CV: 勝生真沙子
「男達は戦いばかりで、いつも女を道具に使うことしか思いつかない。…もしくは…女を辱めることしか知らないのよ…っ!」
プロフィール
性別 | 女性 |
---|---|
年齢 | 23歳 |
階級 | 少尉 |
所属 | エウーゴ→ティターンズ(ジュピトリス) |
概要
主な任務は諜報活動や兵器輸送などであり、物語後半にはモビルスーツパイロットも務める。
搭乗機体はメタス、ゲルググ、メッサーラ、パラス・アテネなど多岐にわたるが、どの機体にもそつなく順応しており、基礎対応能力の高さを示している。
性格
テレビアニメ版
テレビアニメ版におけるレコアの性格は基本的に穏やかであり、エウーゴ在籍時には本作の主人公であるカミーユ・ビダン(以下カミーユ)やファ・ユイリィ(以下ファ)にも強く慕われていた。
特にカミーユにとってレコアは「(アムロにとっての)マチルダ的存在」であったと情報誌誌『模型情報』でも紹介されており、「憧れのお姉さん」的なポジションにあったようである。
正義感のためというよりは成り行きで軍に所属しているといった体であり(後述)、思想や信念などというものは持たないとカミーユやファに漏らしている(33話、45話)。
ティターンズからエウーゴに寝返ってきた女性士官のエマ・シーンとは何かと対比的に描かれることも多いが、そこでも「正義感に突き動かされるエマ」と「自分の心に従おうとするレコア」といった描かれ方をしている。
後述の理由から男性不信の感が強く、物事をすべからく「男」と「女」でわけて考える傾向にある。
エマからは後に「女でありすぎた」という評価を受けている(49話)が、それに関しては本人も「そうよ、私は女よ。だからここにいる、あなたの敵になった。ーだから戦うのよ!」などと返答しており、自身が「女」に、そして「男」に囚われていたことは認めていたようである。
また「強い女」「落ち着いた女」として描かれることの多い彼女だが、実際は弱い部分も多くみられる。
ティターンズへの転向後には司令官であるバスク・オムの命令でコロニーへの毒ガス作戦を実行させられ、当初激しく抗議して辞退を試みるものの最終的には暴力と脅迫に屈する形で決行に踏み切っている。
しかし我が身可愛さとはいえそうした自身の行為に深い嫌悪感を抱いていたことも事実であり、最後の瞬間までエウーゴが止めに来てくれることを願っていた。
死や拷問の恐怖に屈した他力本願の身勝手と言われてしまえばそれまでだが、人間は実際にそれほど強い生き物では無い。
レコアの「弱さ」や「人殺しへの嫌悪」は、それまでのアニメや漫画で描かれていたような「ヒーロー的な(もしくは完全に悪役じみた)軍人像」を打ち壊す「ガンダム的リアリティ」の一つであったとも言えるだろう。
劇場版
劇場版ではテレビアニメ版とは違い、穏やかというよりは少々勝ち気でキツめの性格に描かれている。
その背景には設定の大幅変更(後述)が存在するが、それによって本来のキャラクター像とは大きく異なってしまっている。
テレビアニメ版と比較して大きく尺の短い劇場版の中で変更した設定を織り交ぜて物語を完成させるには致し方ないことであり、設定の変更を考慮してみるならば非常に一貫したキャラクターになってもいるため一概に否定することはできないが、あくまでテレビアニメとは違う世界線の物語として観ることが勧められる。
小説版
ファがメタスに乗り込もうとしたときにネモに乗るようアナウンスが来て自分にメタスが回ってきたことにドヤ顔したりと映像作品よりも明朗な部分が見受けられる。また、経緯は不明だがクワトロに妹がいることを知っており、TV版や劇場版と違いある程度は付き合いつつも彼に深く依存しすぎないように心得ていると思われる描写がある。
エマがフランクリンとカミーユを連れてエゥーゴに投降した後、フランクリンがリックディアスに興味を持ちあろうことか持ち出そうとするという不審行動を執ったため彼を射殺してしまう。
カミーユはその後の日記で「フランクリンに非があるし、レコアさんは許す」と書き込んでいたが彼女はカミーユに負い目を感じていたようで、ジャブローへの先行偵察時にカイと一緒に囚われた時もフランクリンを殺した報いだと受け入れている節があった。
それでも尋問を受けた後遺症で暫く男性恐怖症は患っていたようだが、ケネディ宇宙空港の攻防戦でシャトルに搭乗時隣に座ったモブの兵士が手を握ってきて”その手が震えている”ことを感じ取り我慢することで吊り橋効果的に克服に成功。
宇宙に上がった後は特別病んでる様子はなく普通にブライトとも会話を交えたり作戦に臨んでいたりしたが、キリマンジャロ奪回~ダカール攻防後にカミーユが宇宙に上がったらいつの間にか配置換えでフェードアウトしていた。そのため映像作品とは異なりカミーユとは敵対していない。
過去
一年戦争の際に両親と故郷を失い、ゲリラ兵として戦いながら生き延びてきた。
その後は連邦軍に所属し、ブレックス・フォーラの創設した反地球連邦組織(ただし名目上は連邦政府の一部部隊である)エウーゴで少尉の階級にまでなっている。
その理由は「気づいたら」ということらしく、本人も認めるようにエウーゴの理念に賛同したからなどというわけではないようである(テレビアニメ第34話における本人談)。
軍人としては相応しくない行動の目立つレコアに対し「なら軍人なんてやめて仕舞えば良かったのだ」などとネット上では否定的な意見も多いが、上記の事情を踏まえるならば15で両親と故郷を失い戦地の中で生きてきた(レコアが23であることを踏まえるならば一年戦争時は15ということになる)少女にそれを言うのは酷だろう。
戦争以外に出来ることも、戦場以外に帰れる場所もなかったというのは彼女にとっても大きな不幸であったはずである。
男性関係
「辱め」に関するトラウマ
上でも述べたようにレコアにはいささか行きすぎた男性不信、男性嫌悪の傾向がある。
実際カミーユや倒れそうになった体を支えてくれた男性士官に対しても、体に触れられると大きく不快感を表して「離して!」などと振り払っており(32話、38話)、「男が苦手」などというような可愛らしい類のものではない。
その直接的な原因があるとするならば、ジャブロー潜入時の一件が挙げられるだろう。
お茶の間の子供向けアニメということもあり当然直接的な描写はないが、本編第12話において協力者でもあり自身とともに捕縛されていたカイ・シデンに対して「あんな辱めを受けて!」と発言しているのが確認される。
その後もカイの口から「レコアさんの協力者のつもりだったんだが…どうやら彼女を苦しめてしまったようで」などとカミーユに対して洩らされており、それに対してレコアは深く掘り下げるのをあえて避けているように見受けられる。
小説版ではもう少し細かい描写も存在し、カイからは「あんたの体を傷物にしてしまった」と謝罪されてもいることから、おそらくはなんらかの性的被害に遭ったのではないかというのが一般的な解釈である。(ただしこの設定は映画版ではおそらく無かったことにされており、「辱め」に関わる台詞は全てカットとなっている。これによってレコアの行動解釈にもテレビアニメ版とは違いが生まれ、結果的にはキャラクターの性格にも影響を及ぼしている)
その後長くに渡って引きずっている男性不信や恐怖症とも見られる態度、死ぬ間際に叫んだ言葉(トップの「男達は…」にあたる台詞)などを踏まえて考えれば、その被害がどこまでのものであったのかに関わらずその出来事が彼女の心に大きな負担を与えていたことは間違いなく、「戦時における性搾取」というそれまで、そして現代に至ってもタブー視されることの多い問題に大きく切りこんだ内容になっていると言える。
クワトロ・バジーナとの関係
クワレコ参照。
ハプティマス・シロッコとの関係
シロレコ参照。
まとめ
『機動戦士Ζガンダム』は数あるガンダム作品の中でも女性を軍人として登場させた初めての作品である(ファーストでも女性軍人は存在したが、パイロットスーツで前線に出て戦うことを一般に女性にも担わせるようになったのはΖが初である)。
レコア・ロンド、エマ・シーン、ファ・ユイリィ、フォウ・ムラサメ、ロザミア・バダム、サラ・ザビアロフ、マウアー・ファラオ、ライラ・ミラ・ライラ。
男女雇用均等法制定年の世相を反映してか、作中に大量投入されたという彼女達は男顔負けにモビルスーツを操り人を殺した。
彼女達はその思いも戦い方もそれぞれであり、それぞれの形で「女の戦争」を見せてくれた。
レコア・ロンドはその中でも一際「女」を色濃く醸し出したパイロットであると言えるだろう。