マジク
まじく
人物
本名はマジク・リン。
オーフェンがトトカンタにて間借りしていた宿屋「バグアップズ・イン」の亭主バグアップとアイリスとの間に生まれた一人息子。
『無謀編』及び『はぐれ旅』におけるマジク
母、アイリス・リンとよく似た容貌で端正な顔立ちをした金髪碧眼の美少年。年齢は14歳。
未だ声変わりをしておらず、容姿も中性的なため時折女性に間違われる事も。
オーフェンから魔術を学び、彼を「お師様」と呼んで慕っている。また内弟子として半年間の旅の間行動を共にしていた。
基本的に真面目でお人好しな性格で、自立心旺盛。ちゃっかりしている所もあるが、性根は優しく不器用でキリランシェロ時代のオーフェンを彷彿とさせる。
いじめられっ子体質で、無謀編時代から学校では友達(奇人変人)やクリーオウには虐められたり八つ当たりされたり、旅に出てからもオーフェンからこき使われたりと、何かと貧乏くじを引き易いが、打たれ強いのか立ち直りは早い。
魔術の才能はずば抜けており、オーフェンから習う数々の魔術を人間の範疇では考えられないスピードで習得。
本来なら構成を感知するのに2年から3年かかる所を二週間未満で知覚し、同時に、数十年かかる魔術の発動もこなした。魔術の威力も桁違いに強く、一度見ただけのチャイルドマン教室の最秘奥を見よう見まねで再現したしたりと異常なほどの素養を示す。
初期は魔力を必要以上に練り込んでしまう悪癖があったが、訓練を重ねて克服し、師から卒業するまでかかった時間ははぐれ旅本編のわずか半年足らず(マジクが14歳と半年になる頃にオーフェンに弟子入りし、15歳になる前にマスターしている)である。
しかし本来10年20年とかけて身につける様な大魔術を素人同然のマジクが見よう見真似で簡単に再現してしまう、というアンバランスさは諸刃の剣で、オーフェンすらも上回る「力」に振り回されたマジクは旅の間、挫折と苦悩の連続であった。
異常な上達速度であった魔術と比べれば接近戦の方はぼちぼちといった所で、
訓練開始以前はクリーオウや10歳の女の子に無抵抗のままボコボコにされていたりと鈍そうなエピソードが多いが、習い始めてすぐにゴロツキの攻撃を回避して蹴りで反撃したりと(蹴りに威力がなさすぎて更に怒らせたが)
運動神経そのものは悪くなく、素人の時期でもそれなりに動けているという評は師匠談。
その後成人し、魔術・体術共に高レベルで体得する達人になるがそれでもオーフェン宅の次女エッジが10歳の時に向かってきた際は無抵抗のままボコボコにされており
基本的に女子供、敵ではないが向かってくる相手に対しては気の優しさが悪い方に出てしまいやられっぱなしである。
ただし相手が明確に敵になると容赦がなく、やる時はやるタイプ。
第二部が終盤に近づくにつれて人間の手に負えない強敵との戦いも増え、マジクは素人にしてはかなり善戦できていたのだが魔術士としての知識が乏しい為、自分の才能には無自覚のままオーフェンや自分の母アイリスを基準として考えてしまい(アニメ特典『まだ遠くはない夜にて』より参照)自信を喪失、スランプになってしまう。
実際の所、マジクは魔術士としての技量よりも「いかなる状況に置かれても必ず事態を打開し、周囲の者にもそれを成せる存在だと信頼させる」オーフェンの人としての強さに憧れており、彼からするとオーフェンは超人であった。
マジクが苦悩を深める中、タイミング悪く師匠のオーフェンも深刻な事態に直面し弟子に向き合う余裕がまるでなかった為、すれ違ったまま卒業という形に。
その後は自らの意思で道を決め、理想の魔術士を目指すところで第二部は終了するが
超人の責務を無垢に信じた結果、それだけの才能があった彼は実際超人となり、超人故に生き残り、母と同じく化け物としての余生を送る事となるのだが…?
新シリーズにおけるマジク
新シリーズでは原大陸でもトップクラスの実力を有する術者となっている。母親と同じ二つ名の「ブラディ・バース」と呼ばれ、オーフェンの懐刀として戦闘魔術騎士団に席を置いている。騎士団内では戦闘において最も頼りにされると同時に畏怖される存在に。
マジクは「魔王の弟子」「貴族殺し」「人類最強」「最も生還率の高い人類」「伝説の魔術士」など物騒な異名で呼ばれる事も多く、怪物扱いされている為か
魔王の力を持つオーフェンの事を決して「魔王」と呼ばず「校長」または「あの人」まれに「お師様」と呼び
オーフェンからは自慢の元弟子、頼りになる友人として認識されている。
オーフェンに頼まれ裏では秘密裏に敵を処理し暗躍しているが、表向きは魔術学校に教師として働いている。
魔術戦士達には恐れられ孤立しているが、日常生活では昼行灯を装い実力を隠している為か生徒達には舐められている。
「なんか似てるから」という理由でオーフェンから娘・ラッツベインを押し付けられ弟子にしているが、上下関係は非常にゆるい。
仲は良いが、マジクがどれだけ戦闘で活躍を見せても何故か「よわっちさ満点で頼りない師匠」との認識を頑なに変えないため、師弟で交わされる会話はボケ漫才のようにずれている。
自らが弟子だった時代に挫折を経験してきた為か、マジクの助言は優しく的確でラッツベイン曰く「師匠としては悪くない」との事。
師匠に会ってはダメ出しし、師匠に関連する話が出ると師匠のダメな所を語り、こきおろしつつも懐いているラッツベインを三女ラチェットは「師匠コン」と評した。
少年時代は学校に女の子の友達も多く、女好きの節もあったが、新シリーズの彼は女性を寄せ付けず未だ独身である。
敵対関係で暗殺者だった女性サファイア・エラガンと恋に落ちるも、ガンダムばりの悲哀(マジクが魔王術で恋人を消去した)になったというエピソードがある為、その辺を引きずっていた為と思われる。
番外編『遺されたもの』を経てようやく心の整理がついたマジクはオーフェンの後継者を目指す事となる。
アンソロジーでは
作者次第だが、本編ではあまり生かされていなかった可愛らしい美少年という部分をピックアップし、我が森に集え狼の時の様に女装する展開もよくあった。