概要
1987年に製作されたSFアクション映画。映画『プレデター』シリーズの第一作。
監督は『ダイ・ハード』のジョン・マクティアナン。主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。
南アメリカへ要人の救出に向かった特殊部隊と、ゲリラ的に人間を狩る地球外生命体『プレデター』の死闘を描く。
あらすじ
ダッチ・シェイファー少佐と彼の率いるコマンド部隊は、旧知のディロンによって南アメリカに招聘される。その任務は、ヘリの墜落によって、隣国のゲリラの活動地域に取り残された要人の救助だった。
ジャングルへ降下した一行は、皮膚をはがされて木につるされたグリーン・ベレーの死体に遭遇し、ゲリラにこんな芸当ができるのかと訝しみながらも進軍。やがてゲリラの基地へと到達し、難なくこれを壊滅する。
任務を果たした一行は国境へ向けてジャングルを進むが、道中、姿の見えない何者かの襲撃を受ける。圧倒的な身体能力と、得体のしれない武装を備えたそれは、ゲリラを歯牙にもかけなかった彼らを一人また一人と難なく屠っていく。グリーン・ベレーを襲ったのもこの怪物だったのだ。
絶望的な状況下で、ダッチは怪物との死闘に挑む。
登場人物
アラン・"ダッチ"・シェイファー少佐
部隊指揮官。元グリーン・ベレーの隊員でディロンとは元戦友。百戦錬磨の優秀な指揮官として内外から絶大な信頼を得ている。
ジョージ・ディロン
演:カール・ウェザース
ダッチの元戦友。現在は軍を退役し、CIA職員を務めている。
アンナ・ゴンザルベス
演:エルピディア・カリロ
ゲリラに所属する女性兵士。事件に関する重要な証人としてダッチの部隊に捕囚され、随行することになる。プレデターの襲撃を通じて、次第にダッチを信頼して協力するようになる。
マック・エリオット
演:ビル・デューク
吹替:麦人
黒人の軍曹。ブレインとは「兄弟」と呼び合うほど仲が良い。
携帯式ガトリング砲(チェーンガン)を装備。
ブレイン・クーパー
演:ジェシー・ベンチュラ
マックと共に数々の激戦を生き抜いた屈強な兵士。噛みたばこを常用し、ぼろぼろのスローチ・ハットを被っている。
7.62mmミニガンを装備。
演:ソニー・ランダム
ネイティブアメリカン・スー族の末裔。寡黙な性格。鋭い第六感を持ち、プレデターの存在を最初に察知した。
ホルヘ・"ポンチョ"・ラミレス
演:リチャード・チャベス
チカーノで、スペイン語に堪能している。そのため、アンナの通訳を担当した。
グレネードランチャーを装備。
リック・ホーキンス
演:シェーン・ブラック
通信兵。大きなワイヤー眼鏡がトレードマーク。猥談の要素を含んだジョークとコミックが好き。逃走しようとしたアンナを追跡中にプレデターの襲撃を受け、部隊の中で最初の犠牲者となる。
演じたシェーン・ブラックは脚本家・映画監督としても活動しており、この後2018年にはシリーズの新作『ザ・プレデター』を監督している。
ジム・ホッパー
グリーン・ベレーでダッチの古い友人。ダッチらに先立って派遣されたが、プレデターにより殺され、その死体は皮を剥ぎ取られ、木に吊るされていた。
ホーマー・フィリップス少将
演:R・G・アームストロング
少将。ダッチの部隊を派遣させた後、ヘリコプターでダッチを救出した。
パイロット
演:ケヴィン・ピーター・ホール
ヘリコプターのパイロット。フィリップス少将の指示でダッチを救出した。映画では無名だったが、コミック『Predator: Dark River』ではマーサーという名前が設定されている。
ロシア人顧問
演:スヴェン=オーレ・トールセン
バル・ベルデのゲリラ部隊を支援するため、ソ連から送られた無名のロシア人の顧問。
プレデター
演:ケヴィン・ピーター・ホール(スーツアクター)/ピーター・カレン(声)
吹替:笹岡繁蔵/大友龍三郎
宇宙からやってきた異星生物種族。人類を遥かに凌駕する身体能力と技術力、高い知能を持ち、さらに光学迷彩とプラズマ兵器を駆使して、赤外線を探知して獲物を捕捉する。ダッチたち部隊を一人ずつ追いつめていく。
余談
- マック役のビル・デュークは「元グリーンベレーのクック」として『コマンドー』でもシュワルツネッガーと競演しており、某ニコ動画ではコメント機能を使ってクックの額に赤い「∴」を貼り付けるのがお約束である。ちなみに玄田版吹き替えにて、ダッチに対し「少佐」というところをマックが間違えて「大佐」と呼ぶシーンがある。これもおそらくコマンドーで共演したが故のミスだろう。
- プレデターのスーツアクターはラストシーンでダッチを救出に来たヘリのパイロットとして"顔出し"出演している。
- 本作でプレデターの声を担当したピーター・カレンは北米では「コンボイの中の人」、何の因果かシュワちゃんの吹き替え声優である玄田哲章とは外の人つながりである。
- ブレイン役のジェシー・ベンチュラは元軍人(SEALs隊員)で実際にベトナム戦争で活躍していた。除隊後、プロレスラー“ジェシー・ザ・ボディ・ベンチュラ”としても名を上げており、見た目通り相当な筋力の持ち主だが、それでも本作のガトリングガンの重量は堪えたという。後にシュワちゃん主演の映画バトルランナーでも共演しただけでなく、両者とも州知事になっている。
- 『ロッキー4/炎の友情』の公開後の数ヶ月間、ロッキーの次の相手は宇宙人だろうというジョークを、脚本家のジムとジョン・トーマスが真に受け、それを基に脚本を執筆したのがこの映画である。
- 2013年12月20日に20世紀フォックス吹替の帝王シリーズの第3弾として玄田版と屋良版双方の吹替を収録したブルーレイが発売された。更にTV放送時にカットされた部分を同じキャストで追録している。ただし、故人となってしまっている声優はそれぞれ「内海→楠大典」「青野→浦山迅」「山口→桐本琢也」が代役を務めた。
- ただし叫び声が高音質化で欠落してしまうため叫び声を原語版に差し替えるという苦肉の手段が物議を醸した…。しかしイマジカBSで玄田版が放送された時に従来の吹替版を元に吹替の帝王での追加収録部分を補い、叫び声が吹替のままのハイブリッド版が放送された。
- 2018年に「制作30周年記念ニューマスター日本語吹き替え完声版」が発売され、こちらではプレデターの声や叫び声などが吹き替えに対応されている。
- ブレインが装備しているM134を翻訳担当者が「チェーンガン」と誤訳しており、気付いたのは放送された後であったが、この誤りが後の作品などに影響したのか、それら作品内で登場する携帯式ガトリング砲がチェーンガンと呼称されるケースがしばしば見受けられている(なお、チェーンガンには砲身や薬室が一つしか無い。また、機構的に連射速度の限界もガス圧式や反動式の機関砲とさほど変わらない点で、ガトリング砲とチェーンガンは決定的に異なる)。
- プレデターのスーツアクターは当初ジャン=クロード・ヴァン・ダムで、初期デザインは武道を活かした忍者風の怪物のアイデアが出ていたが、シュワちゃんやウェザース、ベンチュラといった肉体で知られる俳優が多く出演するためさらに脅威的な登場が必要になったこと、ヴァン・ダムがスーツやアクションが少ない(得意のマーシャルアーツをシュワちゃん相手に披露するつもりだったのがそのシーンすらないということ)などの不満を申し出たため、この案は没、その後(映画制作時の比較的初期だが)ヴァン・ダムは辞退しているのだが、日本は勿論だが本国アメリカでも一部媒体ではその情報が伝わっていなかった為「プレデターの中身はヴァン・ダム」という情報が誤って流布されていた時期が有った。
- 今作でプレデターを打倒し、生還を果たしたダッチだが、その後発売されたコミックでは、プレデターから貰ってしまったのか帰還後まもなくエボラ出血熱に似た謎の熱病を発症、対処に困ったフィリップス少佐によって再びジャングルに連行されそのまま放置されるという悲惨な末路が描かれた。
- しかし2020年に発売されたゲーム『Predator: Hunting Grounds』では、2025年時点のダッチがプレイヤーキャラとして登場。こちらでは、ジャングルからの帰還後、プレデターを追って世界を飛び回りながら独自に戦い続けた末、作中時点では同じくプレデターを追う組織OWLFに雇われているという設定となっており、健在な姿を披露している(プレデターから奪い取った戦利品の影響で老化が遅くなっており、実年齢でおそらく80歳を超えているにもかかわらず、ジャングルを駆け回り武器をぶっ放している)。