた古い宗教の大罪はそれぞれ対応している。
余談
間違いなく悪女ではあったが、400年生きただけあってか発言自体は的を射たものが多く、エドに対して「等価交換」の欺瞞性を指摘する台詞は名言と名高い。
最初こそは「愛する人と添い遂げたい」と願っていた普通の女性であったが、あまりにも愛を求め過ぎたがゆえに長い年月で歪んでしまった哀れな女性でもあったと言える。
その憎み切れない人間臭さで、一部では高い人気を得ている。
2003年版の監督を務めた水島精二氏によれば、「ライラを乗っ取ったダンテがラスボスになる事は最初から決まっていた」との事である。
2009年版「FULLMETAL ALCHEMIST」では、老ダンテにそっくりな老婦人がカメオ出演している。入江監督曰く「ダンテ本人ではない」との事。