概要
タイトル通り「枕返し」という妖怪が登場するが、鬼太郎達と共に事件を解決するキーパーソンとなる。
また、久々に人間の姿をした目玉おやじが登場したエピソードでもある。
ストーリー
眠ったまま目覚めなくなってしまったマサシの父アキノリを救うため、マサシはマナを通じて鬼太郎に助けを求める。
マナから「他にも被害にあっている大人たちが多数いる」ことを聞いた目玉おやじは「大人達は夢の世界に囚われている」と推測し、枕返しの元を訪ねるものの、彼はかつて謎の高僧に成敗されて既に改心しており、犯人ではなかった。
そこで、マナが一芝居打ったことで、当初は疑われたことで腹を立てていた枕返しが挑発に乗り、自身の能力で鬼太郎達を夢の世界へ案内した。
「夢の世界」を訪れた鬼太郎達だったが、そこは何でも願いが叶うまさに「夢」のような場所であり、当初は目的も忘れてすっかり虜になってしまう。
その後、この事件の黒幕である少女の霊を見つける。
この少女の霊は、かつて「洪水を沈める為の生け贄」にされ、その悲惨な死因から「せめて、良い夢を見られるように」と枕返しを退治した坊主から、遺体の首に結ばれるかたちで枕返しの能力の一部である「夢繰りの鈴」を渡されていた。
そして、自身の「無念さ」と「友達欲しさ」からその能力を駆使し、現実に疲れ果てた大人たちを夢や希望で満ちていた子供時代の姿へと変え、夢の世界へと連れて去っていた…という顛末だった。
少女は鬼太郎たちの説得を聞き入れず、夢の世界から彼らと追い出そうと、子供の姿になった大人たちと共に襲い掛かる。
空想がそのまま形になる夢の世界では、子供らしく常識にとらわれない、途方もない夢があるほど、より強い力を発揮できるため、不幸な生い立ちゆえに子供らしい夢を持つ余裕などなかった鬼太郎には普段通りの攻撃しかできず、ついには少女の力に圧倒され、あたりを覆いつくす奔流と化した少女の毛髪に飲み込まれてしまい、ピンチになる。
しかし、最終的にはマサシとアキノリ父子の絆や、息子を思う目玉おやじの力が「夢繰りの鈴」を破壊したことで少女は敗北した。
夢を操る事が出来なくなった彼女は、捕えた大人たちの魂を開放したことで事件が解決した。
…だが?
アキノリはかろうじてマサシとの絆を支えに生きる力を取り戻したが、彼女が潜む夢の世界そのものは残り続けているうえ、大人たちがそれぞれ抱えていた問題は殆ど解決していない。
現実逃避を求めて彼女の元へとやってくる人々が後を絶たないであろう事をうかがわせる、なんとも煮え切らない幕切れとなった。
余談
目玉おやじ、ネットを制す
「夢の世界での目玉おやじの姿」とその活躍ぶりは、視聴者に凄まじい衝撃を与えて大きな反響を呼んだ。
ツイッターでは「目玉おやじ」がトレンドワードとなり、3万件に迫るリツイートが行われたほどで、放送日(2018年7月1日)のうちにGoogleの検索予測で目玉おやじと打つと、すぐ下に「生前の姿」「イケメン」等がサジェスト候補として表れるようになった。
pixivにおいても、その人気ぶりから「目玉おやじ(本来の姿)」というタグとして存在するが、あくまで「若かりし頃の姿に触発された夢の世界での戦闘スタイル」であるため、実際は本来の姿というのは正確性に欠ける表現である。
ちなみに、このエピソードには他にも、
- 知り合いの親子を救うために一芝居打ったまなのゲス顔
- 犬猫コンビの妄想の炸裂っぷりと八頭身の鬼太郎
- その昔各地で妖怪退治をしていたらしい謎の高僧が枕返しの話にも登場し、その僧侶が少女を人柱として捧げる儀式に噛んでいた様子
- 一度は夢の世界へ逃避しながらも、息子への愛のために父親としての自分を取り戻し、命がけで我が子を救ったアキノリの活躍
など、ネタ含め様々な見どころが詰め込まれていた。
……が、全部目玉おやじに持っていかれてしまった。
全国の視聴者よ、どうか彼らのことも思い出してあげてください。
声優の意志
かつて1期・2期・墓場編で鬼太郎を演じ、本作で目玉おやじの声優を務める野沢雅子は、自ら「(6期の目玉おやじは)鬼太郎が成長して父親になった気持ちで演じる」と発言していた。それを受けて以前から一部では「愛息子の危機を救うため、全盛期=初代鬼太郎の姿を取り戻す目玉おやじ」という設定での二次創作が行われ、ピクシブ内でもそういった作品が投稿されていた。
が、公式で限りなく近いことが実現してしまった。
野沢雅子は、「ドラゴンボール」の孫悟空役でもよく知られている。このためピクシブでもCV発表直後から中の人つながりネタが賑わっていたが、今回の「息子を守る強き父親」「エネルギー波の様な指鉄砲」「普段と違う低い男らしい声」などの点から『悟飯を守る悟空』を再び想起した視聴者も多かった。
小ネタ
- 冒頭の台詞の様に、目玉おやじは自身の事を「ただの父親だ」と呼んでいたが、これはアニメ第一作・第二作での目玉おやじのクレジットが、『父親』だった事も想起させる。
- 実写版のウエンツ瑛士が演じた青年鬼太郎は髪が白(銀)髪に近く、当然ながら身長や体形も成人男性のもので、もしかしたら、こちらもモチーフにしているのかもしれない。なお、6期のスタッフはこの実写版にも参加している。