概要
「ブラックマーシュ」(Black Marsh)とはタムリエル大陸の中央に位置する地域。
TESシリーズでは今のところESOのみにゲーム中で登場する。また名称や書籍などを通じて他ゲーム作品でも言及されている。
タムリエル最大規模を誇る熱帯雨林地帯であり、帝国(Imperial)から見て南東に位置する謎に包まれた地域。
二足歩行の両生類の姿をしたアルゴニアンたちが暮らす自然豊かな彼らの故郷としても知られている一方で、大陸内で最大級の過酷な自然環境が古来より人の侵入を阻んでいる。
歴史
古代のブラックマーシュ地方
神話紀では人やエルフがタムリエル大陸に上陸し、歴史を紡ぎ始めるよりずっと以前の昔から、ブラックマーシュという領域は霊魂の樹木である「ヒストの木」とともに既にこの地方に存在していたとされる。
タムリエルの生命の根源の一つともされ、様々な姿を象れるヒストの木はやがて現れた人間の姿を真似てアルゴニアンを形作り、次第に彼らの精神を通して大陸中へとその根を広げていったという。
地理的に近辺に位置するシロディール地方からはこの地方の大自然に秘められた神秘や資源を求めてアイレイドの軍がたびたび侵入したこともあった。
そしてアイレイドがアレッシアの乱で没落し、彼らが滅び去った後は帝国(Imperial)の軍隊がこの地方の支配を目指して開拓を試みたが、植民や移住を試みた全ての試みが大自然に打ち砕かれて失敗に終わっている。
人間の入植できないこの地方のことを彼らは次第に蔑むようになり、穢れた沼地を意味する「ブラックマーシュ」と呼んだ。
また、モロウィンド地方へ移り住んできたチャイマー(後のダークエルフたち)はこの地域が生み出す資源の豊富さに早くから気づき、ネッチやクワマといった有益な動植物を北方へ持ち去り、森の中で暮らしていたアルゴニアンは奴隷にして自らの都市へ連れ去った。
第二紀(ESO)
現在のところ唯一実際のゲームの舞台になる時代。舞台にしたゲームはESOであり、ベースゲームでシャドウフェン、DLCでマークマイア、ノルグ・ツェルというマップが舞台になっている。
この時代には帝国が弱体化し、アカヴィリという強力な東方大陸の勢力がタムリエルに侵入してきた。外敵に征服される危機に直面したダークエルフたちはノルドとの同盟を締結し、さらにアルゴニアンの奴隷化を禁止するのと引き換えにアルゴニアンの各部族にも同盟を求めた。シャドウフェンと呼ばれる北部の幾つかのヒストの木に育まれた諸部族は、いったん過去の怨みを抑えてこれに応じた。三種族はアカヴィリを撃退し、さらに帝国衰退とアルドメリ・ドミニオンやダガーフォール・カバナントといった主要な他種族が全てまとまって形成した同盟からの侵略、デイドラの侵入に対処する為にエボンハート・パクトという常設の同盟を結ぶ。しかしその他のヒストの木に育まれた諸部族は参加しなかった。
シャドウフェンは、モロウィンド地方の都モーンホールドがあるデシャーンのすぐ南、つまりブラックマーシュ最北部に位置する。植生や動物もデシャーンとの共通性が高い。もちろんアルゴニアンに言わせれば、デシャーンのダークエルフが奪った結果に過ぎない。アルゴニアンの指導者はバイスカノンと呼ばれ、ストームホールドという都市をなすヒストの木の部族を拠点とする。そして同じくバイスカノンと呼ばれるダークエルフとノルドそれぞれのいわば大使と協議しながらヒストの部族を越えたシャドウフェン全体の行政とパクトとの外交を行う。マークマイアは最南部の湿地帯であり、パクトからも知られざる文化の諸部族と動植物が豊富。ノルグ・ツェルは南東の海上にある島である。
第三紀(Oblivion)
第三紀のオブリビオンの動乱の際には帝国の中枢であるシロディールはおろか、優れた魔術で名高いサマーセット島のハイエルフ達でさえオブリビオンの領域から出現するデイドラの軍勢相手に手を焼いていた。
一方、ブラックマーシュ地方はというと現世でありながらあのデッドランドを凌ぐほどの過酷極まりない自然環境などが幸いし、撃退に成功する。
その後、ヒストの木の召集に応じて大陸中から集まったアルゴニアンたちはデイドラの軍勢を信じ難いほどの速度で撃破し、同時に他の地域に先んじて「アルゴニア」として帝国の支配を脱して独立を勝ち取った。
第四紀(Skyrim)
第四紀には赤い年と呼ばれる大災害が発生し、レッドマウンテンの噴火により大陸北東部に位置するモロウィンド地方周辺が大打撃を受けた。
ダークエルフ(ダンマー)の統治する主要な都市が火山灰などにより壊滅した一方、モロウィンドの南方に位置するブラックマーシュ地方はかねてより同胞に圧政を敷き続けてきたダンマーの絶体絶命の状況を見逃さず、蔓延する疫病と火山灰でかつてなく弱体化した彼らの都市群を枯れ枝を踏み折るように各地で陥落させていった。
最終的にアルゴニアはモロウィンドのかつての首都、モーンホールドを含む肥沃な南部の大部分の土地を征服した。
また、彼らはスカイリム地方で発生したストームクローク軍の内乱には今のところは不干渉を維持している…今のところは。
地理
首府はヘルストロムと呼ばれる内陸中央部の巨大な古都で、アルゴニアン以外の全種族を拒むかのような密林の最奥部に位置している。
北西部にはストームホールドという名の街を抱え、近場にある帝国やモロウィンド地方とも接続する交易路として文化的にも多くの人口を抱えた。
ストームホールドや南西部のギデオンなどの都市は古代アイレイドの設立した都市が原型となっており、建築物も彼ら由来の意匠や、その後に出現した帝国由来の建築技術を取り入れたものが多い。
そして沿岸部を含めてブラックマーシュ中央部の巨大な密林地帯はタムリエル屈指の危険地帯として知られており、人間一人どころか軍団丸ごとが沼に呑まれて消えることもここでは日常的に頻発する。
ブラックマーシュの種族
かつてはコスリンギというブラックマーシュ地方に適応した文化を持った人間が住んでいたが、ナハテン風邪などの流行が原因で滅亡し、遠い昔に姿を消してしまっている。
アガセフというブラックマーシュのアルゴニアンの一種はこの地方の内陸部に住む種族で、お喋りが達者なうえ人間にも比較的友好的だが外の世界にはまったく興味を示さない。
どうして人間たちがこの地方にいつも死にかけの馬と破損した荷馬車を持って現れるのかを不思議に思っている。
彼らによると、同じく内陸部に住んでいるヒキガエルの姿に似たパートル、翼を持つサルパなどのアルゴニアンは人間に敵対的だという。
また、ブラックマーシュのさらに最奥部の古都ヘルストロム周辺ではアルゴニアンの他にもナーガと呼ばれる人間嫌いの蛇人の種族が住んでいるとされる。
宗教
ブラックマーシュ地方の宗教的な面では、八大神の信仰もデイドラの信仰も沿岸部以外では皆無と言っていいほど普及しておらず、代わりに他地域のアルゴニアンたちと同様かそれ以上に霊魂の木であるヒストへの信仰が全土で盛んである。
また、特に帝国の支配の及ばない地域では闇の一党で名高い虚無の父シシスへの信仰がメジャーなものとなっており、影座の月に生まれた子は「シャドウスケール」と呼ばれ親の元から引き離されて育てられる。
エルフなどの中にはアルゴニアンたちがよく太陽を信奉しているのを見かけるという学者もいるが、本人達曰くそれは明確な間違いであり、サクスリール(※アルゴニアン)たちは太陽の暖かさと日光浴は好きだが、ただそれだけであるとのこと。
言語
ブラックマーシュに住む人々は他のどの地域とも違う言語を話し、特にアルゴニアン同士が集まってひそひそと会話している時は人間やエルフ達の耳には全く聴き取れない言葉も多いことからあまり良いイメージは持たれていない。
そしてアルゴニアンたちの人名も人間に発音できない音節が含まれる場合も多いため、なるべく他種族にも意味がそれとなく伝わるような名前を名乗ることが多い。
(“雨を待つ者”、”聞き耳を立てる者”など)
一方で非アルゴニアン文化(帝国など)に順応したアルゴニアンはよそ者扱いされることもあり、特にブラックマーシュの地ではあまり歓迎されない。
困ったように舌を鳴らされたり、少し嫌そうな顔をされる。
ブラックマーシュの書籍
- 『食の旅シリーズ』
食の求道者として知られる料理研究家のラローム・ルモンズが著した本で、ガイドのマク・マカと共に闇と未知に彩られたブラックマーシュ各地の珍味を追う内容の非常に貴重極まりない冒険録。
第4巻で作者のルモンズが現地の郷土料理をマカの忠告を振り切って試食し、猛毒で即死したため未完となっている。
- 『アルゴニアン報告 1巻~4巻』
第三紀398年に帝国のデクマス・スコッティが建設会社の先任書記としてブラックマーシュ地方を訪れ、癖の強すぎる大自然を前に苦心しながらも各地を見て回った際の報告書。
…最終的に、帝国が全力を挙げて構築した道路の全てが沼に飲み込まれて崩壊するさまを目の当たりにしたことで方針を変え、大規模で利益を生むような農場建設は諦めて地方の発展に勤しんだ。
関連タグ
アルゴニアン 爬虫類の姿の種族。無表情だけどどこかかわいい。
シロディール地方 大陸中央部にある、インペリアルたちの帝国がある地方。
モロウィンド地方 大陸北東部にある、ダンマーたちの暮らす火山地帯の国。
アカヴィリ 東の海の果てにあるとされる蛇人の国。