概要
名古屋テレビ・サンライズ制作のロボットアニメ「勇者シリーズ」の一作品として企画されていた作品の一つ。
同シリーズは、シリーズ8作目の『勇者王ガオガイガー』(1997年)でTVアニメシリーズとしての歴史に幕を下ろしているが、一方で同作の後番組――即ち「幻のシリーズ9作目」として、後述する要素を含んだロボットが登場する作品が企画されていたことが、一部の関連書籍にて明らかにされており、それがこの『フォトグライザー』である。
『ガオガイガー』、それにシリーズ7作目の『勇者指令ダグオン』(1996年)と、元来低年齢層向けとしてスタートした本シリーズ的に変化球が続いたためか、本作ではこれら2作のような人間と融合するメカではなく、
―デジタルカメラや双眼鏡、拳銃などの身近なアイテムや玩具が、1頭身のデフォルメロボへと変形する
―さらに事件が起こるとこれらのデフォルメロボが巨大化し、ロボット怪獣や動物・乗り物型サポートメカと合体することで、リアルな頭身のロボットとなる
というコンセプトが打ち出されていた。このデフォルメロボは、1/1サイズとして主人公の少年と行動を共にする存在として設定されていたようで、本シリーズの基本コンセプトである「純然たる子供向けアニメ」「少年とロボットの交流」への、ある種の原点回帰が志向されていたものと見られる。
一方で、本作関連のデザイン案については、シリーズ6作目『黄金勇者ゴルドラン』(1995年)のDVD-BOX付属の解説書にて、「ゴルドランの没案」との記載も見られ、長らく情報が錯綜した状態にあったが、2021年に開催された本シリーズ関連のイベント「超勇者展」にて、正式に『ガオガイガー』の次回作の企画であったと公言された。
また、本シリーズの終了によりお蔵入りとなった本作であるが、2023年7月に本シリーズの新作という触れ込みで、Webコミック『勇者宇宙ソーグレーダー』の連載開始が発表された際、そのキービジュアルに他作品の主人公勇者たちと共に、フォトグライザーと思しき勇者の姿も確認されており、ファンの間では何らかの形でフォトグライザーも同作にも関わる――即ち各種媒体において初めてその活躍が描かれるのではないか、と見る向きもある。
あらすじ
残された資料によると、次のようなあらすじだったとされている。
地球をゴミだらけの惑星にして移住しようともくろむ昆虫型宇宙人「ワルダーク軍団」が侵略を開始した。
探偵ごっこが好きな小学1年生の少年、宝健一はある朝目を覚ますと自室がロボットたちの基地に改造されていることに気づいた。
机の中は指令室、おもちゃ箱は格納庫となり、健一の持つ日用品や玩具たちは意思を持つロボットとなっていた。
ロボットたちは健一に地球に危機が迫っていることを知らせ、協力を要請。こうして健一やロボットたちとワルダーク軍団の戦いが始まった。
登場メカ
- 1号ロボ
メイン画像にもある巨大ロボで、恐らくはこれが「フォトグライザー」であろうと見られている。デザイン画稿から、デジタルカメラから変形するデフォルメロボと、鳥型ロボットとロボット怪獣が合体して完成することが判明しており、その大まかなフォルムはスカイゴルドラン(『ゴルドラン』)に近似したものとなっている。
ボディを構成するロボット怪獣の頭部が、左右に分割・変形することで両腕を形成する一風変わった変形機構や、胸部にコアとしてカメラロボが合体する構成など、勇者シリーズとしての定番要素を踏襲しつつも新味が模索されていることが窺える。
- 2号ロボ
双眼鏡型のデフォルメロボと、消防車型のビークルが合体して完成する。頭部の形状は超竜神(『ガオガイガー』)に近似したものとなっている。
この消防車型ビークルは比較的シンプルな構成とされているが、これは合体用のビークルやロボが巨大なサイズとして登場するという案と、それらも含めて玩具サイズであるという案がそれぞれ検討されていたことに起因する。
―拳銃型ロボ
リボルバー式拳銃から変形するデフォルメロボの一体。関連書籍においては3号ロボのコア、もしくはそのモチーフからライバルロボではないかと推察されている。
関連タグ
勇者聖戦バーンガーン:1998年に発表された勇者シリーズ関連のSLG『ブレイブサーガ』に登場するオリジナル作品。勇者シリーズのフォーマットに則って設定やストーリーが起こされており、現在ではこちらを指して「シリーズ9作目」と看做す見解も存在する
黄金戦士ゴールドライタン:タツノコプロ制作のロボットアニメの一つ。作中に登場するロボット達は普段は小型化しており、緊急時には元の大きさに巨大化して戦うという、本作に登場するロボット達とも共通した要素を備えている