うま味調味料とは、調味料の一種である。
概説
五味(甘味/塩味/酸味/苦味/旨味)のうち、旨味を加えることを目的とした調味料。
塩のようなパウダー状の白い結晶で、基本的にはほぼ無臭に等しい。
旨味とは、必須栄養素の一つである「アミノ酸」の存在を知らせる感覚であり、旨味が強いと食品や料理をより美味しいと感じることが出来る。
うま味調味料を料理に利用することで、味の輪郭線をはっきりと浮かび上がらせることが出来る――有り体に言えば味を濃く感じられる効果がある。
これらは出汁を取って加えるのと同じ効果である。
さらにうま味調味料なら風味が無に等しいので、食材と出汁の風味が喧嘩して料理の美味しさを損ねてしまうリスクを回避することもできる。
主にグルタミン酸(植物性)、アスパラギン酸(植物性)、イノシン酸(動物性)、グアニル酸(きのこ類)、コハク酸(貝類)、等が代表的な旨味成分であり、うま味調味料はこれらを足すことで料理に旨味を与える。
なお、グルタミン酸などの「アミノ酸系の旨味」とイノシン酸・グアニル酸などの「核酸系の旨味」が両方とも含まれている場合は「旨味の相乗効果」と言われる旨味が何倍にも強く感じられる現象が起きる為、イノシン酸の大量生産技術が確立されて以降は(イノシン酸はグルタミン酸に比べて単純な化学合成ではコスト高になるなどの問題が有った)、ほとんどのうま味調味料は家庭用・業務用を問わず複数種類の旨味成分から構成されている。(逆に「純粋なグルタミン酸だけ」の調味料の方が入手が困難)
一方で、「うま味調味料による健康被害」というデマにも長年悩まされており、誤解の解決に奔走することを余儀なくされている。
1960年代末のアメリカで端を発したこの流れは、NHKが公共放送として商品名が使えないことを理由に捻り出した「化学調味料」という単語と、当時の公害問題による「化学」という単語へのマイナスイメージが加わり、悪印象を強めて宣伝される結果を招いてしまった。
しかし「味の素」も、初期は石油由来の成分を使用して製造した時期があり、相次ぐ批判から現在では製造法の見直している。
特に、イノシン酸については、大量生産方法確立の研究・開発の初期段階から「肉・魚介類などを分解して作り出す」製造方法が検討されていた。(グルタミン酸が2種類の光学異性体の内、片方のみに旨味が有るのに対して、イノシン酸は4種類の光学異性体の内、1種類のみに旨味が有る為、単純な化学合成法では「旨味が有る光学異性体のみを分離する」為のコストや技術的ハードルがグルタミン酸よりも上だった)
※詳しくは「味の素」の項目を参照。
ただ現在でもネットからの情報を根拠に、上述の経緯を再び掘り起こし、執拗にうま味調味料を批判する勢力も存在するため、うま味調味料に好意的な著名人としばし論争を巻き起こすことがある。
主なうま味調味料
- 味の素(味の素食品)
- ハイミー(味の素食品)
- 「味の素」とは角度を変え、調理過程でうま味を加えることを目的に開発された商品。
- 「味の素」とはグルタミン酸/イノシシ酸/グアニル酸の配合比率が異なり、より加熱調理で真価を発揮するよう調整されている。
- いの一番(三菱ライフサイエンス)
- 味の素に次ぐ古株。「味の素」と「ハイミー」の中間のような調合で、製造法の違いからか双方よりも価格帯が一段高い。
- ほんだし(味の素)
- 「出汁の素」等の顆粒出汁の大家で知られる。分類上、製造法的にはうま味調味料に分類される。
関連タグ
化学調味料:「うま味調味料」の昭和30年代ごろの名称。商標商品名と区別するために公共放送の中で便宜上つけられた名前であったが、商品の機能を正しく表す名称ではなかったため、今では「うま味調味料」という名称で統一されている。
美味しんぼ:日本を代表するグルメ漫画だが、反うま味調味料の立場を取っており、その後のうま味調味料の販売に逆風を起こしている。
リュウジ:日本を代表する料理系YouTuberの一人。「味の素肯定派」を公言しており、そのため過激な否定派から頻繁に標的にされ、その度にX(旧Twitter)等で正面から反論し、ついには自身が味の素を使い続ける理由を書籍にまとめてしまった。