※存在そのものがネタバレの人物であるため、この先閲覧注意。
「そう。俺は、今から大体50年後の、お前だ」
概要
過去転移魔術で50年前に時間転移したルーデウス・グレイラットの本人。現在のルーデウスがヒトガミの頼みを受けた直後に自宅の研究室に出現する。そして過去の自分である現在のルーデウスに対し幾つか忠告を与え、その直後に死亡した。
書籍巻末に収録されているキャラクターデザイン案では「老ルーデウス」とあり、読者からの通称は「老デウス」。
容姿
およそ50年後の未来からやってきているため、70歳前後と見られる。
年齢は違うが幾つかの点で現在のルーデウスと共通点がある模様。作中では、魔眼の影響で左右の眼の色が若干違う、オルステッドに貫かれた胸部の治癒痕が残っている、などの点が描写された。現在のルーデウスが見る限り、自分に似ていなくもないとのこと。
ただし、後述する過酷な人生を歩んできたためか、纏う雰囲気は戦い慣れした老練な気配を漂わせており、薄暗い眼光が鋭く凄んでいる。またどこか荒んだ表情をしており、殺すことなど何とも思っていないようだという印象を与えた。
また、現在のルーデウスが失っていた左腕に関しては、治癒魔術で再生したと見られる。
経歴
無職の日本人男性として生きていたのを、トラックに轢かれそうになった高校生たちを助けようとして死亡。
パウロとゼニスの息子として転生し、人生をやり直すことを決意する。
努力の甲斐あってシルフィとロキシーとも結婚し、魔法都市シャリーアに新居を構えて幸せに暮らしていた。
上記の通りある時点まで現在のルーデウスと全く同じ人生を送っていた彼だったが、未来から来た自分に遭遇しなかった点で本編の主人公であるルーデウス・グレイラットとは決定的に異なる未来を歩むことになる。
「大したことじゃないよ。今からちょっと地下室に行って、異常が無いか見てきて欲しいんだ。何もなかったらなかったで、それでいいんだけどさ」
ある日夢の中でヒトガミから自宅の地下室を確かめるように頼まれる。
数度の助言とその結果によりある程度ヒトガミを信用していた彼は、止める者もいなかったためヒトガミの頼みを承諾。そして地下室の扉を開けた際に、魔石病に感染しているネズミが地下室から台所へと逃げるのを見過ごしてしまった。ネズミが死の直前に漁っていた食べ残しをそうと知らずに小腹の空いたロキシーが口にして魔石病に感染してしてしまう。
治療するには神級の解毒魔術が必要で、クリフの協力を得えてミリス教団に保管されている解毒魔術の詠唱が書かれた本を手に入れようとしたが、追手によりクリフが死亡する。転移魔法陣によってシャリーアの自宅にまでたどり着くが、ロキシーは体の半分を結晶化させて死亡していた。
ロキシーが死亡したことを切っ掛けに、酒に溺れて周囲との距離を広げてシルフィエットとの関係も悪化し、家を出てアスラ王国へ行ってしまう。アリエル一派はクーデターを起こすも鎮圧され全滅。シルフィエットも戦死した。
その後は自暴自棄になって荒んだ生活を送る。
『お疲れさん。君が馬鹿なおかげで、僕の思い通りに事が進んだよ』
そしてヒトガミが再び夢に現れ、自身の暗躍によりロキシーとシルフィエットが死亡したことを明かす。復讐心に突き動かされヒトガミを殺害するために行動を始めた。
まず自身の戦闘力を底上げするために、「闘神」を参考にして「魔導鎧」を製作。鎧に魔力を通すことで強化された身体能力は列強並みにまで到達した。
同時にヒトガミの情報を探るべく世界中を旅して各地の長命種と接触していった。
しかし、アトーフェラトーフェ・ライバックと戦闘で自分を庇ったエリスが死に、留守を任せたザノバ、ジンジャー、ジュリ、アイシャが死亡など犠牲者が増えた。
その後も各地でヒトガミの痕跡を探り続け、古代龍族の残した遺跡からヒトガミが無の世界にいることと、そこに至るのに必要な「五龍将の秘宝」の存在を知る。「五龍将の秘宝」と龍神の秘術を使うことで世界の扉が開くことを突き止めたが、五龍将最後の一人と龍神オルステッドは消息不明。自力で秘術を編み出すことも不可能と判断し無の世界へは行けないことを悟る。
しかし、「召喚魔術」と龍族の遺跡にあった壁画の魔術を研究して過去転移魔術を開発。
50年前から書き続けてきた日記帳を起点に、ヒトガミに騙され、ネズミを地下室から外へ出し、ロキシーを殺してしまった過去へと飛ぶ。
作中の動向
ヒトガミの言葉に従い、地下室の様子を見に行こうとする過去の自分の前に現れ、ヒトガミが自信を破滅させてきたということを説明し、それに対処するための助言を与えた。
しかし過去転移の際に魔力不足により内臓が消滅し、最後に自分の50年間を断片的に記した日記を現在のルーデウスに託した後、過去の自分の腕の中で息絶えた。
死体は現在のルーデウスの手により火葬され、遺骨はパウロの墓に収められた。
戦闘能力
幼少期からの鍛錬による膨大な魔力量と、それを活かす多種多様な魔術、そして弱点である身体能力を補う魔導鎧の開発により、七大列強下位並みの戦闘能力を保有する。
また、現在のルーデウスと違って人を殺すことに何の躊躇いがないため、より残虐な手を取れるという強みがある。
習得魔術
「宙に浮く事もできるし、遠方の相手に通信する事もできる。腕だって生やせる。それどころか、時間すら飛び越えて、過去に飛べるようにまでなった……まあ、この魔術は失敗だがな」
魔術の本質的な研究を進めており、独自開発した魔術を含め多くの術を習得した。
以下は作中で言及されている彼の習得魔術一覧。
- 重力魔術
- 通信魔術
- 雷魔術
- 過去転移魔術
装備
- 魔導鎧(マジックアーマー)
自動人形の研究により製作された全身鎧。「闘神」が纏っていたとされる黄金の鎧にヒントを得て作られたが、性質は似て非なるものである。
体高 | 2メートル強 |
---|---|
稼働時間 | 半日(出力全開) |
動力源 | 魔力 |
外装 | ルーデウス製最高硬度素材 |
上記の通り装着者の魔力で動くのだが、余りにも燃費が悪いためルーデウス以外に動かせる者がいなかった。なお、出力を調整することで稼働時間を延ばすことは出来る模様。
未来からの日記を読んだ現在のルーデウスも後に同様のものを製作しているが、そちらはより短期決戦用向けの構造をしている。
関連人物
アリエルのクーデターに加担して戦死。死体は王都の処刑場で晒され、幾人かの人々から石を投げられていた。
老デウスの世界線においては魔石病により胎児と共に死亡。
アトーフェとの戦いで戦死。置手紙の行き違いから最後まで分かり合うことはなかったが、ギレーヌがエリスの気持ちを伝え想いは最期に届いた。
一度ほかの家族と家を出たが、戻ってルーデウスの世話をしていた。神殿騎士団の手によって斬殺される。
地球への帰還が失敗して絶望する。それ以上の詳細は不明。生きていない可能性が高い。
二度と姿を現さなかった。作者曰く、ルーデウス・グレイラットというイレギュラーによって変わる世界の観察に務めていた。
ミリス教団の追手が放った毒矢を受けて死亡。クリフが生きていれば魔導鎧や過去転移魔術はもっと完成度が高いものだったと回想されている。
クリフの死後に街を出て消息不明。
屑になったルーデウスを見捨てないで協力していたが神殿騎士団に焼き殺される。
クーデターに失敗し捕らえられ処刑された。
ヒトガミに騙されてアリエルのクーデター時に戦死。
数々の謀略を巡らし、ルーデウスの大事な存在を幾人も葬った。しかし余計なネタバラしをしたため、ルーデウスが過去に戻るというイレギュラーを引き起こしてしまう。
余談
作者曰く『無職転生』の世界観において時間逆行に関する処理は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』寄りらしい。