概要
これは英語ではreverse discrimination(ただし英語と日本語ではニュアンスがかなり異なるとされる)と呼ばれ、他者に対する差別を是正あるいは撤廃しようとする過程において、差別されて来た側(主に異民族や社会的弱者)を優遇することにより格差を是正を行うが、それまで優遇されて来た側、あるいは優遇されなかった別種の被差別者(例えば黒人差別と黄色人種差別など)が被差別的立場に立たされて不公平が生じることで起きる差別のことである。
また、やられたらやり返せという差別もこれに含まれることがある。
事例
たとえばある施設などで「被差別者を一定数受け入れるように」と法律等で定め、それを実施したとする。その後「被差別者とそうでない人に対し能力等で有意な差が生じた」あるいは「別種被差別者が割を食って受け入れられなくなった」などという事例が発生した場合、これは過剰な優遇ではないかといわれることがある。
また、ある団体に所属している人物が優遇されていたがその優遇解消のため団体に所属していない人に別の優遇を行った結果、その団体に所属している人々の一部が不利益をこうむる事例も存在している。
発生状況
特に人種による差別にて発生することが多いとされるが、性によるもの、出身地によるものなどでも発生することがある。
日本においても被差別部落、在日外国人関連に多いとされ、欧米においても同様の外国人問題が存在し、社会問題となっている(特に「彼らに与えられた特権のおかげで本来支援されるべき人々に支援が行き渡らない」といった事例が多くあり、その中には根拠のあるものも根拠のないものも存在する)。
問題点
この状況が発生する事により人々に対する平等が崩れ、「悪平等」へと発展してしまう事となる。
また、過剰な優遇により、差別されていない者の不満を高まらせ、被差別者が風評被害を受ける等、却って悪化させてしまう事例も存在している。
ただし、あまり差別に対する優遇を言い過ぎるのは特に人種差別に関しては過剰なナショナリズムと結びつき、差別が酷くなったり、最悪の場合は民族浄化などにつながったりすることがある。
創作では
デリケートな問題であるため少なくとも日本の創作では触れられることが少ないが、かつての差別側がはるか昔にかつての被差別側の反乱に敗北し、現代では完全に立場が逆転していると言う因果応報的側面を加えて描かれる例は少なからず見られる。
ただし、そういった描写の場合、客観的に見ても偏った内容となってしまう場合(所謂「ヘイト創作」等)も多く、エスカレートし過ぎた内容は逆に見た者に不快感を与え、賛否両論の論争に発展する事も珍しくない。
世界では本腰を入れて配慮する場合が増える反面、ポリティカル・コレクトネスと密接に結びつく場合も多く、主要人物の人種が変更されるなど多かれ少なかれ炎上することが少なくない。
関連タグ
事例とされるもの
男性差別(類似するが違うものとして扱われる)