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概要
女性語は完全にユニセックスでニュートラルな中性口調よりも女性的ニュアンスがたっぷりと含まれている言葉遣いで、中性口調よりも艶っぽく大人びた女性らしい雰囲気を醸し出すのが最も大きな特徴ではある。
しかしながら、良くも悪くも無難な中性口調よりも表現がかなり回りくどく、非常に過剰な言い回しであり、使い勝手も非常に良くないことから、現実社会の会話では敬遠され全く使われていない絶滅危惧種として扱われている言葉遣いでもある。
女性語の存在価値
漫画・アニメ・ドラマなどの創作作品では辛うじて残っているものの、主人公キャラクターを筆頭とするほとんどのキャラクターは中性口調をメインにするのが基本で、女性語を常用するのは、あくまでもごく一部のお嬢様・お姫様・お姉様・優等生・母親・高飛車・腹黒・ツンデレ・オネエなどの属性を持つ少数キャラクターしかいないのが、昨今におけるフィクション世界の現状である。
また、この手の物腰が低く柔らかいキャラクターが人気が意外と高い傾向にある。
ところが近年ではキャラクターの価値観・ジェンダーフリーなどの多様性化により、上記の属性キャラクターでも女性語を必ずしも常用しているわけでもなく、むしろ減少傾向にある。
例えばヴェルサイユのバラなどが最もいい実例で、ステレオタイプ通りなら女性語を使うお嬢様・お姫様でも、「男の後継者が欲しい」や「他の男爵・伯爵家の家格には絶対に負けたくない」などの諸事情により、そのお嬢様・お姫様を中性口調や男性語を使う男装麗人、さらに893言葉を使う漢女に躾ける、といった作品が近年横行している。
なお女性語は飽くまでも上記の創作作品世界のみでの言葉なので、それは一種の「芸能・仕事用のための言葉」、もっと端的に言えば「職業語」でもある。
それを描いたり使ったりするのは漫画家・声優・俳優など、やはり本や声を職業とする商売人のみで、仕事とは全く関係ない一般人が女性語や男性語を頻繫に使う道理は何処にもない。
用法・使い方
肯定文には「~だわ」「~なのね」「~なのよ」「~よね」「~わね」「~わよ」などを付属し、疑問文には「~かしら?」を付けるという口調(但し、「~かしら」は「~かしらん」の省略語が元であるため、厳密には女性語ではなく、男性も使う)。
なお、女性語はドラえもんのヒロイン・源静香やサザエさんの主人公・フグ田サザエにちなんで、しずかちゃん言葉やサザエさん言葉とも呼ばれている。てよだわ言葉は明治以降独自に発達した東京方言である。
ちなみに、「~ですの」「~ですわ」「~ですのね」「~ですのよ」「~ですわね」「~ですわよ」「~ますかしら?」「~ですかしら?」と女性語を丁寧語と掛け合わせ、さらに昇華させた口調はお嬢様言葉とも呼ばれている。
なお、女性語に一見見えても地域によっては男性が用いるという例も少なくない。例えばスーパー万代の「チョコが一番ですわ」「パクパクですわ」などのPOP文章は、実際には関西弁風の文体であるが、これが女性語(てよだわ言葉)のようにも読めるという事で一時期twitterで流行していた事がある。
肯定形
- 「名詞+(なの)よ・(なの)ね・(なの)よね・だわ(よ・ね)」(実例:オカマよ、オカマなのよ、オカマね、オカマなのね、オカマよね、オカマなのよね、オカマだわ、オカマだわよ、オカマだわね)
- 「動詞+のよ・のね・のよね・わよ・わね・わよね」(実例:行くのよ、行くのね、行くのよね、行くわよ、行くわね、行くわよね)
- 「形容詞+のよ・のね・のよね・わよ・わね・わよね」(実例:うれしいのよ、うれしいのね、うれしいのよね、うれしいわよ、うれしいわね、うれしいわよね)
否定形
- 「名詞+じゃない+のよ・のね・のよね・わよ・わね・わよね」(実例:犯人じゃないのよ、犯人じゃないのね、犯人じゃないのよね、犯人じゃないわよ、犯人じゃないわね、犯人じゃないわよね)
- 「動詞+んじゃない+のよ・のね・のよね・わよ・わね・わよね」(実例:行くんじゃないのよ、行くんじゃないのね、行くんじゃないのよね、行くんじゃないわよ、行くんじゃないわね、行くんじゃないわよね)
- 「形容詞のナイ形+のよ・のね・のよね・わよ・わね・わよね」(実例:うれしくないのよ、うれしくないのね、うれしくないのよね、うれしくないわよ、うれしくないわね、うれしくないわよね)
疑問形
- 「名詞+(なの)かしら?」(実例:UFOかしら?、UFOなのかしら?)
- 「名詞+じゃない(の)かしら?」(実例:UFOじゃないかしら?、UFOじゃないのかしら?)
- 「動詞+(の)かしら?」(実例:行くかしら?、行くのかしら?)
- 「動詞+んじゃない(の)かしら?」(実例:行くんじゃないかしら?、行くんじゃないのかしら?)
- 「形容詞+(の)かしら?」(実例:美しいかしら?、美しいのかしら?)
- 「形容詞+んじゃない(の)かしら?」(実例:美しいんじゃないかしら?、美しいんじゃないのかしら?)
とあるお笑いの神様の女性語台詞
「なによ、な~によその目は?はっきり言って、アタシはオカマよ!オカマはラーメン屋をやっちゃいけないっていうのかしら?オカマがラーメン屋をやっちゃ、法に触れるっていうのかしら?」
外国語、及びそれらの翻訳との関係
以上のように、日本語では日常的には全く使われない言葉遣いとなってきているが、諸外国ではそうでもない。
その理由は語彙の違いにある。外国語、専ら欧州言語では「女性名詞」や「女性品詞」という、日本語の女性語とは別の単語が存在する為である。しかし、これは日本語の女言葉のように自身の性別に依存するものではなく、主語の性別により依存するものである。例えば「私は学生です」という文は男性なら「Je suis étudiant」、女性なら「Je suis étudiante」である(仏)。しかし、「彼は学生です」であれば、男性であれ女性であれ「Il est étudiant」、「彼女は学生です」であれば同様に男性であれ女性であれ「Elle est étudiante」と言わなければならない。
これらの性的単語の種別がないイングリッシュですら、男性と女性が用いる言葉が異なっている。
身近な単語で言えば、成人男性は口語において父親のことを「ファーザー(Father)」や「ダッド(Dad)」と呼ぶが、あまり「パパ(Papa)」とは呼ばない。
逆に、女性の場合は逆の呼び方となり、男性の使うような呼び方をすると、男勝りの性格とされる。
こういった海外の風習と日本文化の兼ね合いは、翻訳家泣かせの一因とされている。
原語表現に沿うべきなのか、それとも、ある程度の意訳にするべきなのかは、担当者の技量が垣間見られる部分である。
小説や映像作品における字幕や吹き替えの和訳は、こういった苦労の元に作られている。
故に、現代では全く使われていない日本語としての女性語も、海外では変わらず現役である事を留意しなければならない。
まさに、国が違えば文化が違うわけで、日本語独特な表現である、明治以前の侍言葉、お公家の言葉、活弁口調、方言といった類の言葉が外国語では翻訳しづらいのと同様の話で、専門家はお互いに苦労しているようである。
方言において
名古屋弁の終助詞の活用語尾「〜だがね」は一般に女性しか用いず、一般に男性が用いる「〜だがや」とは区別される。
河内弁においては他の関西弁において「〜やんか」と言うべきところを「〜やんけ」と言うが、北河内においてはこれは一般に男性の言葉とされ、女性は大阪弁同様「〜やんか」と言うことが好まれる。
関連タグ
オネエ言葉:男性が使う女性語
女性語:表記揺れ
男性語:女性語とは、色々な意味で対をなす言葉遣い