「ウルフリックに死を!王殺しの悪党!」(吟遊詩人の歌『侵略の時代』より)
「ウルフリック万歳!我らが上級王!」(吟遊詩人の歌『迫害の時代』より)
概要
CV:乃村健次(※推定。「その他」の項を参照)
ウルフリック・ストームクロークとは、『スカイリム』のキャラクター。
スカイリムのホールド(行政区分)の一つ、イーストマーチを統治する首長(ヤール)。そして反帝国軍である「ストームクローク」の指導者である。拠点は首都ウィンドヘルム。
罠によって帝国軍に捕縛された後、処刑のためヘルゲンに護送されている彼とそれの巻き添えで捕縛された主人公が荷車の中で顔を合わせるのがskyrimのオープニングとなる。
この時はシャウト対策のためか、前手の拘束の他に猿轡を噛ませられていた。
その後アルドゥインの襲撃に紛れて脱出し、ウィンドヘルムに帰還。本格的に帝国との対決姿勢を強めていく。
強力なノルドの戦士で、10年もの過酷な修行の末「スゥーム」ことシャウトを「揺るぎなき力」「武装解除」2つも会得している。
プレイヤーから見ると「は?」という感じだが、ドラゴン語を見聞きしただけでシャウトを取得できるのはアカトシュの祝福あるドヴァキンの特権。
仮に才能が有っても1つのシャウト(声の力)を学ぶのには長い年数を要するのが通例である。
そしてウルフリックは、少年時代にグレイビアードにスカウトされた紛れもない声の「神童」である。
帝国とアルドメリ自治領との間で結ばれた「白金協定」によるタロス信仰禁止および迫害が続く状況を憂いて帝国に反発。最も帝国の影響が強いホールド、スカイリムの首都であるソリチュードに行き、全首長の頂点に立つ上級王(ハイキング)トリグを殺害した。
これがきっかけでスカイリムは内戦状態へと突入したため、その行動には賛否両論がある。
英雄か逆賊か
冒頭に引用されたように、吟遊詩人の歌でも、地域によってその描かれ方は正反対である。
ソリチュードを始めとした帝国側を支持するノルド(帝国派)の間では、野心の為に上級王を弑逆しスカイリム内戦を起こした逆賊と見なされている。
しかし逆に、帝国がサルモールに従属してスカイリムを見捨てると疑っているノルド(ストームクローク派)の間では、残された唯一の希望として、英雄もしくは真の上級王と見なされている。
トリグの殺害についても、ストームクローク派からは「ノルドの慣習にのっとった一対一の戦い」であるとしており、逆に帝国派からは「上級王を殺害して逃走した殺人者」という評価をしている。
ウィンドヘルムでの治政は、徹底したノルド至上主義。
一応町の中には他の種族もいるにはいるが、ノルドと比較すると生活・労働・居住などあらゆる面で冷遇されている。
モロウウィンドからの難民であるダークエルフ(ダンマー)は「灰色地区」と呼ばれるスラムに押し込められ、アルゴニアンに至っては町の中に入る事すら許されず、安い賃金で港湾での仕事に従事させられている。
サイドクエストである帝国VSストームクロークの「内戦」クエストにおいては、彼に忠誠を誓い帝国をスカイリムから追い出すか、帝国に忠誠を誓い彼を反逆者として倒すかを選ぶこととなる。
ストームクロークは主に、長らくスカイリムを統治してきたノルドの権力の低下やタロス信仰の禁止といった事象に反発して反乱に加わった者で構成されており、ウルフリックはスカイリム(におけるノルド)やタロス信者の希望として扱われている。一方で支持者でない者たちからは「ウルフリックは自分本意である」と評されている。
実際のところ、ノルドの感情に訴える方法でストームクロークの人員を集めてノルド至上主義を隠そうともせず、再会したドヴァキンに以前合ったことがあると言われた際も「そうだったか…?」や「ああ、そういえば」と自分たちの巻き添えで処刑されかけた上に馬車にも同乗した相手をあまり覚えてなさそうな反応をする。
こういった特徴は、敵対する帝国軍を指揮するテュリウス将軍とは対照的であり、将軍は感情より公務優先の立ち振舞でありつつも異民族たるノルドを理解しようとし、数いる死刑囚の一人として一瞬見ただけのドヴァキンを思い出して「収監は不当であった」と認めるなど正反対である。
最期
少なくとも内戦クエストを帝国ルートで進めて彼が死亡した場合は
神様に「ノルド的な英雄」と認められソブンガルデ(ノルド戦士にとって二重の意味での天国であり、要はヴァルハラ)に招かれる。
該当ルート通過後にメインクエストを進めてソブンガルデに突入すると彼と再会することができ、ラスボスを倒した暁には生前のしがらみを捨ててその偉業を称賛してくれる。
ウルフリック側につくと最後まで生き残りサルモールとの戦争に備える意志を見せる。
ウルフリックの本当の戦いはこれからだ!…が、ここは苛酷なタムリエル大陸。
晩節を汚した英雄は枚挙に暇がなく、デイドラと契約し死後彼らの領域に送られる者や、成仏できずアンデッドとなって墓地をさまよい続ける者も多い。
「逆賊として死ぬもソブンガルデに召し上げられた」という方が幸せだった展開も十分ありうる怖い世界なのである。
その他
- 上級王トリグの妻であるエリシフ首長によると、ウルフリックがトリグを殺した理由として「臆病者が権力を欲しがったために引き起こしたこと」と酷評している。
- 宮廷魔術師であるシビル・ステントールによると、「スカイリムの独立を訴えてきたウルフリックはトリグから尊敬の念を持たれていた」と発言しており、もしウルフリックがスカイリム独立のために共に立ち上がる事を直接呼びかけていたら(トリグは)応じていたかもしれないとしている。
- 衛兵たちの噂話として「上級王トリグをシャウトでバラバラにした」という話をしていることがあるが、ウルフリック本人いわく「フスロダ → 剣でブスリ」しただけらしい。ただソブンガルデにいるトリグは「あいつのシャウトでソブンガルデ送りにされた」的な事を言っているため、最終的にどっちが正しいのかは不明なままである(一方ドラゴンボーンはDLC「Dragonborn」において本当に一発で相手を灰にする力を手に入れてたりしている)。
- 日本のネットではしばしば西尾、もしくはウルフリック西尾という愛称で親しまれる。吟遊詩人が『侵略の時代』日本語版を歌うと、上述引用歌詞が「ウルフリック西尾」という空耳にも聞こえるからである。コメント可能な動画では、サビの該当部分で一斉にウルフリック西尾コールがかかる。その名を称え飲み歌おう。
- 声優については、本人TwitterにてSkyrimへの出演は明言されているが、該当する役どころについては明言されていない。