本田美奈子
ほんだみなこ
概要
本名は工藤美奈子。晩年は芸名を「本田美奈子.」(最後にピリオドがつく)としていた。
アイドル歌手として、1986年2月5日に「1986年のマリリン」をリリースした際、へそを露出させた衣装や激しく腰を振る振り付けなど当時のアイドル歌手としては異例の演出と相俟って大ヒットとなった。
1990年代以降は主にミュージカルで活動し、2000年代に入ってからはクラシックとのクロスオーバーに挑戦していたが、2005年11月6日、急性骨髄性白血病により他界。享年38。
遺作について
彼女には『遺作』と見なされる曲が3曲ある。
ひとつは「ナージャ!!」。2003年リリース。
ABCテレビ朝日系列日曜朝7時半枠東映アニメーション制作TVアニメ『明日のナージャ』のオープニングテーマ曲。本田自身のオリジナル楽曲(純粋なポップスソング)としては最終録音となる最期の楽曲であるため「本田のポップスソングとしての遺作」と見なされている。(ピリオドの無い「本田美奈子」名義で出されたラストシングルでもある)
しかし、この曲が出た時期はアニソン(特に子ども向けとなるニチアサアニソン)の地位は現在ほど高いものではなく一段低くみられていた。本田自身の来歴として『魔法騎士レイアース』エンディングの「ら・ら・ば・い~優しく抱かせて」や『HUNTER×HUNTER』エンディングの「風のうた」があり、その上で「ナージャ!!」は本田初の(作品の看板とも言える)オープニングテーマとなったが、その一方でミュージカルや洋楽カバーで十分に実力を示した本田が今更にアニメ主題歌を担当した事に、一部のファンからは「本田美奈子.にアニメの主題歌を歌わせるなんて」などと苦言が飛んだ。(逆に子どもたちをはじめとするニチアサファンやアニオタたちの間では「あの本田美奈子.がニチアサアニメの主題歌を歌ってくれた」と感謝感激の言葉が舞った)
その上、主題歌となったアニメの評判も賛否両論あるもの(詳細は作品の項目を参照)であったため、本田のファンや関係者の中には、この曲を遺作と見なす事に難色を示す者も多い。
ふたつめは「新世界」。2004年リリース。
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」第2楽章を原曲にして本田が歌詞を書き下ろしたクラシック・クロスオーバー作品であり生前の最終リリースシングル。
クラシック・クロスオーバーである以上、事実上のカバーにあたるため、オリジナル楽曲にこだわるファン層には本作を遺作と見なす事に難色を示す者もいる。
みっつめは「好きからはじめよう」。2006年リリース。
本田死後の発掘録音から音源化されたダウンロード配信専門用楽曲であり事実上の最終リリース楽曲(なおアルバム収録はされたがシングル化はされていない)。
本田のファンクラブの公式テーマソングであるが、もともとの公開はファンクラブ限定と定めクラブ会合などで公開されていた作品であったため知名度は低く、この楽曲の死後ダウンロードコンテンツ化は多くの関係者やファンを驚かせた。
そのため本作を遺作と見なすケースが多いが歌い方や声質により収録時期は「ナージャ!!」よりも前と見られるため、シングル化(商用化)や録音時期にこだわる層には、この見方も難色を示されやすい。
なお、単にダウンロードコンテンツとして考えたなら、最終リリースは2010年の「アメイジング・グレイス」(劇場版「マルドゥック・スクランブル」の主題歌に採用。本田没後に既製の歌曲データから歌唱パート音源を抽出した上で伴奏を合成したデジタルアレンジがされている)になる。
なお「アメイジング・グレイス」は本田美奈子.の代表作(ただし讃美歌のカバー曲)ではあるが厳密な意味では遺作ではない事には注意を要する。
時にメディアですら「アメイジング・グレイス」を遺作として扱うケースがあるが、これは本田の没時当時に一番世間に知られていた代表作として追悼目的でバカ売れした事と、上記3曲を話題に出したくないとする恣意的なものが合わさって誤解された(一時期は公式ですら「ここまで人々に期待された『アメイジング・グレイスの本田美奈子,』のイメージを壊したくない」として、これに乗っかってしまった)ためであり、本来の遺作としての扱いとしては間違ったものである。