CV:野沢雅子
演:中川晃教
概要
地球で生まれ育った少年で原作とTVアニメの年齢は10歳。好物はビフテキとラーメン。
機械の体となった人間が世界を支配し、生身のままの人間は虫けら同然の扱いを受ける未来の地球を舞台として物語は始まる。
鉄郎は両親と貧しくも幸せに暮らしていたが、父は人間が自らを機械化することに反対したために殺され、母もまた機械伯爵の人間狩りの獲物として射殺され剥製にされてしまう。
今際の際、母は「999号に乗れば、高価な機械の体をタダでくれる星に行ける。強い機械の体を手に入れて、自分たちの分まで長生きして」と言い残した。降り積もる雪の中、悲しみに浸る暇もなく生き延びるために鉄郎は歩き続けるが、やがて力尽きてしまう。
死んだと思っていた彼は、謎の美女メーテルによって救出され、蘇生する。集音機の使用中、母子の会話を偶然傍受したという彼女は自分の旅に付き合ってくれることを条件に999号のパスをくれるという。
回復した鉄郎は機械伯爵に復讐を果たし、剥製となった母に約束を果たすことを誓って伯爵の館に火を放つと、メーテルとともに999号に乗り込んだ。
機械の体を手に入れ、永遠の命を得る事を目的として旅を続ける鉄郎だったが……
人物
男気に溢れ、染み渡るような優しさの持ち主。義理人情に厚く、動物好きでもある。10歳という幼さながら男の中の男。しかし極貧の中で育ったためか世間知らずで金銭感覚もどこかズレている。また風呂に入る事を面倒くさがり、散髪もほとんどしない。
鉄郎の生きる時代ではラーメンの材料となるものが地球には既に無かったらしく、もはや伝説の食べ物となっていたらしい。それ故に本物のラーメンを食べられる事になった時は感涙しており、以降は合成ラーメン(恐らくはインスタントラーメン)だろうと喜んで食べる程の好物となった。
鉄郎が伝え聞いた「人類の口の永遠の友」という言葉は、我々が食べるラーメンというものは何かが集約された名言であり、一方で我々のように当たり前に口にできる世界ではないのが銀河鉄道999の地球という残酷な世界という意味も持つのである。
また原作・TV版ではその初期に化石化惑星で斬りつけられた際にできた傷痕(この時、きれいに縫合できるにもかかわらず鉄郎自身の希望で派手な縫合痕を残した)をトレードマークのひとつにしている。
原作エターナル編で、過労による母親の流産で生まれてくることができなかった妹がいたことが明らかにされた。
使用武器
序盤はメーテルからコスモライフルを借りて武装していた。しかしトチローの母と思われる老婆に見込まれ、息子の形見の宇宙戦士の銃を譲り受けてからはそちらを愛用している。
劇場版
年齢は15歳に設定変更された。第2作は見た目は一緒だがちゃんと17歳に成長している。
口元が引き締まり、TV版とは別人レベルでイケメンに成長している(ただし両親、特に母親を見れば遺伝子的に不思議ではない)。特徴として団子鼻は健在。ついでにガニ股も直りきっていない。この鉄郎を描こうとしてハーロックになってしまった人はここに注目しよう。また、不意を突かれるなどして気の抜けた表情になると10歳時の面影も出てくる。
服装は原作・TV版と同じ赤いシャツとデニムパンツだが、その上から更にモスグリーンのジャンパーを着ている。
母を亡くした10歳時の回想シーンでは原作・TV版と同じ姿をしている。
なお偉大なる男ハーロックや誇り高き女海賊エメラルダスに男気を認められるのは劇場版オリジナルの展開である。
容姿は男前になった反面、精神年齢的にはむしろ幼くなっている。これは劇場版の鉄郎と言うより特にTV版の鉄郎が大人に人生観について説教したりと所謂※小学生ですな言動が多いため。
このことから“等身大の15歳”に見えるため、原作・TV版の鉄郎よりは感情移入しやすいと言われている。『999』について劇場版旧2作のイメージが原作・TV版のそれよりも強く浸透している一端とも考えられる。
ついでに言えばメーテルも娘の側面が増して精神的には幼くなっており、二人の恋愛要素が強調される一因となっている。
一方で、劇場版第1作ではメーテルの制止虚しくメーテルを殺している。何を言ってるのかわからないと思うが作品未視聴の方で気になった方は作品で確かめていただきたい。ついでに第2作でも銃口を向けている(このときは流石に引き金は引けなかったが)。
メーテルとの関係性はTV版は保護者とも姉とも恋人とも取れる曖昧なものだったが、劇場版はお互いが愛し合っていることを認識している純粋な恋仲である。とは言うものの第1作のラストでプロメシュームの道連れにされそうになった鉄郎が意識が朦朧とする中で叫んだのは「母さん!」だったりするが。わざわざプロメシュームがメーテルに「お前から鉄郎を奪い取ってやる」と宣言して手にかけたのにもかかわらず……
他に相違点として、原作・TV版のエピソードから
- ラーメンが好物という描写
- 化石化惑星で斬りつけられた際の背中のサンマ傷
の二点はこちらの鉄郎にはない。傷跡については右肩の部分に縦傷が走っているのが劇場版第2作の入浴シーンで確認できる。
劇場版で鉄郎を成長させた理由について、原作者の松本零士は「身長がメーテルの腰の辺りまでしかなく、大スクリーンで二人が並ぶとバランスが悪いから」とコメントしている。一方スタッフはメーテルとの恋愛関係、ならびに二人の別れとなるキスシーンを描くためには鉄郎の年齢を引き上げる必要があったと説明している。
劇場版第2作の一年後を描いた漫画版『アルティメットジャーニー』も存在する。本作にしてついに青年に成長した鉄郎の旅が描かれることとなった。
こっちの鉄郎は背格好は劇場版準拠だが表情は原作と劇場版とさらに「宇宙交響詩メーテル」のナスカを掛け合わせたようなキャラで、エキサイトすると原作に近い野生児顔に、黄昏れると劇場版に近いイケメン顔になる。好物はビフテキ。大親友のミーくんを引き連れている。
本作の鉄郎は大物感が更に増し「機械化世界から人類を解放した英雄」として宇宙に名を馳せる存在(同時に多くの敵を作っている)になっているのは元より、メーテルが(事実上の)嫁、エメラルダスが(事実上の)義姉、ハーロックが兄貴分にして魂の友と、ほぼ無双状態になっている。特にメーテルは素粒子レベルでエネルギー解放して宇宙に散り散りになり、双子の姉のエメラルダスでさえどうにもなくなったのが鉄郎の呼びかけであっさり再構成してしまうほど鉄郎にデレている。
また年齢が18~19歳くらいに成長しているので、心に響く台詞をぶっ放して相手(男女問わず)のハートを鷲掴みにするシーンが度々登場するようになる。メーテルはこれで何か思い違いしたか、後に鉄郎が命懸けでゲットしたラインの黄金の指環を半ば強引に自分の左手薬指に捧げさせてしまった。
ともかく鉄郎が強く優しく頼りがいのある好青年に成長しているので、行く先々で大物女性に好意を持たれまくるという大変なことになっており、もはやメーテルがなりふり構わずやれることは何でもやる状況に陥っている。さすがに一緒にお風呂は鉄郎が逃げたが。