概要
玩具メーカー「タカラトミー(前:トミー)」の、鉄道模型を子供向けにデフォルメした玩具シリーズ。
姉妹商品の『トミカ』と組み合わせられる『まちクリエイター』規格に対応。
2019年で発売60周年を迎えたロングセラーで、世代を問わず玩具の定番として認知されている。子供の頃にこれで遊んだ人は少なくないはず。
発売されてから50年以上レールの規格が変わっていないのも特徴。レールの色は一部を除き青である。
「プラ汽車セット」がプラレール初めての商品で、電池を使用しない手転がし商品として登場。
後に先頭車にモーターを付けて電池で走行する車両が登場し、スイッチを入れると走り出す車両が現在まで発売されている。
スイッチは正面下部から屋根上に移動され、現在使用されている新型シャーシは先頭車の後ろ側についている。なお、ただスイッチ位置が変更されただけでなく、ゴムタイヤや連結器の交換も簡単にできるようになった。今後旧商品も新型シャーシに統一、順次置き換わっている。
車両は現在走っている新幹線や特急型、通勤型、機関車などに加え、きかんしゃトーマスシリーズ、チャギントンシリーズなどもラインナップされている。
レバーを引くことでマグネット式の連結器が飛び出し、東北新幹線で行われているような連結走行が可能な車両や、走行音や警笛・ミュージックホーン・ブレーキ音・中にはドイツ・シーメンス社製のVVVFインバータ音やアナウンスまで行うサウンド車も存在する。
当然ながら幼児が扱うため、ヘビーユーザー向けの鉄道模型と比べ、作りは基本堅固頑丈きわまりない。そのため「抱いても壊れない」ということから、女子鉄の方にも「抱き人形」的な需要があるなど、他の鉄道玩具とは棲み分けが出来ており、幾多の「本物志向」玩具がユーザーがテツとして育ってしまえばいずれ本式の鉄道模型にとってかわられてしまうのに比べると、企画面でも他とは違う路線なのだ。
当初は実感を重視しない外観であったが、近年はSDガンダムあたり同様いささかマニアックなラインナップも見られる。
製品同士で共有している部品が多いことから、開発費は本家鉄道模型に比べれば低く済むため、速報的に話題の新車種を出すことも多い。
同社のオリジナル企画「ハイパーシリーズ」との連動によるトミカとの複合製品も多い。
略歴
1950年 米国 キーストーン社の鉄道玩具が発売。この玩具のレール企画がプラレールの規格の元となる。
1959年 トミーより「プラスチック汽車・レールセット」が発売。
1961年 「電動プラ汽車セット」発売。これ以降本商品は電動走行が基本に。
1964年 東海道新幹線開業に合わせ、0系を非動力で発売し、これが実在車両モチーフ製品の第1号となる。
1965年 本商品の名称が現行の「プラレール」に統一。
1972年 本商品の初代ハイエンド版、「スーパーレール」発売開始。ただしプラレールとの互換性は無し。1991年まで商品展開が行われた。
1974年 車両パッケージが一部透明化、現行フォーマットの元となる。
1987年 動力メカが2代目に世代交代。2014年までこのメカで車両が開発される。
1992年 「きかんしゃトーマス」シリーズの商品化開始。
1994年 10月14日、「鉄道の日」を「プラレールの日」と制定。
1995年 「超特急ヒカリアン」発売開始。
1997年 ファンクラブ発足。
2008年 「ハイパーガーディアン」発売開始。
2011年 本商品の2代目ハイエンド版、「プラレールアドバンス」発売開始。本商品のレール1本で複線運転が可能。2016年末まで商品展開が行われた。
2015年 「シンカリオン」発売開始。
2019年 「プラレール鉄道」シリーズ展開開始。
道会社における活用
プラレールは、玩具でありながらそのクオリティの高さや扱いやすさから、鉄道会社(特にJR東海の新幹線事業部)における乗務員の訓練用教材として用いられている。
またイベントなどで、過去に実施された鉄道工事に関する説明などに用いられることもある。
「笛コン」
笛を吹くことで発車や停車をコントロールできる「笛コン」というコントローラーと、専用シャーシが登場。
「L0系超電導リニア」のセットが初登場。シャーシに対応車両のボディを載せ替えることで、様々な車両を笛でコントロールすることが可能。
操作方法は、停車状態で笛を短く吹くと発車、走行中に短く吹くと停車、走行中に長く吹くと少しの間スピードアップする。
笛コンのかわりにスマートフォンアプリで操作することも可能だが、スマホを振ったりする動作を必要とする。また、人間の声などに反応して勝手に発車することもある。
関連展開
超特急ヒカリアンシリーズ
「ワンタッチ変形ロボット」のコンセプトで1994年頃に当時のプラレール企画室で商品企画化され、1995年から2003年頃にかけてトミーから新製品が発売された。
ヒカリアンの車両はプラレールのレールに載せることが可能だが、自走はしない。
新幹線変形ロボ_シンカリオンシリーズ
プラレール製品規格車両に変形ロボットのギミックを搭載した、いわゆる「合体変形するプラレール」。2014年発表。
編成単位での自走は可能だが、その代わりモーターギミックは通常のプラレールとは異なり中間車に移されている。
カプセルプラレール
姉妹商品として1999年に第1弾が発売された。
車両は本家に比べてかなり小型、場所もさほど取らず価格も1回200円~300円と安価となっている。動力はゼンマイ。
プラレールアドバンス
2011年に登場した、プラレールの姉妹商品。
プラレール用の単線レールを複線として使うもので、車両模型サイズはNゲージ並み。
プラレールリアルクラス(PLARAIL REAL CLASS)
2023年に登場した、ヘビーユーザー向けの姉妹商品。
既存の製品と規格を共用しディティール密度を向上させたもので、いわばいままで一部のマニアが私的に作ってきたマニアックガレージキット路線をオフィシャル化したものといっていい。
想定外の特需
そんなプラレールだが、2016年7月ごろから予想の斜め上を行く展開で急激に需要が伸びる事になる。それはポケモンGO。
同ゲームはプレイヤーが歩けば歩くほどレベルが上がったりタマゴを孵したりする事が可能であるが、3DSのようなジャイロセンサーではなくGPS形式での計算となるため本体を振って歩数稼ぎといった事ができない。
それをめんどくさがるインドアな人たちが楽して移動歩数を稼ぐために目を付けたのがプラレールというわけである。
もともとポケモンプレイヤーは両方のバージョンを買って一人通信をしたり十字ボタンを固定してタマゴの自動孵化を試みる層が結構いた。
同様に、プラレールにスマホを固定し、ひたすら周回運転させることで楽して歩数を稼ごうという試みが生まれたのである。
結果、Amazonでは人気商品としてプラレールの拡張レールが取り上げられるなどの奇妙な現象が発生した。
しかし、使ってみるとスマホが重く、脱線したりバッテリーの消費が早いといった問題が発覚。これらを克服しても、歩数のカウントが殆ど進まないという散々な結果に終わり、このブームはすぐ過ぎ去って行った(楽して歩数を稼ぐ方法は、電動式のターンテーブルの方が効率的という結論に落ち着いた)。
余談だが、スマホを搭載する都合上、フラットな屋根を持つ貨物列車が好んで購入された。
公式サイト
https://www.takaratomy.co.jp/products/plarail/