この大陸の全ての金銭は俺の血肉。
こんな形で俺は、人間の労働、知恵、未来を保証する。
これが俺の人間への信頼。金銭に背くことは、俺の血を汚すと同然だ。
※本項目には『原神』のメインストーリー「魔神任務・第一章」のネタバレが含まれます。
「世の塵を払い、民を守る」
それは璃月最古の契約……
そして……今、最後の契約も既に定まった。
概要
岩王帝君
- 璃月を3700年前に仙人と共に生み出し統治する岩の神で、年齢は6000歳を超える。定期的に神託を下しに民衆の前に姿を見せており、民衆からは敬意を込めて岩王帝君の名で呼ばれている。
岩神
- かつて魔神が跋扈した時代に仙人と協力してこれらを鎮圧・封印し、「璃月の民を守る」ことに力を尽くした。この討伐や封印の跡は璃月中に散見される。これにより、「武神」の異名を得ることとなった(下記の大見出しを参照)。
- 魔神戦争以降は璃月地区を統治する「岩神」となり、七神体制の礎を築いた神の一柱となった。
契約の神
- 契約を重んじる神であり、「契約の神」と呼ばれている。
- 彼を「契約の神」に足らしめた最初の契約は、璃月の民と結んだ「世の塵を払い、民を守る」というもの。以降は3000年以上も璃月の守護神として君臨し続け、魔神戦争後もあらゆる災害から璃月を守ってきた。
- 契約を破る者に対しては非常に厳しく、「岩食いの刑」なる処罰を与えている。
- その他にも「商売の神」「歴史の神」「焜炉の神」「開拓の神」などの綽名もある。
モラの由来
- また、テイワット大陸の共通通貨「モラ」を生み出した存在でもあり、通貨の名前はモラクスの名から取られている。
「武神」
伝説によるば、神魔が混戦する時代、岩神は殺戮の相を見せたと言われる。
神たちの争いで、岩神から優しさを見出すことはできなかった。
いつも正しい判断をつけることができて、反目した友人にも冷静に刃を向けることができた。
伝説時代の岩王帝君の顔に、一つの波乱が起きることもなかった。
その岩のような顔を取り外したのは、すべてが落ち着いてからだった。
そしてそれも、「契約」を守るためであった。
—―聖遺物物語『不動玄石の相』より
岩王帝君は契約の神であるイメージが強いが、魔神戦争時代には敵対する者を圧倒的な力で殲滅する「武神」でもあった。その名に相応しい功績が作中のあらゆる記録に残されている。
- 岩王帝君が璃月を設立する際、海潮を退いて人々の暮らす土地を確保し、璃月港を守る絶壁として天衡山を立てた。(『石書集録』より)
- ゲームをプレイして一度は璃月港に訪れたことがある旅人ならば、誰しも璃月港の周囲を囲う巨大な天衡山に覚えがあるはず。
- 渦の魔神オセルを岩槍で弧雲閣に鎮圧した。(メインストーリー中の紹介より)
- 全盛期であれば若陀龍王と一人でもある程度戦えるほどであるとされ、三人の仙人の力を借りて若陀龍王を南天門に封印した。(メインストーリー中の紹介より)
- 岩王帝君は層岩巨淵で暴れていた若陀龍王の巨体を力づくで層岩巨淵から「引き摺り出し」、その時に出来た巨大な痕跡が現在の地図に記されている「伏鰲谷」となった。(瑾武の紹介より)
- 両者は激戦を繰り広げながら北上し、南の層岩巨淵から北の南天門に続く破壊の道を残した。特に途中で天穹の谷での戦いは凄まじく、当時繁栄を極めた天穹の谷は荒野と化した。(天穹の谷の石碑より)
- 上述以外にも、数え切れないほどの魔神・魔獣を倒し、又は撃退している。
- オセル以外の「弧雲閣に鎮められた魔神たち」(鍾離の伝説任務1より)
- 魈を操っていた未知の魔神(魈のキャラクターストーリー2より)
- 軽策荘の魔獣「螭」(冒険者ロアルドの日誌第八巻より)
- 魔神オロバシ(聖遺物物語『誓いの明瞳』より。オロバシは「貴金の神」と「鳴神」に勝てなかったとの記録があり、この「貴金の神」がモラクスであると思われる。)
- 当時無敵を誇ったとされる海の魔獣「八虬」(武器物語『和璞鳶』より。岩王帝君が和璞鳶を作り、「八虬」を一撃で貫通して海底に沈めたとされる)
- その他、明確な記録は無いが、モラクスによって倒されたと思われる魔神
- 璃沙郊(青墟浦)の未知の魔神(冒険者ロアルドの日誌第八巻より)
出自や性格など
風神バルバトスと違い明確な出自は不明だが、岩王帝君として人間の前に降臨する際は麒麟と龍が融合した姿を取り、岩尊像も麒麟と人の姿である為、一部の仙人と同じく獣型の生物であった可能性が高い。
性格は冷静で敵や契約を破る者に対しては無慈悲。また、契約を重んじる故に公正で無情、岩のように堅苦しい頑固者でもあった。ただ、完全な冷血漢ではなく、凄惨な仕打ちに苦しむ者に救いの手を差し伸べたり、散った旧友に思いを馳せる一面もある。
メインストーリーにおいて(魔神任務・第一章)
長きに渡りその権能と神託で璃月を守り続けていたが、神の時代を廃し人の時代を目指す人間が現れ始めた事から「そろそろ神の座を降りてもいいかもしれない、だが自分が仕事をやめて人々はやっていけるのか?」と考える。
また道すがらに聞いた「君は君の責務を果たした、ゆっくり休むと良い」という商人の言葉より「自分は本当に役目を果たしたのだろうか?」という疑念を抱く。
それらの疑念に対する答えを確かめる……人間や仙人が神に頼らず自身の力でのみ生きていけるかを試し、「神と共にある国」が次の時代に入れるかどうか見定めるために、彼は「迎仙儀式」において自らの死を偽装し一芝居打った。
それが璃月編における騒動の始まり。ある意味彼こそが璃月編の騒動の元凶とも言える。
死を偽装したその場に偶然居合わせ、身の潔白を証明しようとする旅人達と、この騒ぎを利用しようと動くタルタリヤ、民衆に必要以上の不安が伝播する事を防ぎたい璃月七星の思惑が一致した結果、時間稼ぎとして仙人の葬儀にあたる「送仙儀式」を行う事になり、その過程で人間の姿、往生堂の客卿・鍾離として、儀式の準備を自ら指揮していく。
やがて準備が進んでいくうちに仙人達と璃月七星の衝突、タルタリヤ率いるファデュイの襲撃、かつて封じられた渦の魔神オセルの解放、魔神から璃月港を守るための戦いなどを経て、それぞれの勢力が少なくない損害を出しながらも「岩王帝君亡き世」の新たなあり方を模索していく事になるのだが、その中で彼本人だけが「"岩王帝君"の死によって契約を終わらせる」「己の力無しで璃月が危機を乗り越えるのを見届ける(そしてそれが不可能な時は神の権能で助けに入る)」「神の座を退位し凡人として市井に下る」という自らの目的全てを、想定の範囲内でしか自らの懐を痛める事無く見事に完遂したのである。
騒動が終わりを迎え「送仙儀式」が成った時、彼は全てが終わった後に岩神としての力の源「神の心」を明け渡す代わりに「すべての契約を終わらせる」契約をファデュイの執行官"淑女"シニョーラと(厳密には彼女を通して氷神と)内密に結んでいたことを旅人とタルタリヤの前で明かした。つまりタルタリヤは本人には知らされぬまま初めから今回の騒動の悪役として呼ばれ、無自覚のまま氷神と岩神の手の上で踊らされていた事になり、本人はいつもの態度こそ崩さないもののこの事実に相当に憤慨していた。
もっともタルタリヤが渦の魔神オセルを嗾けることまでは予想していなかったようだが…。
また、この際の契約内容の詳細は不明で、全容については旅人自身が確認する事を勧められている。
伝説任務・古聞の章(キャラクエスト)
実質的な璃月編のエピローグ。第一幕では塩の魔神ヘウリアとの、第二幕では若陀龍王との過去を関連する人物と関わりながら、旅人の協力でで精算している。
この途上で彼が世界の真理の一端を知っている事と、しかし「全てが始まる前の契約」のためにこれを他者に語る事が許されない事情が明らかになる。旅人が全てを知るためには世界を巡るほか無い事が改めて浮き彫りになるエピソードである。
特に第二幕ではシールドで旅人達を守るシーンが描かれ、神の心を失った現在もある程度力が残っている事を窺い知れる(不意打ちで破られ、窮地に陥ってしまったが…。)。
余談
- 魔神任務第一章終了後は表向きには死亡扱いになっているものの、主人公とタルタリヤ、及び璃月七星と仙人達には騒動の後に真実が伝えられている。なお、本人から直接真実を知らされた主人公とタルタリヤ以外には仙術で夢枕に立って伝えるというすごい方法で話している。
- 普段からモラを持ち歩いてなかったのは彼こそがモラを生み出した張本人であり、そもそもモラを持ち歩くという概念が彼の中になかったため。一応、「鍾離」になることを選んだからにはと凡人のルールに従い未来の新生活を予習していたらしいが、果たして本当に予習できているのかは少々怪しい。
- というか、初歩的かつ金銭のやり取りは人間社会に置いてもっとも重要な契約なのだが…。
- 神の心を失った事で世界唯一の造幣局「黄金屋」の機能もストップしてしまったため、当面の間モラの製造ができなくなっている。現在流通しているモラが無くなるわけではないので今のところ大きな混乱はないが、彼はこの問題の解決を璃月七星に丸投げしている。
- 人が神から独立する未来を良しとしたが故、自分の生み出すものに依存しないシステムも人間たちの手で作れという事なのだろうが。
- 「送仙儀式」のために用意した三種類の香膏のうち、「大人の女性にウケがいい」香膏にのみ岩神の神像は反応を示したため、「まさか…『岩王帝君』って本当はお姉さん?」と怪しんだパイモンに対し、鍾離は「ハハハッ…そうかもしれないな。「岩王帝君」の化身は数多く存在する、その中のひとつかもしれない」と半ば冗談ぎみた回答をしている。
- ところが、後に鍾離が岩王帝君本人であることが判明してしまい、本人も予期せぬ展開が回ってきてしまうこととなった。
- 某吟遊詩人こと風神バルバトスは、モラクスが七神の中で最年長であるからか彼のことを「じいさん」呼ばわりしている。一方のモラクスの方は彼のことを「風流の分からない呑兵衛詩人」と呼んでいる。
- また、あちらはモンドに大事が起こらない限りほとんど無干渉であるのに対し、こちらは引退する前は、年に一度は璃月の「迎仙儀式」で姿を現しては新たな一年の治国方針を与えるなど、非常に真面目に国を治めていた。性格のみならず、執政者としての在り方からも、両者の顕著な違いが見て取れる。
- 魔神戦争時のまだ七神にもなっていなかった頃、水産物の魔物の壊滅に苦戦を強いられたため、今もうごめく海産物には苦手意識がある。
- 他の七神の情報から、七神は「神の心」を失っても元素力は変わらず使えるということが明らかになり、彼の「神の目」も偽物ではないかという疑惑が立っていたが、ver2.4で実装された魔神任務・間章に登場する、神の目が反応する特殊な鉱石に彼の神の目が反応しなかった事で偽物であることが確定した。おそらく風神と同じく、権能で岩元素を扱っても怪しまれないようにするために持っているのだろう。
- なお、Ver.1.5『塵歌を纏いし扉』の予告PVでは、本来なら神の目を装備している位置に“元素マーク”が顕現するはずなのにも関わらず、手中に“元素マーク”が現れていたことで、一定数の旅人から疑問符を得た。
- 彼が手に持つキューブ状の物質「浮世の錠」は、かつての友であった塵の魔神・帰終から贈られた立体パズルであり、帰終は自身の英知を込めたこの石錠を挑戦状として贈ったが、モラクスは帰終との盟約の証として、また彼女との思い出としてあえて解かずにいる。