概要
作中における歴史の中で起きた、未曽有の大災害。本作品の物語の根幹、それに終盤の展開にも深く関わる事件として位置付けられている。
西暦2001年2月4日、世界上空に発生した時空の歪みから巨大なワームホールが複数発生し、それらの中に大地や建造物が飲み込まれて消滅する、という恐るべき現象が発生。
この現象によってもたらされた被害は、実に地上の3分の2の消滅という甚大なものであり、後に生き残った人類が時間を掛けて世界を復興させた末に30世紀を迎えたとされ、同時にこの破滅の現象は「21世紀の大消滅」と後世の人々から呼ばれるに至った。
・・・以上が、「本来の歴史」に記録されている大消滅の概要である。
30世紀の危機
実は、この本来の歴史において発生した21世紀の大消滅とは別に、もう一つの消滅現象が作中では発生していた。
それは、ユウリ達4人とロンダーズファミリーが20世紀末に飛ばされた後、30世紀の世界にて発生していた同様の現象で、時間保護局が設立されたきっかけとなった、30世紀の世界が消滅の危機に陥ったという大事件の延長線上にあるものでもあった。
本来なら20世紀末に飛ばされた直後、最初にリバウンドで巨大化した囚人との戦いで命を落とすはずだったユウリたちが、その「歴史的事実」をねじ曲げてまで生き延びる結果となったのも、全ては本当の任務――即ち歴史を「本来の流れ」へと修正し、「30世紀消滅の危機」を食い止めさせるためであったことが、物語終盤においてリュウヤ隊長の口から語られている。
そしてその元凶とも言える存在こそが、生体戦闘ロボット・Gゾードである。リュウヤの語るところによれば、このGゾードに搭載されているミュートエネルギー炉こそが30世紀消滅の危機の原因であり、リュウヤが自ら20世紀末に現れた目的の一つも、ユウリたちと共に20世紀末に現れたGゾードを破壊するためであった。
竜也のタイムレンジャーへの復帰等、本来の予定にない出来事も発生したものの、結果としてリュウヤの目的通りGゾードは破壊され、これにより30世紀消滅の危機は回避されるに至ったのだが・・・同時にそれは21世紀の大消滅が発生する本来の流れへと、歴史が修正されたことを意味するものでもあった。
また一連の任務に絡み、リュウヤは幾度となくある人物をかばうかのような不可解な行動にも及んでおり、これがユウリ達に不審を抱かせることともなったのだが、実はこれこそが歴史の分岐に関わる重大な要素であったことが、程なく明らかにされることとなる。
大消滅の「真実」
リュウヤが「修正された」後の30世紀の世界へ帰還してから間もなく、竜也たちは「21世紀の大消滅」を食い止めるべく調査を開始し、その過程で大消滅という現象を引き起こす要因が高密度エネルギー「λ2000」であるという事実に辿り着く。λ2000に潜んでいた「わずかながら時空を蝕む」という性質が時空間の歪みを発生させ、それによって引き起こされた現象こそが「大消滅」の実態だったのである。
だがその一方でこの事実は、「大消滅の引き金となったλ2000がどこに存在するのか?」という新たな謎も浮き彫りにした。実際、まだ研究途上であったλ2000は、21世紀初頭の時点では大消滅を引き起こすだけの量があった訳ではない。
ここで鍵を握るのが、前述の通りリュウヤがかばい続けてきた人物――ギエンである。実はギエンの体内には、機械化に際してGゾードの数千倍の密度のλ2000が動力源として備わっており、これこそが21世紀の大消滅を引き起こす要因の一つでもあった。リュウヤの取ってきた、ともすれば時間保護局員の任務に相反するかのような不可解な行動の数々も、全ては本来の歴史通りに21世紀の大消滅を発生させる上で、是が非でもギエンを活動可能な状態にしておきたかったという事情があってのことだった。
そしてもう一つの要因が、やはり高密度のλ2000が動力源として搭載されているブイレックスであった。西暦2001年2月4日、破壊の衝動に取り憑かれた末にギエンはネオ・クライシスを操縦して市街地の大規模破壊に及び、これを制止すべくブイレックスが出動する事態に発展するのだが・・・実はこれこそが21世紀の大消滅を引き起こした直接の引き金でもあった。
30世紀消滅の危機が、前述したλ2000の性質の長い年月に亘る蓄積の末によって引き起こされたものであるならば、ギエンとブイレックスに備わっている高密度のλ2000の共鳴によって、急速に時空間の歪みが進行した結果発生したのが21世紀の大消滅なのである。
大消滅の「顛末」
ここまでに度々繰り返してきた通り、21世紀の大消滅は「歴史的事実として定められた出来事」である。
そのため、大消滅を阻止したい竜也達の思惑とは裏腹に、既に目的を果たしたリュウヤが緊急システムの発動を許可することはなく、また現時点でネオ・クライシスに対抗できる手段たるブイレックスそのものが、大消滅を引き起こす要因の片方である以上、両者が戦えば戦うほどに時空間の歪みが却って加速するだけでしかなく、21世紀の大消滅を食い止める手立ては最早どこにも残されていない……かに思われた。
……が、実際には21世紀の大消滅は、本来の歴史とは異なる顛末を迎えることとなる。
「歴史」に翻弄される形で直人を喪いながらも、竜也はなおも「明日を変える」ことを諦めずに奮闘を続け、また一度は31世紀に帰還したユウリ達4人もまた、本来の歴史を変えるというリスクを承知の上で、自らの意思で21世紀を守ることを選択。そして彼等の活躍により、ブイレックスの体内にあったλ2000のζ3への転換とギエンの消滅という形で、時空間の歪みを引き起こしていた原因そのものが解消されるに至った。
その結果、「大消滅も深刻化する前の段階で収束を迎え、また被害も相当なものであったとはいえ、前述した『地上の3分の2の消滅』からは程遠い形に食い止められた」のである。
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