生に意味などないと知るがいい! 答えなど、どこにもないと泣くがいい!
CV:山野井仁
概要
ペルソナシリーズのうち『ペルソナ2』において、ゲームの導き手である人類のポジティブマインドの化身フィレモンと並び、重要な役割を担う存在。
人類のネガティブマインドの化身。人の心が持つ光と影、そして無限の可能性までもを知り抜いたうえでその何もかもを嘲笑う、執拗かつ底無しな悪意の具現である。
「人は完全な存在となり得るか」という命題について、宿敵にして半身であるフィレモンと尽きぬ議論を交わしており、肯定派のフィレモンが人類の営みを見守り続けるのに対して、否定派である彼はより積極的に人類を破滅に導くことで、人は完全な存在になどなり得ないことを証明しようとする。
人の心の海より出でし彼が、地球外の神性存在であるニャルラトホテプを名乗るのは、かつてとある作家と邂逅した際に、その発想の中にある邪神の一柱があまりに己の在り様と似ていることに感心したため、とされている。
公式によって「クトゥルフ神話に登場する同名の邪神とは別物」であると言明されており、千の化身によって如何なる設定をも呑み込む「ニャルラトホテプ」の名を冠するキャラクター群の中では異色の存在でもある。
余談だが罰で戦いに敗れたニャルラトホテプ、だが死んだり消滅したわけではなく活動を休止しているだけ。そもそも普遍的無意識の海そのものであるニャルラトホテプは排除することは決してできない存在である。
むしろ奴は自身の命題である『“人は完全な存在になどなり得ない”の証明』を達成するため、あえて他者より拒絶を受け遂には滅ぼされるであろう“悪役”として振舞い、「ほら拒絶しろ」と暗に揺さぶりをかけてくる。この揺さぶりに負けて奴を“悪”として断ち切った相手は、自分の信ずる光=ポジティブマインドと表裏一体である影=ネガティブマインドを見失い立ち往生、あるいは他にある影を滅ぼすことへと暴走して自分の力を振りかざす新たな悪に成り下がるかのどちらになるしかない。
この状態へ全人類を追いやるのがニャルラトホテプの理想かつ、奴を認識出来る者を全て無くし実質滅ぼせる唯一の手段と言える。それは人が心の光を求め過ぎた挙句影を捨て、自分たちが光を持ち続けられる枠組みを壊した末に自滅した結果でもあり、これを持って人は完全な存在になれなかったと言う証明も成されることとなる。
このために、奴は他者どころか自分自身も嘲る対象としており、作中で最大の敵になったことで『ニャルラトホテプ』の神格を強く意識するに至った“(自称)本体”の他に、それを目障りと感じ一泡吹かせようと主人公側をバックアップする化身も現れた。そしてこの点を宿敵兼半身のフィレモンも熟知していて、主人公側がニャルラトホテプと対峙するチャンスを残すためにあえてニャルラトホテプの思惑を一部黙っているなどの共犯行為にも及んでいる。
その後のシリーズにも、神と称される普遍的無意識の海から生じた存在はいろいろと登場するが、彼らは歪んでいるとはいえ人間の願いをかなえる存在でニャルラトホテプとは決定的に異なるといえる。
また、彼らの叶える歪んだ願いとは、裏を返せば歪んだ考えを持った人らが世の正義となって勝ち逃げるとも取れ、その先にあるのは歪んだ考えにより人の世が立ち往生するか、それを無理矢理にでも回すべく何かを“悪”にして攻撃するか、概ねこの二択に至ると思われる。…結局、同じ無意識より出でた願いを叶えられる神であったとしても、その願いの裏に拒絶・弾圧された影があれば最終的にそれへ飲み込まれてしまうのである。
そしてその経過と顛末を見つつ、影は全てを嘲笑しながら自らも消えてゆくのだろう。さながら自らを産みつつも痴愚に陥った主人・アザトースすら笑いものにするニャルラトホテプの如く。
総評してこの底なしな悪辣は、日本で発売されたゲームでもトップクラスと称されることもある。
作中での姿
千の貌を持つとされるニャルラトホテプを名乗っているだけあって、『罪』『罰』の両方で無数の化身を使い分け、黒幕として辣腕を振るう。
噂パパ | 基本形態 |
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黒須淳の理想の父親像を元に生まれた化身。淳の心の隙間に付け入り、自身の手駒に仕立て上げた。 | スーツを着た男性のマネキンのような姿。モチーフはおそらく「ナイ神父」。ゲームには登場しておらず、金子一馬氏の画集で初めて存在が明かされた。 |
グレートファーザー | 無貌の神 |
『罪』の最終ボス。上記噂パパを中心に栄吉・リサ・舞耶・淳の父親を模した化身が集結した姿で、そのインパクトは抜群。システム上は5体の敵として扱われているため、強さという点でも猛威を振るう。相性無視全体即死攻撃「シールズレイド」のような恐ろしい技を持つ一方、HPダメージがランダムで微小なSP減少に変わるようになる特殊技「失意の悪夢」も保有しており、達哉たちを弄んでいるようにも感じられる。 | 『PERSONA2 罰』の追加モード・アディショナルシナリオに登場する化身。真・女神転生Ⅱ等と同じ姿をしている。モチーフは名称のとおり「無貌の神」だが、デザインについては、同じく化身の一柱である「夜のゴーンツ」から採られている。 |
ペルソナとしての姿 | ゴッド神取 |
『罪』におけるジョーカーのペルソナ。ニャルラトホテプの化身だと明示されたのは書籍『ペルソナ ワールドガイダンス』が初。 | 『罰』における神取鷹久のペルソナ。『異聞録』において自分のペルソナに乗っ取られた神取が変貌した姿。本編ではニャルラトホテプと呼んで召喚される。 |
月に吼えるもの | 真の姿 |
『罰』の最終ボス(第1形態)。モチーフは名称のとおり「月に吠えるもの」。この姿自体は『罪』でも見せておりフューラーのペルソナとしても使われたが、『罰』とは細かいデザインが異なっている。 | 『罰』の最終ボス(第2形態)。モチーフは”奴”が最も頻繁に自己の異名として用いていた「這い寄る混沌」と思われる。「これこそが真の姿」「この姿を晒させたのはお前達が初めて」とRPGラスボスお約束の口上を吐くが、そもそも「ニャルラトホテプ」という名と性質自体が“奴”にとっては仮面のようなものであり、どこまで信じてよいのかは疑問である。もしくはより多くの人々を弄んだ実績などに増長し、実質上の“本体”である立ち位置と「ニャルラトホテプ」の仮面に固執し出した、“奴”の自己矛盾と皮肉を表しているとも読める。 |
さらに「時間城の伯爵」「ヒトラー(フューラー)総統」等々、敵対者のみならず協力者にすらニャルラトホテプの化身が存在している。
関連作品
女神異聞録ペルソナ
ストーリーを左右する存在でこそないが、神取鷹久のペルソナ、及び城戸玲司専用ペルソナとして登場はしていた。また、上で述べた「ゴッド神取」という名称は、元々は本作のボスが初出である。
細かい部分では、比麗文上人(ひれもんしょうにん)なる人物の対になる存在として、邪鬼鳴羅門火手怖(なるらとほてふ)なる名前をエルミン学園の石碑などに見る事ができる。
ペルソナ 罪と罰
黒幕である日下耶雲に仕えるペルソナ使い・羅喉(らご)として登場。
使用ペルソナは「ディアブル・ド・ラプラス(ラプラスの悪魔)」。
自らがニャルラトホテプの化身だと自覚のない道化のような役回りだったが事件の終結後フィレモンの前に姿を現し嘲笑いながら姿を消す。
関連タグ
我は影、真なる我:要するに全人類のシャドウの化身と呼んでも差し支えないニャルラトホテプだが、こちらは根本的に『本体である人物に見返してもらいたい』との願いから動いている。
久保美津雄:自分の『影』を突き付けられても見返さず、拒絶した人物。ある意味ニャルラトホテプの主張する『完全な存在になどなり得ない、むしろそのチャンスを自ら捨てる人』のモデル例とも評せる。