概要
「化学調味料」とは、「うま味調味料」の別称である。略して「化調」と言う事もある。
昭和30年代ごろ、公共放送の中で商標商品名を使わないようにと便宜上つけられたものだが、実態を正しく反映していない事や、有利誤認に繋がるといった部分が問題視されて「うま味調味料」に統一され、食品の成分表示などに使用することはできない言葉となっている。
かつてはJAS規格でも使用されていたが、平成元年に削除されている。
公的には消費者庁公開の令和4年(2022年)「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン参照PDF」にて
「人工甘味料不使用」等、無添加あるいは不使用と共に、人工、合成、化学、天然等の用語を使用した表示」
が適切とは言えないものであると明示され、天然の素材でも添加物は添加物としてきちんと表示するよう言及されている。
例えば基本味(食材の組み合わせで作れない基礎的な味)である「うま味」を生み出すグルタミン酸は、混ざり合った物質の差による風味などはともかく、天然モノの昆布に含まれていたのを出汁で抽出しようと、化学的に管理された樽の中でサトウキビを発酵させて作った調味料だろうと、味を感じさせる成分としては違いが無い。
また、発酵菌の効果によって作られる味の成分を「化学」だと言ってしまうと、醤油や味噌や鰹節、チーズやワインなども「化学的食品」だということになってしまう。
これでは実態を正しく表現しているとは言えないし、消費者が「化学」や「天然」といった用語に好悪どちらかの印象を持っている場合、「(悪い)化学〇〇不使用」「(好ましい)天然〇〇を使用」などと書くと、その食品の実態以上に良いものであるかのように見せかける有利誤認とみなされることになる。
もとから保存料系の添加物が必要ない加工食品に「保存料不使用で安心!」と書くなどといった行為と同じような、消費者の目をくらませる行為になる。