概要
形式番号MS-05L。
メカニックデザイン企画『ハーモニー・オブ・ガンダム』に登場したMS。
旧式化したザクⅠをキャリフォルニアベースにて長距離狙撃用に改修した機体で、ゲルググで実用化されたビーム兵器の携帯技術を転用し、長射程のビームスナイパーライフルが使用可能となっている。
また、頭部は狙撃用に強行偵察型ザクのカメラアイを使用、右膝には狙撃姿勢を保つため特殊なギアが設置されている。
その特殊な頭部構造故に、指揮官用ブレードアンテナは頭部中心からずれた場所に設置される。
この機体は、オデッサでの敗戦以降、旧式化した旧ザクをなんとか戦闘用途に使えないかというジオン軍の現場の事情により、少しでも戦力になればという思想から生み出された経緯がある。
そこで最小限の攻撃で最大限の効果を発揮する狙撃に主眼が置かれた。それまでMSでの狙撃任務では一部のパーソナルカスタム機を除き狙撃に使うには命中精度と火力に難があったマゼラトップ砲を使わざるを得ず、懸案事項となっていたという事情もあった。
本来ザクのジェネレーター出力ではビーム兵器の稼働が不可能であったため、背中に本体の融合炉と同等以上の出力を発揮するサブジェネレーターを搭載したランドセルを背負う事で解決した。
このランドセルはゲルググキャノンの技術を転用して造られたもので、重量増加による機動力低下を補うためにスラスターも増設されている。ただし急造品であったため冷却時間には難があった。
開発経緯はさておき「モビルスーツが持つ地形走破性を最大限に活かしてどんな場所にも陣取ることが可能な長射程ビーム砲搭載型移動砲台」と呼べる代物であり、狙撃型モビルスーツのある種の最適解とも言っても過言ではない・・・のかもしれない。
ちなみに、ザクⅡに本機のランドセルとビームスナイパーライフルを装備した機体も存在する。
武装
ビームスナイパーライフル
本機の主武装であり、背部の大型ジェネレーターから供給される出力もあって、火力はMSを一撃で撃破できるほど。数射毎に赤熱化したバレルを交換する必要がある。
『機動戦士ガンダムUC』ではヨンム・カークス少佐が駆る指揮官仕様の本機が上空からの狙撃でネモⅢを撃墜している。
頭部バルカン砲
頭部に内蔵されたバルカン砲。ミサイル迎撃や敵機への牽制射撃を目的に設置されている。
本機の性質上、接近される程不利になりやすい事から重要な自衛装備の一つと言える。
105mmマシンガン
ザクⅠ用のザク・マシンガンをそのまま流用したもの。対MS戦には火力が心許ないが頭部バルカン砲と同じく接近された場合の緊急用武装の一つと思われる。
ヒートホーク
白兵戦用の近接武装。本機の性質上格闘戦は不得手ではあるが、最悪の場合を考慮した上で装備されている。
劇中での活躍
一年戦争末期のジオン軍の困窮ぶりを端的に示すような半ば急拵えの機体だが、ゲリラ戦で一定の戦果を挙げている。
『機動戦士ガンダムUC』や『戦場の絆』にも登場する。
映像作品への出演はガンプラビルダーズから。
『ガンダムUC』に登場する機体は、ヨンム・カークスの専用機であり、ファットアンクル改に機体を固定する為のフックと頭部ブレードアンテナが増設されており、コックピットは統合整備計画に準じた仕様となっている。
また、バックパックにビーム・スナイパーライフルの予備バレルケースを2本装備している。
OVA『模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG』に登場した機体は全身を水色に塗装した「GPBカラー」となっている。コウジ・マツモトのファンの一人・イワモトが搭乗した。
また漫画『模型戦士ガンプラビルダーズA』ではゲルググキャノン指揮官機仕様の頭頂部センサーとブレードアンテナ、脚部とビームキャノン、そしてシールドを装備したミキシングガンプラが登場している。
PS3版『機動戦士ガンダム戦記』にも登場。
ジェネレーター出力の数値が高く、初期の段階でビーム兵器を扱える数少ない機体であり、連邦軍のミッションによってはかなり厄介な存在となる。
その他にも様々なゲーム作品に登場している。
ガンプラ
HGUCにて1/144スケールのものが通常版とヨンム・カークス版のものが一般販売。
プレミアムバンダイ限定でガンプラビルダーズ版がバウとセットで受注販売された。