概要
1990年代後半以降、地上波におけるアニメの放送本数の格差が拡大傾向にある。
理由の一つにアニメ放送が従来型の「ファミリー向け」「夕方もしくはゴールデンタイム(午後7~8時頃)」から、次第にアニメが深夜アニメにシフトし、その結果、地方では地上波で見られなくなったアニメが続発した。
特に深夜帯のアニメは関東圏(TOKYOMXやTBS、テレビ東京)、関西圏(MBS、サンテレビ、KBS京都)、中京圏(CBC、テレビ愛知)ではほとんどの場合確実に放送されるが、三大都市圏以外では、地上波放送されることは原作者の出身地、という理由などを除けば稀である。
またフジテレビの「ノイタミナ」枠も系列局によっては参加していない局があり、不参加局は番販扱いでノースポンサー・遅れ放送な上にローカル番組が最優先される編成だと飛ばされることも少なくない。
また、深夜帯のアニメでなくても、テレビ東京系の土日の午前中のアニメや夕方の時間帯のアニメ系列局のある都道府県以外は遅れ放送もしくは放送自体がない県もある。さらには系列局がキー局を含め28局もあるフジテレビ系の日曜朝のアニメは地方によって同時放送でない県もあり、中には放送すらしない系列局もある。
深夜帯のアニメが三大都市圏+αにとどまる原因
それまでのアニメは玩具メーカーやゲームソフトメーカーがスポンサーになっていることが多く、関連する玩具やゲームソフト、原作が掲載されている漫画雑誌のCMによる収入があった。
ところが深夜帯のアニメは、玩具メーカーからアニメ制作会社や声優のCDを出しているレコード会社などに取って代わられ、DVD、ブルーレイ(俗に言う「円盤」)の売上で製作費を回収するというビジネスモデルが確立し、人口比の割合の高い三大都市圏+αのみでいわば「30分のCM」として金を払って放送している。
また、独立局が存在しない北海道、岡山香川、福岡はテレビ東京系の系列放送局があっても、三大都市圏には遠く及ばないほど深夜帯のアニメ放送は少ない(テレビ東京系の土日の朝や平日の夕方・夜のアニメは同時ネットなので本数的には多いといえば多いのだが……)。
変化
かつて地方民の手段はCS有料放送加入、円盤を買う、レンタルビデオ、オタク仲間から録画したのを融通してもらうなど限られた方法しかなく、そもそも(ネット情報もないので)アニメをやっていることを知らない人が大半という激しい文化格差が起きていた。
2000年、BSデジタル放送が開始し、TBS-MBS-CBCでしか見られないアニメもTBS関連のBS放送であるBS-TBS(旧BS-i)で視聴できるようになった(もっともアニメのためだけにBSを見るならば事実上の有料放送加入にはなってしまう)。
2007年にはBS11(日本BS放送株式会社)が正式にBS放送を開始し、夜11時以降の「ANIME+」で三大都市圏でしか見られないアニメも他地域で遅れ放送ではあるが視聴可能になった。BS加入が必要だがそれでも「深夜アニメ過疎地」に住む道県民には救済という感じである。
ただしTwitterなどで関東民と一緒に「アニメ実況」に参加することはできないが……
2000年代後半には動画サイトが流行し、動画サイトは海賊版で溢れた。というよりも海賊版で溢れたことが深夜アニメブームの要因になったという本末転倒な事態が起きていたのである。ビジネススタイルの問題を目を背け削除一本槍で対応したため、なんら解決に至らず海賊版はますます増加していった。
ようやく2010年代からはアニメ業界のネットシフトが本格化。ニコニコ動画やYoutubeでの配信放送や安価な動画配信サービスが一般的になった。
さらに無料配信サービスのTVerの登場やリアルタイム配信の開始によって状況は大きく変化。これまでの状況は過去のものとなっている。
深夜アニメを流さない道県で深夜に流されている地上波番組
全てとは言わないが概ねこの通り。地方に泊まったときはホテルのテレビで思う存分絶望してほしい。
昔は映画とか海外ドラマも流れていたが、経営難なのか減少している。
三大都市圏以外で深夜アニメが流されるパターン
- テレ東系がある北海道、岡山香川、福岡の局が「全国放送」(とはいえ6局のみ)として深夜帯のアニメを時差ネットで放送(この場合テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知は再放送、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送は本放送扱いになるケースも)
- 作品(漫画、ラノベ)の原作者の出身地枠
- ノイタミナ等の大手系列アニメ。ただしネットしない局も多い
- いわゆる「ご当地アニメ」で舞台となった県(例)『花咲くいろは』『ふらいんぐうぃっち』etc.
- 初回放送の段階で予想を超える人気が出たため、全国放送やNHK(特にEテレやBS)での放送に踏み切る(例)『けいおん!!』『ラブライブ!』etc.