概要
同じ発音の形式を規則的に組み合わせ、リズム感や整った感じを醸し出すこと。
利用は詩のような文学作品のほか、キャッチフレーズ、ダジャレなど多岐にわたる。
伝承的なナーサリー・ライムやHIPHOPをはじめ洋楽では韻を踏んでいるのがお約束、というよりほぼ強制的である。
種類
韻は「頭韻」と「脚韻」の二つがメインである。
頭韻
頭韻は複数の単語の冒頭の音を揃えるもの。キャラクター名やキャッチフレーズに多い。
〔例〕「Mickey Mouse」、「Donald Duck」
それぞれ「M」と「D」で頭韻を踏んでいる。
脚韻
脚韻は複数の単語の末尾の音を揃えるもの。頭韻が頭文字1~2文字だけのことが多いのに対し、脚韻は1~2音節の長さでそろえることが多い。詩では非常によく用いられる技法。
洋楽ではほとんどの楽曲に用いられていると言っても過言ではないので、歌詞に気を配って聴いてみよう。
国による実例
日本
例は少ないが、[持統天皇]]の御製「いなと言へど強ふる志斐のが強語 このころ聞かずて朕恋ひにけり」は、上の句が
「Iなといへど SIふるSI斐のがSIひがたり」
と頭音がそろっている。これを頭韻という。
国本武春の『クマのプー太郎』(アニメ)の主題歌『たいたいづくし』や「うなりやベベン」(NHKEテレ『にほんごであそぼ』で御存命中は本人が出てたけど、死後は人形が歌っている)名義での「ベベンのたいづくし」は、脚韻あるいは尾韻と呼ばれる形式で、一部が語尾を「たい」で揃えている。
中国
絶句や律詩といった漢詩では、各行の末尾が脚韻を踏むというルールがある。
代表的な五言絶句である孟浩然の『春暁』を見てみよう。
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少
各行の最後の文字が「ギョウ」「チョウ」跳んで「ショウ」と脚韻を踏んでいる。なお五言絶句では3行め(転句)は韻を踏ませないのが一般的。
欧米
音楽の歌詞はだいたい脚韻を踏んでいる。古くから伝わる民謡はもとより、クラシック曲や近年のスタンダード曲やポップスなどでも脚韻を踏むのが当たり前である。もちろんアニメソングも例外ではない。
もちろん文学の詩も韻を踏むのが正しいルールである。韻の踏み方にはいくつかの規則がある。
ノストラダムスの『詩篇百』(諸世紀って書きたいけどこれはなー)収録の四行詩は、
L'an mil neuf cens nonante neuf sept MOIS,
Du ciel Viendra un grand Roi D'EFFRAYEUR,
Resusciter le grand Roi d'angolMOIS,
Avant apres, Mars regner per bon HEUR.
と、奇数行と偶数行の尾部をそろえたababという形式である。
『マザーグース』では、aab ccb という形式も見られる。
なお、これら海外の詩の翻訳時、ライム(韻)部分は紹介されるに留まるが、和田誠は挿絵の担当後、韻を中心に翻訳した『オフ・オフ・マザーグース』を発表している。