概要
トルコのヒッタイト神話に伝えられる蛇神、あるいは龍神。多頭の蛇か龍のような怪物としても描かれる。
嵐の神プルリヤシュ(タル)を倒すほどの強大な力を持つ海の支配者として描かれており、プルリヤシュは彼に倒すべく、大気の女神イナラシュに助力を求めた。そこでイナラシュはイルルヤンカシュを宴会に招いて泥酔させると人間の青年であるフパシャシュに退治させた。異説ではプルリヤシュの息子である半神がイルルヤンカシュの娘に婚姻して取り入り、イルルヤンカシュを退治したという。
アレ?めちゃめちゃ強いのに最期あっけなくね?
そう思ったあなたは鋭い。実はこの神様、実力に反して出番が少なすぎるのである。上記の逸話には続きがあり、イナラシュはフパシャシュを大層気に入って夫にしたが、このフパシャシュには人間界に残してきた妻子がおり、彼女らが恋しくて仕方がなかった。イナラシュはそんな事はお構い無しとばかりに彼を監禁し、「私の目の黒いうちは返しませんからね?」とまで言う始末。フパシャシュは女神が席を外した頃を見計らって脱出を試みたが、女神にぶっ殺されて死んでしまうというオチ。
つまりイルルヤンカシュの襲来は女神のヤンデレエピソードの盛大な前振りに過ぎなかったのである…
なお、イルルヤンカシュに敗れ、力を奪われた嵐の神が、ヒトとの間に子供をもうけてその子の助けを借り、イルルヤンカシュを討伐するというパターンも伝わっている。
フィクションでのイルルヤンカシュ
イルルヤンカシュをモデルにしたイルルが登場。
- 女神転生シリーズ
真・女神転生デビルサマナーから龍族/龍神の悪魔として登場。渦潮が蛇の形を取ったかのようなデザインが特徴。ただし、得意な属性は作品によってバラバラで、炎属性を使うこともあれば、氷属性を扱うこともある。
ちなみに、「Dx2真・女神転生リベレーション」では明らかに見た目が蛇であるにもかかわらず、話しかけると犬のみたいな反応を返す。これでも一応神話最強クラスの龍神なんだけどな…
偽典・女神転生では名前だけ登場。「イシュタルの過去生であるイナンナに見込まれ、イルルヤンカシュを倒した狩人神」の存在が語られる。主人公葛城史人の前世がその狩人神である。
終盤に出会う大天使ガブリエルによれば、狩人神と史人の間に「何度か日本で生を受け、同じように龍を屠り女神を得た」という輪廻を繰り返していたらしい。
系統:海首の青属性スピリット「イルルヤンカッシュ」として登場。
クロスボーン・バンガードの保有する宇宙移動要塞の名前がイルルヤンカシュである。
しかしその姿は何処からどう見ても・・・
擬人化イラスト
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ヤマタノオロチ/ヴリトラ/テュポーン:共通点が多い神話最強の邪竜たち。ヤマタノオロチは神剣をドロップし、テュポーンはゼウスでも封印するのがやっと、ヴリトラは毎年蘇る、という具合にバランス崩壊レベルの強ボス要素を持つが、イルルヤンカシュにはそうしたエピソードが全くない。