クリーク
くりーく
「弱ェと言われてとりみだす奴ァ 自分で弱ェと認めてる証拠だ」
「強ェ弱ェは結果が決めるのさ おれがいるんだ ギャーギャー騒ぐんじゃねェよ」
概要
東の海で最大の勢力を誇る海賊で、50隻の船と5000人の兵力を保有する海賊艦隊の提督。
非情な殺戮者として恐れられる彼もまた「偉大なる航路に入り、海賊王になる」という夢の持ち主。
手配書の写真は長髪だが、偉大なる航路からの脱出の際に負傷したのか、短く刈って頭部に包帯を巻いた状態で登場した。
プロフィール
人物
本人自身の戦闘力と、東の海の並の海賊なら圧倒する海上レストラン“バラティエ”のコックたちを苦戦させるだけの力を持った5000人もの船員たちを束ねるカリスマ性を持ち、船員の中にはクリークに忠誠を誓い憧れを抱く者もいる。
異名の通り騙し討ちを得意とする極悪非道な性格であり、勝つためならば手段は選ばず、異論を唱える部下は容赦なく粛正する。
命の恩人にさえ、感謝や恩義の念を感じる事は無く、受けた恩をその場で仇で返す事も平然と行う真性の外道でもある。
“武力を最も多く持った者こそが強い”という考えを持ち、如何なる相手も周到に用意した武器と戦略・戦術で倒してきた。彼にとっての戦闘とは「勝利のみを目的とした戦い」であり、「義」や「情」を甘ったれたモノとして最も嫌う。
本人も卑怯であることは自覚しているが恥じる事無く「どんな手段であろうと最後に勝つことこそ本当の強者」と捉え、偉大なる航路での失敗も情報不足だと反省するなど、狡猾さと周到さを併せ持つ曲者。
だが、自身の実力と経験に絶対的な自信を持つが故、己が力量や常識を超えた現実を前にすると現実逃避に走ってしまう悪癖も散見される。
ミホークの超常的な剣術を悪魔の実によるインチキと断じたり、ルフィに負けた事実を認められず発狂してしまったのが例で、(少なくとも登場時は)不確定要素に満ちた偉大なる航路を生き抜く柔軟性があったとは言い難い。
戦闘能力
「『強さ』とは どういうモンかを教えてやる…!!!」
「戦闘に要るものは戦う気ではなく、“殺す手段”、それが『武力』」という信念を持つ。
その圧倒的な火力と生来の残虐性は、バラティエのコックたちに「悪魔みてえな野郎だ」と言わしめた。彼を相手にするには怪力と数多の武装に加え、狡猾さと卑劣な戦略をも乗り越える必要がある。
- 誰よりも強い鋼の腕
巨体に恥じぬ超怪力の持ち主。両肩合わせて1tもある巨大な肩当てを事も無げに扱い、巨大なモーニングスターを振り回し、トラックほどもあるバラティエの戦闘艇「サバガシラ号」を片手で止め、あまつさえ空高く放り投げている。
- 誰よりも硬いウーツ鋼の体
金ピカに輝くとんでもなく頑丈な鎧。至近距離から放たれた砲弾が直撃してさえ傷ひとつつくことはなかった。さらにその内部にはあらゆる武装を仕込んでいる。
なお、「ウーツ鋼」は現実にも存在する金属である(「ダマスカス鋼」の名前の方が有名か)。木目状の模様が浮かび上がるのが特徴。
- 全身に装備された無数の武器
手袋の下にはナックルを装備し、ダイヤで強度を高めている(なお、現実のダイヤモンドは衝撃には弱い)。
鎧の内部に拳銃を仕込んでおり、取り囲んだコックたちに一斉掃射している。拳銃の他にも小型爆弾を大量に内蔵し、足場を破壊する、水中に投げ込んで水しぶきによる即席の目くらましを作るなど場の制圧力に長けている。
手首部分には火炎放射器があり、折れたマストを一瞬で灰にするほどの超火力を誇る。
マントに無数の針を仕込んだ「剣山マント」は近づこうとする相手を封じる(のだが、ルフィはその剣山の上からあろうことか素手でぶん殴ってくるという荒業を見せた)。
肩当てからも武器が射出できるようになっており、切り札である後述の“M・H・5”、およびそれに見せかけて空中で炸裂し相手を傷つける「炸裂手裏剣」、高速で射出される大量の槍などバリエーション豊か。とんでもない重量も納得である。
いったいどこに隠し持っているのかというほど多彩な武装で固めており、その他にも頭より大きなモーニングスターや鎧粉砕後にどこからか取り出した鉄の投網など、ルフィと対峙した敵の中でも武装の充実度は指折りである。
- 猛毒ガス弾『M・H・5(エム・エイチ・ファイブ)』
肩当ての中央にある砲身から、着弾と同時に猛毒ガスをまき散らす砲弾を放出する。
その威力は小さな町なら壊滅させることができるほどのもので、吸い込めばたちまち効果を現す即効性もある。
なお、自分と部下にはきっちり対策のためにガスマスクが用意されている。
- 大戦槍(だいせんそう)
両の肩当てを合体させることで完成する、触れると爆発する大槍。槍を打ち込む威力が大きいほど、爆発の威力も大きくなる。
なお、槍を打ち込まれずとも触れただけで爆発するため、マトモに打ち合うことも難しい。ルフィが相打ち覚悟のパンチで槍の刃を粉砕し、ただの「棒つき爆弾」になってしまった後でも、倒れてくるマストを一振りで薙ぎ払っており威力としては十分な脅威になりうる。
活躍
元は監獄にぶち込まれた悪党だったが、海兵に成りすまして脱獄し、上官を殺害して海軍船を乗っ取ったことから彼の海賊人生が始まる。海軍に成りすまして街や商船を襲ったり、白旗を挙げながら敵船を襲撃するなど、数々のダーティな戦績からついたあだ名が「ダマし討ちのクリーク」。
その手段を択ばない姿勢で海賊となってからの戦闘には全て勝利しており、海賊団としての規模も拡大し「東の海の覇者」と呼ばれるほどの存在にのし上がっていく。
そして50隻の艦隊を率いて「偉大なる航路」に挑むも、入って七日目に王下七武海の一人ジュラキュール・ミホークによって(ヒマつぶしで)艦隊を壊滅させられてしまう。
命からがら残った本隊の一隻、餓死寸前の部下100人余りと共に東の海に逃げのびた後、部下のギンに連れられてサンジが働いていた海上レストラン“バラティエ”に現れ、東の海の覇者とは思えないほどに非常に弱弱しい態度で下手に出て土下座しながら食べ物を分けて欲しいと願い出る。
ギンと同じくサンジに食事を提供してもらったが、食べ終えて回復すると同時に態度を豹変。偉大なる航路の航海に失敗したのは情報が足りなかったからだと考え、ゼフから彼の航海日誌を奪うことを目論む。
部下達を率いてレストランを襲撃。事情によりレストランで雑用をしていたルフィと戦闘になった。
体中に仕込んだありとあらゆる武器を駆使して戦うも、ルフィの信念に己の“武力”とウーツ鋼の鎧を破られ、最後は”ゴムゴムの大槌”で倒された。
その後、自分の敗北が信じられず半狂乱の状態に陥っていたところをギンに気絶させられ、退却していった。
その後の動向は不明。アニメでは海賊に復帰したと示唆された百計のクロのような描写も無かった。
ゲーム作品におけるクリーク
グラバトシリーズなど、東の海が絡む作品ではいくつか参戦。
攻撃・防御共に高いが、移動速度は非常に鈍重な典型的なパワーキャラ。
ゲームキューブ用ソフト『トレジャーバトル』では、サンジ&ナミのラストバトルの対戦相手としてアーロンとタッグを組んで参戦。
原作では特に接点の無い相手だが、会話の内容によるとルフィへのリベンジという利害の一致から手を組んだ模様。
何故か文武両道を掲げており、「今の自分は武力だけではなく知力も加わったから最強」といった旨の発言をするが、
サンジからは「武力バカが今更オツムを鍛えたって無理な話」、「ハートの勉強が足りてない」などと酷評される。
余談
- クリークの名前はドイツ語のKrieg(=戦争)に由来する。必殺の武器「大戦槍」もこれに掛かったものだろう。
- 彼の海賊旗にはドクロの両側に砂時計の意匠がある。これは敵への脅迫を意味しており、尾田栄一郎が8巻のSBSで「狙った獲物に対する死の刻限を示すもので、『おめェらが降伏すんのは、時間の問題だぜ』という意味」と回答している。
- アニメ四代目ED「しょうちのすけ」(推定少女)でこれまで戦ってきた東の海の強敵キャラとこれから激戦を繰り広げるだろうスモーカーやクロコダイルが出ている中、何故かクリークだけ出ていなかった。
- 先述の通りミホークに暇つぶしで艦隊を撃破され、描写こそないものの船を破壊され嵐に呑み込まれた上、5000人の内約4900人弱(生き残ったのは100人余り)が暇つぶしで死亡したことになる。
- また、シャボンディ諸島編にてサンジに恨みを持つ仮面の男デュバルが登場した際に「サンジに恨みを持つ」、「毒を使う」という共通点から彼の正体はクリークなのではないかと噂されていた。しかしその正体は誰もが予想だにしていなかったものだった…
- Netflixで制作されたドラマ版にも登場。ミホークに昼寝を邪魔されたという理由で艦隊を強襲されるシーンが初の出番で、ミホークに対し鎧に仕込んだ銃や砲弾を放つも一刀にて切り捨てられる。その後電伝虫越しにクリークの悲鳴が聞こえた後は登場シーンがなく、バラティエを襲う下りはカットされている。