概要
インドではコロナによる延期などがありつつも、3月25日に公開された。日本では2022年10月21日公開。
インド映画史上最高の製作費7200万ドル(約97億円)をかけて制作された超大作。
実在したインドの革命家であるコムラム・ビームと、ラーマ・ラージャを主人公としたアクション映画。
2023年3月に行われた、第95回アカデミー賞では、後述のナートゥがアカデミー歌曲賞を受賞した。インド映画がアカデミー賞を受賞するのは史上初である。
あらすじ
イギリス軍にさらわれた少女を助けるためやってきたビームと大義のため警察官になったラーマ。
彼らは互いに正体を知らぬままに友情を育み、唯一無二の親友となる。
しかし、やがて運命により彼らは互いに戦わざるを得ない事となる。
ナートゥ
本作の中でも取り沙汰されるのが、ナートゥ。インド映画の最大の特徴であるダンスシーンの中の一つであり、本作でも最大の見どころのひとつとして紹介される。
イギリス人のパーティ会場に現れたビームとラーマの二人が、イギリスの紳士を相手に華麗なダンスであるナートゥを披露するのだが、その際にナートゥという単語を連呼しながら、華麗かつ激しいダンスを披露する。
そのダンスシーンの余りの強烈さから、本作の視聴者は必ずナートゥを連呼するほど。
スタッフ・キャスト
監督・脚本 S・S・ラージャマウリ
出演者
ビーム/NTR.jr
イギリス総督に連れ去られた村の少女を救う為に奔走する。
ラーマ/ラーム・チャラン
イギリス政府の警察官。
シータ/アーリヤー・バット
ラーマの許嫁。
ヴェンカタ/アジャイ・デーヴガン
幼少期のラーマに影響を与えた人物。
スコット/レイ•スティーブソン
残虐非道なイギリス総督。
キャサリン/アリソン・ドゥーデイ
スコットの妻。
余談
実は、本作のシーンで使われているイギリスのシーンでは、コロナ禍の影響によりイギリスでの撮影が行われず、ウクライナで撮影された。
撮影された時期は2021年だが、翌年の公開直前となる2022年2月24日にはロシアによるウクライナ侵攻が始まった。特に、ウクライナで撮影されたのは、上述のナートゥのシーンであり、出演者にとっては重要なシーンである為に、かなり複雑な心境になったという。
また、エンディング・クレジットではインド独立の英雄達の肖像が次々と映し出されるが……この「インド独立の英雄達」の中には日本人が良く知るマハトマ・ガンディーやジャワハルラール・ネルーが入っていない。
実は、この映画の製作・劇場公開の時点で、インドではガンディーやネルーの系譜を継ぐ政党は野党であり、政権与党はヒンドゥー教原理主義者の支持を受けている政党である。
この為、(映画の製作・劇場公開の時点の)インドでは学校の教科書からガンディーやネルーの功績が削除され、インド独立は非暴力不服従ではなく、武力闘争によって勝ち取られた、という歴史観が学校で教えられているのである。(インドの政権与党にとってガンディーやネルーの業績を学校で教える事は、ある意味で公費≒イロイロアレアレな権力者にとっては「自分達の金」を使って「商売敵」の宣伝をするようなモノなのだ)
一歩間違えば、この映画も「時の権力者に阿諛追従する映画。エンタメとして出来がいい分、余計にタチが悪い」となってしまうが、同時に「ヒンドゥー教徒の実在の英雄」をモデルにしているビームが身を隠し潜伏する為とは言えムスリムのフリをする、という場面は、インドの現政権の支持層であるヒンドゥー教原理主義者にとっては、かなり冒涜的な内容であり、その点を批判されている。
この作品は、極めて政治的なエンタメ、それも読み解き評価するのが一筋縄ではいかないような政治的なエンタメなのだ。