概要
生年1547年 没年1611年 常陸(ひたちと読む。今の茨城県)真壁藩の藩主。
初名は長吉(実際にはこっちの方が使用が長く、長政は晩年（秀吉死後）に変えたものである)
官位は従四位下（じゅしいのげ）、侍従（じじゅう） 通称は弥兵衛（やへえ）
生涯
1547年、尾張国（愛知県）宮後城主・安田重継の子として誕生。幼名は不明。
織田信長の家臣で弓衆の叔父（母方の弟）浅野長勝に子がいなかったため養子となる。（婿養子）
※長政の妻の姉妹は高台院（おね。秀吉正室）であるとされるため秀吉とは義兄弟に当たる。
その縁もあって信長から秀吉の与力になるよう命じられ秀吉の家臣となる。
1573年、織田に城の浅井長政を倒す際に戦功をあげ秀吉が小谷城主となると120石を与えられた。
信長死後も秀吉に仕え、賤ヶ岳での合戦後は近江（滋賀）に2万石を与えられる。
1584年には京都奉公職を、豊臣政権では五奉行の筆頭格となり、司法を担当する。
東国とのかかわりも深く、秀吉が廃した大名の金銀の管理を任されていたとされ、九州攻め等でも活躍を果たし、若狭国（福井県）小浜8万石の国持大名となる。
奥州仕置き（小田原戦後の東北制圧戦）では実行役となって重要な役割を果たしている。そのあとは東国や奥州の大名の取次役として九戸政実の乱や葛西一揆に対処した。
一方、他の五奉行である石田三成、前田玄以、増田長盛、長束正家とは非常に折り合いが悪かったとされており、これは他の四人が反徳川家康派であったのに対し、自身が家康寄りであった事も起因しているとされている。特に行政担当の三成からは、彼の融通の利かなさも重なって、物事を柔軟に対応する自身のやり方にかなりの反感を抱かれていた。
そして朝鮮出兵の際、家康や前田利家と共に秀吉自ら朝鮮に渡海する事に断固として反対を示した結果、その対立は決定的なものとなってしまったとされ、後の秀吉の死からわずか十日後、他の五奉行達は筆頭である自身を無視して毛利輝元を抱き込む形で起請文を交わしてしまう事態となっている（大名同士で勝手に徒党を組む事は秀吉の遺命に背く行為で、これが原因で三成と家康の間に深刻なまでの政治的対立が生じてしまう事になった）。
また、成田長親といった東国の武将を与力とするが、職務に不満を持った伊達政宗からは絶縁状を送りつけられてしまっている。
1592年に豊臣姓を与えられ、甲斐国（山梨）の府中約21万石を与えられる。
1599年、家康に暗殺の嫌疑をかけられて隠居させられ、嫡男の幸長に跡をつがせた。しかし、これは互いに同意の上で行った可能性が高く、実際に1600年における関ヶ原の戦いでは、家康の方を支持し、家康の三男・秀忠の軍に従軍して中山道を進み、幸長は東軍の先鋒として岐阜城を攻め落とし、関ヶ原の本戦で活躍した。
戦後、幸長はこの功績により紀伊国和歌山37万石へ加増転封された。
長政自身は江戸幕府の成立後は家康に近侍し、慶長10年（1605年）には江戸に移った。
慶長11年（1606年）には、幸長の所領とは別に常陸国真壁5万石を隠居料として与えられた。
その後は、関ヶ原の戦いを機に関係が悪化してしまった徳川家と豊臣家の和解に尽力するも、遂にそれは叶わずで終わり、慶長16年（1611年）、真壁陣屋にて死去。享年65。真壁5万石は三男・長重が継いだ。
人物・逸話
・小田原合戦のさい、沼津城進軍の時、家康は案内役として家臣に橋をかけさせた。
三成は警戒をあらわにするも長政が手勢を率いて安全性を証明したという。
・同じく小田原合戦の際、秀吉は家康の城に泊まることとなった。
三成はまたも危険視したが「大納言（家康）がそのような事をするはずがない」と進言。
秀吉は長政の進言を聞き容れ入城。家康から手厚くもてなされた。
・朝鮮出兵の際、秀吉は自分も行こうとした。三成は船を出すといったが、長政は「太閤殿下は、昔と変わられましたな。狐でも憑いているのでは?」といった。秀吉は斬ろうとするも、「私の首を落とそうとも何も変わりません。逆に殿下が渡海なされば国は乱れましょう」と諫めた。
・このうえの3つはどれも三成が関係しており仲が悪かったとされるが、逆説もある。
また、伊達政宗との絶縁は口論ともされている。
（逆に考えれば口論でおさまった方がおかしいようなおかしくないような・・・）
子孫である浅野吉長の失敗はあったが近年にようやく決着した。約400年である・・・
関連項目
浅野長晟（ながあきら）・・・次男。のちの安芸藩主浅野家（宗家）当主。
浅野長矩・・・内匠頭。安芸藩分家赤穂藩主。曽孫に当たる人物の一人。
浅野綱長・・・浅野宗家当主。赤穂事件の際は連座にならぬよう奔走するも・・・
浅野吉長・・・綱長の子で次の当主。伊達家との絶縁関係解決を図るも失敗してしまう。
水野忠邦・・・江戸幕府老中首座。祖父の水野忠鼎が浅野宗恒の次男で長政の男系子孫。ちなみに政敵になる土井利位は伊達政宗の男系子孫。
