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概要

2019年9月14日発売の EXTRA PACK 2019 で登場した効果モンスターである。

初収録時はウルトラレア/シークレットレアに設定されていた。

海外版遊戯王で先行発売されたカードの一つ。

テキスト

効果モンスター

星11/光属性/岩石族/攻3000/守 600

このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):相手が5体以上のモンスターの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズに発動できる。

自分・相手フィールドの表側表示モンスターを可能な限りリリースし、このカードを手札から特殊召喚する。

その後、相手フィールドに「原始生命態トークン」(岩石族・光・星11・攻/守?)1体を特殊召喚する。

このトークンの攻撃力・守備力は、この効果でリリースしたモンスターの元々の攻撃力・守備力をそれぞれ合計した数値になる。

この効果は相手ターンでも発動できる。

解説

インフェルニティコード・トーカーなど、1ターンに何体もモンスターが展開されるデッキが然程珍しくなくなった状況下に登場した、シルバーバレットのような手札誘発効果を持つモンスター。

効果は合計5体以上のモンスターの展開を行ったターンにセット状態を除いた全てのモンスターをリリースし、大量展開を台無しにさせるという豪快な効果である。

使用後は相手に非常に高いステータスのトークンを与えてしまうというリスクこそあるものの、大量展開デッキへの対抗策及び抑止力として大きな影響を持つカードである。

なお、このトークンは地味ながら遊戯王では珍しいレベル11なのでシンクロ素材に利用されにくい、通常モンスター扱いなのでそのままでは効果モンスター素材の指定があるリンク素材に出来ないという特性もあったりする。

5回以上ではなく5体以上の展開がトリガーとなる為、1度の特殊召喚で複数体のモンスターを出すペンデュラム召喚では、召喚回数が5回に満たなくても発動する事ができる。

変わった所では鉄獣の抗戦でリンク4を出す際に「4体を特殊召喚→全て素材にしてリンク召喚」という手順になる為、使われると自分のターンにニビルの発動条件を満たすという珍しい状況が発生する。

ゴーストリックのような1ターン内に何度も展開することを重要視しないデッキなどが相手の場合は手札で持て余す可能性が高い為、マッチ戦ではサイドデッキ入りとなる事も多く、入っても抹殺の指名者用カード、邪魔にならない程度の御守りとしてピン刺し程度となる事が多い。

「メインデッキに二ビルを何枚入れるか?」は悩ましいところであり、採用数はメタ・ゲームにも強く依存する。

手札誘発メタカードとしては腐りやすく、環境やデッキタイプによっては不採用であることも珍しくない。

故に、シングルデュエル主体のマスターデュエルでは枚数調整が難しい。

効果の強力さと、腐りやすさとで上手くバランスが取れているカードと言える。

見た目通り岩石族であるため、御影志士でのサーチに対応している他、守備力が600と低いので、黒き森のウィッチでのサーチに対応する手札誘発でもある。

強力なカード故に展開系デッキ側も対抗策もある。

5体目を出す前にモンスター効果を無効にするモンスター(召命の神弓-アポロウーサフルール・ド・バロネスなど)を出す、召喚回数を4回(4体)に抑えて制圧効果持ちのモンスターを出す、展開に余力を残してメイン終了宣言後にニビルを使わせてから再展開を狙うといった、「ニビルケア」と呼ばれるプレイングが存在する。

基本的なセットプレイで5体の展開を行う相剣などのテーマにとってはぶっ刺さりやすい天敵であり、ルート上ケアしようにもできないことも多い。

また、ニビルを使う側も突然特殊召喚の回数の確認をする、相手に見える位置でサイコロや指折りで召喚モンスター数を数える(これらは実際にニビルを引けてなくても行う)ことで、相手にニビルを意識させたプレイングを強要する…と言ったこともできる。

悪く言えば盤外戦術ではあるが、良く言えばカードゲームらしい駆け引き(騙し合い)を新たに作り出したカードと言えるだろう。

モチーフについて

想像上の惑星ニビルがモチーフである。

1920年生まれの著述家・ゼカリア・シッチンはいくつかの著作や発言を通じて、

「人類は惑星ニビルから到来した宇宙人種族のアヌンナキが地球上の猿を金採掘のための奴隷として遺伝子操作して誕生した種族である。シュメール神話はその歴史を記した記録である。創世記に登場するネフィリムもこのアヌンナキのことである。」

と主張している。

シッチンの主張はシュメールやアッカドの専門家を含む正規の天文学者、考古学者、歴史学者、人類学者から、「偽史」「疑似科学」と指摘されている。

アヌンナキやニビルという単語自体はシュメール語の楔形文字の文献にも存在するが、上記の設定はシッチンの本が初出であり、彼の主張は天文学や考古学やシュメール語の専門知識の欠如に起因した古代語の文章の誤訳乃至は曲解によって生じた解釈である。

ニビルという実在はしない天体そのものが、シッチンのアイデアである。

完全に根拠不在の破綻した珍説にもかかわらず、シッチンの本は世界中で売れてしまい、この設定は大衆層の中に一定の影響力を持って定着し、疑似宗教やオカルトや陰謀説など幅広い近接ジャンルへと波及して組み込まれていった。

こうした話型はシッチンのオリジナルというわけではなく、「古代宇宙飛行士説」という、古代の地球に飛来した宇宙人が人類を想像したり文明を授けたという形式の、フィクションや陰謀説や偽史のジャンルとしてはメジャーなカテゴリーの題材となっている。

ニビルについてインターネットで検索すると、オカルト、陰謀説スピリチュアル、終末論カルト、偽史疑似科学のコミュニティに関係したウェブサイトが日本語英語問わず無数にヒットするが、そうしたサイトがもっともらしく説明している設定の元締めは上述したシッチンの誤訳と知識不足に基づいた珍説である。

2023年3月現在、遊戯王カードwikiですらしれっとシッチンの偽史を書いてしまっているが、全てはシッチンの話の中の事であり、根拠が一切ないことに注意しよう。

また、陰謀説やオカルトはしばしば映画や漫画やコンピュータゲームなど現代カルチャーのネタ元としても参照されている(例えばRPGなどでよく出てくるヒヒイロカネは戦前の新宗教の経典に記された偽史が元ネタ)。

遊戯王自体が原作漫画からしてそもそも陰謀説でメジャーなアイコンやモチーフを意図的に使いまくった作品であるため、ネタとしての相性自体はいいと言える。

上記の通り、遊戯王以外でニビルという言葉でヒットするのはまともなサイトよりも奇天烈なサイトの方が圧倒的に数が多いちょっとコアなワードのため、カードの元ネタが気になって調べているうちに良くない世界に引き込まれないようにしたい。

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