船幽霊
ふなゆうれい
水難事故による亡者が悪霊と化したもの。 柄杓を欲しがり、そのまま与えるとその柄杓で海水をくみ上げて船を沈めてしまう。
船幽霊とは、水難事故に遭った亡者の幽霊である。
概要
嵐などによる水難事故で没してしまった人々の霊魂が、未練ゆえに幽霊となって海上を彷徨っている存在。猛霊八惨などの異名がある。
古くは『耳なし芳一』に登場する平家の亡霊たちなど、海戦で無念の死を遂げた兵士たちの亡霊として登場し、江戸時代になって漁業や廻船による交易が盛んになると、より海難事故が身近なものとなり、その姿を変えていくことになる。
定義としては幽霊の一種なのだが、近年の創作では妖怪の類として扱われる事も(似たようなケースを持つ同類に七人ミサキが存在する)。
江戸期以降の船幽霊
現在、一般的にいわれる船幽霊が以下のようなもの。
これを避けるには「底の抜けた柄杓を渡し、それに気を取られているうちにやり過ごす」「自分は土左衛門(水死体)だ」と嘘をつきとおす、などが有効といわれている。
ただし、一部の伝承によれば、水樽を投げ込むとそれに殺到し、飲み干すと成仏するとも言われている。
余談
霊魂が漁師を船幽霊から守ったり、船幽霊となった友人に水を与えて供養したり、海坊主が害をなすパターンもある。