スペック
全長 | 76.7m |
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重量 | 8500t |
出力 | 1600万馬力 |
動力 | λ2000 |
概要
Case File.29から登場する時間保護局が、大規模な非常時を想定して開発したTレックス型の巨大生体メカ。本作の追加戦士である滝沢直人/タイムファイヤー専用のロボであり、本作における3号ロボにあたる。
タイムシャドウと同様に人工知能を搭載しており、完全に自立して動く事ができるが、タイムシャドウとは事なり生体ロボなので自己修復機能を有している事と、後述するが遠隔操作も可能な事が相違点になる(というよりブイレックスから生体要素を無くし、オートで多角的な戦闘が可能なより高度な無人機にしたのがタイムシャドウだと思われる)。
開発はタイムロボよりも前から進められ、西暦2994年までに完成を見ていたが、同年に行われた時間移動実験に失敗して消息不明となる。この件では30世紀でもニュースになっていたらしく、ユウリやシオンもブイレックスの事を知っていた。そしてそのまま時間流を彷徨った末に時空パルスの裂け目より、西暦2000年の世界へと姿を現す事となった。
しかし、その時のショックで頭部に存在していた外付けの制御装置が外れてしまい、制御を失ってまさに怪獣の如く暴れ回り、タイムレンジャーも押さえるだけで精一杯な程の戦闘力を見せた。
しかし、この制御装置こそが変身アイテム・ブイコマンダーであり、後にこれを手に入れた滝沢直人に、タイムファイヤーへの変身能力とブイレックスの力を与える事になる。
このように時間保護局において要注意すべき重要な存在だったものの、何故かナビゲーターロボであるタックにそのデータは殆んど存在しておらず、また時間保護局からも回収する旨の指令が一切下される事は無かったが…。
また、終盤にリュウヤは2994年の時間移動実験で失踪したのは、別の生体メカのGゾードだと説明しており、シオンはその事に疑問を持ったがそれにリュウヤが答える事は無かった。
特徴・能力
外見通りの凄まじいパワーと重火器による火力、そして恐竜とその骨格をモチーフにした事による圧倒的な走力を誇る本機だが、その最大の特徴は前述した自己修復機能である。
その内容は文字通りで、攻撃で破損をしても特に修理や整備などを行う必要もなく、生物のように傷を自動的に自己再生でき、このお陰で現代の技術でも十分に運用する事ができる。
同じく時間保護局によって開発されたプロトタイプにあたる生体メカのGゾードとは、怪獣(恐竜)型の生体メカである事、自己修復機能を備えている事、そして動力源としてλ2000と呼ばれる高純度エネルギーが使用されているという点で共通しているが、Gゾードからの大きな変更点としては、「2つのモードへの可変機構」が実装されているという点と、Gゾードによる実験失敗の反省からか遠隔操作機能が追加された事が挙げられる。他にも、これもGゾードでの反省を踏まえてか、Gゾードで使われていたミュートエネルギー炉はブイレックスではオミットされている。
ブイレックスには、前述の通りティラノサウルスを模した通常形態の他、人型ロボット形態の「ブイレックスロボ」というもう一つの形態を持ち、これらはパイロットたるタイムファイヤーの持つブイコマンダーからの音声入力によって、任意にモードの切り替えを行う事が可能となっている。
変形に留まらず、操縦や攻撃の指示もこのブイコマンダーによる音声入力で行えるというのがブイレックスの特徴の一つで、完全な自立行動で戦闘を行えるブイレックスは、このブイコマンダーによる遠隔操作でのパイロット=タイムファイヤーのサポートによって十全な戦闘力を発揮する。タイムファイヤーの方もタイムロボのようにコックピットに搭乗せずとも、外部から自在に遠隔操作できるという利点を持つ。
これは、Gゾードのようにブイレックスが暴走した場合も外部から制御を可能にする安全策にもなっており、同時に初起動の際に声紋を登録したタイムファイヤーの変身者以外の操作を受け付けないという、2重のセキュリティの役割も果たしている・・・のだが、この音声入力についてはちょっとした「落とし穴」も存在しない訳ではない(詳細はブイコマンダーの記事を参照)。
本形態での武装として、両肩の長大なブースターより毎秒20発のエネルギー光弾を発射する「レックスレーザー」を有する他、その牙による噛みつき(ハイパーファング)や尻尾による打撃(テールアタック)も得意とするパワーファイターである。必殺技は、頭頂部に乗ったタイムファイヤーのディフェンダーガン、そしてレックスレーザーを同時に最大出力で発射する「マックスバーニング」。
この他、作中ではタイムロボαを背に乗せての合体戦法も披露しているが、これは竜也のアドリブである。
弱点は前述の自己修復機能であり、その機能の仕様で一定量のダメージを負うと修復の為の休眠モードに入るのだが、この休眠モードに一度入ると24時間は操縦ができなくなってしまう。休眠モード中はオートで修復が進むので、ブイコマンダーでも途中中断はできない。
作中での動向と秘められた事実
前述の通り2000年の世界に出現後、市街地で暴走に及んだブイレックスはその際に負ったダメージによって一時休眠状態に入るが、その間にタイムレンジャーとギエンとの間で、ブイレックスの制御装置(ブイコマンダー)を巡る争奪戦が展開される。しかし、争奪戦を制したのはそのいずれでもなく、シティガーディアンズ隊員の滝沢直人であった。
ブイコマンダーを手に入れた直人は、タイムファイヤーへの変身能力とブイレックス、そして自らの出世の為の足がかりを手中に収め、これ以降はシティガーディアンズ所有の格納庫を20世紀での住処とし、シティガーディアンズ最大の戦力として物語最終盤まで運用される事となる。
・・・しかし、ブイレックスは単に「過去の世界に迷い込んだ未来の巨大メカ」というだけの存在では終わらなかった。物語最終盤において、2001年に起こるとされる「大消滅」に絡み、ブイレックスに秘められていた2つの重大な「歴史的事実」が明らかにされたのである。
その一つ目は、「大消滅の直接の引き金がブイレックスである」という事。厳密には、ブイレックスの動力源として用いられている高密度のλ2000が、大消滅を引き起こす時空間の歪みを誘発する要因であり、これがギエンの体内にある高密度のλ2000と共鳴する事で、時空間の歪みを加速させた結果発生したのが、2001年の大消滅だったのである。
そしてもう一つの歴史的事実、それは「2001年2月3日にブイレックスのパイロットが死亡する」というものである。これにより、タイムファイヤーとして戦ってきた直人はその事実通りの末路を迎える事となるのだが・・・その裏では本来のパイロットによる「歴史改変」が密かに行われていた事が、直人の死後になって判明する事となる。
つまり、その人物は己が死ぬ運命を回避する為に、「2001年2月3日にブイレックスのパイロットが死亡する」という歴史的事実を過去の人間に擦り付ける事を目論み、その結果として作中でパイロットとなった直人が身代わりとして死ぬ事になったのである。
そもそもブイレックスが消息を絶った時空間移動実験の事故も、その事故で本当に消息を断っていたのはGゾードである。その人物が歴史改変を行いつつ上記の2001年の大消滅を起こさせる為に、Gゾードの存在を隠蔽した上で表向きブイレックスがその事故で失踪したように見せかけて、ブイレックスを20世紀に送ったというのが真相だった。タックにブイレックスに関するデータの殆んどが無かったのも、その人物が予め削除していたからである。
ともあれ、直人というパイロットを喪ったブイレックスは、彼からブイコマンダーを引き継いだタイムレッドこと浅見竜也に事実上まとめて託される事となり、共に大消滅を食い止めるべくギエンの操縦するネオ・クライシスと戦う事となる。
前述の通り、大消滅の原因の一端を担っていたブイレックスであるが、最終決戦でのタイムレンジャーの働きによって、体内のλ2000が時空間には無害な「ζ3」へと変換され、一転して大消滅を食い止める切り札として、ネオ・クライシス撃破の立役者となった。
作中でその後、ブイレックスがどうなったかについては触れられていないが、後に制作されたVシネマ『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』では、クライマックスの歴代レッドメカ勢揃いの場面において、タイムレッドのメカという扱いでブイレックスも登場しており、同じモチーフの守護獣ティラノザウルスとの共闘も果たしている。
この設定が『タイムレンジャー』TVシリーズ本編の方でも適用されていると見做すならば、TVシリーズ以降もそのまま21世紀の世界に残され、活動可能な状態にあると考えられる。
余談
時間移動実験の影響で飛ばされ、2000年に現れたブイレックスなのだが、それを最終的に現代人である直人が手に入れた事で、結果的には20世紀で唯一自由に使えるロボとなる。
というのも本作のタイムレンジャーが運用するタイムロボとタイムシャドウは、いずれも未来からその都度派遣されているロボであり、未来側(というよりリュウヤ隊長)の一存で過去には派遣されなくなるので、そうなるとタイムレンジャーは巨大戦ができなくなってしまうのである。
実際に、Gゾード破壊以降はリュウヤがこれ以上の過去への介入は不要と判断した事で、タイムロボとタイムシャドウは派遣されなくなり、「最終決戦まで1号と2号ロボが不在でメインの戦隊が巨大戦ができない」という、スーパー戦隊史上でも極めて異例な事態になってしまう。
そんな中でも、未来側の制御が完全に外れて20世紀に留まっている3号ロボのブイレックスだけは、唯一20世紀で自由に使える戦力であり、しかも自己修復機能を持つブイレックスは20世紀の設備や技術でも充分に整備可能なので、貴重な巨大戦要員として最後まで愛用される事になった。
前述した『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』で、タイムレッドがブイレックスを運用して巨大戦をしていたのはこういう事情もある(最終回でユウリ達もタックも未来に帰還した為に、もうタイムロボやタイムシャドウを呼ぶ事も完全にできなくなった為)。
関連タグ
ドラゴンシーザー:『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に登場する巨大戦力の一つ。こちらも恐竜をモチーフとし、基本的には自らの意思で行動しながらも、追加戦士からの外部操作でコントロールされる等、様々な面で共通項を持つ。
豪獣神:『海賊戦隊ゴーカイジャー』に登場する巨大ロボの一つ。タイムファイヤーを経由する形で、タイムレンジャーの大いなる力を受け継いだ機体であり、ブイレックスと同様に恐竜をモチーフとした形態も有している。
ゼンカイジュウオー:『機界戦隊ゼンカイジャー』に登場する巨大戦力の一つ。直接的には明言されていないものの、デザインモチーフの一つとして(前出のドラゴンシーザーと共に)ブイレックスが採用されている事が、公式にて示唆されている。
追加戦士が使用する巨大戦力