概要
ロシア人(ロシアじん、ロシア語:Русские)は、東スラブ人に属する民族。ロシアとヨーロッパで最大の民族であり、ウクライナ・カザフスタン・アメリカ・ドイツ・その他の国には大規模なロシア人のコミュニティがある。日本語で言うところのロシア人は、ロシア語でロシア民族はルースキエ(русские)・ロシア国民はラスィヤーニェ(россияне)という風に明確に区別されている。
概説
民族
ロシア民族は言語的にはスラブ系(ロシア語)であるが、血統的にはフィン・ウゴル系原住民との混血が激しい。他にゲルマン人・ユダヤ人・グルジア人など様々な民族の血が入っており、テュルク系・モンゴル系黄色人種との混血によってアジア的な風貌を持つものまでいる。
人種
ロシア人は肌が白く髪の色素が薄いというイメージがあるが、スラブ人では金髪は少ない。ロシア人は他のスラブ人に比べてゲルマン人やフィン・ウゴル系の血がかなり入っているので(特に北西部では)生まれつきの金髪の人もそこそこ居るが、黒髪や暗めの茶髪の人が大多数である。また幼少時代は金髪でも、成長するにつれて濃い髪色になってしまう人も多い。
ジェンダー
歴史
1917年11月にボリシェヴィキによるロシア革命が終結し、同月に成立したソビエト政権によって男女平等が確立され、憲法で女性に経済・国家・文化・社会・政治のあらゆる分野で男性と同等の権利を付与する事が規定された。2007年1月にウラジーミル・プーチン政権の2期目で母親資本が施行され、低迷する出生率を回復させたこの制度が働く女性の大きな支えになっている。
ビジネス
ロシアはビジネスでの女性リーダーの数が3年連続で安定の首位を維持しており、その数は47パーセントとなった。ロシアはビジネスの世界でリーダーの地位に就く女性の数だけで無く、国家権力に於ける女性の数でも古くから安定的に世界の首位を守ってきており、その72パーセントを女性が占めているという。2017年3月時点の統計ではロシアでジェンダー平等が日常的である事が示され、ビジネスでの女性リーダーは常に増加を続けている一方で、積極的にジェンダー平等に取り組んでいるアメリカではビジネスでの女性リーダーは僅か22パーセントに過ぎなかった。
医療
1993年12月に施行された憲法で規定され、ロシア国籍を有する全ての国民は無料で医療を受ける権利を有する。ロシアでは全ての国民が強制加入医療保険を持っており、区に設置されている国立の医療機関(クリニックや総合病院)では無料で医療サービスを受けられ、区の医療機関から無料で医者を自宅まで呼べる。患者が深刻な状態(風邪など)では無くても、自分で病院まで行けない場合はこのサービスを利用できるだけで無く、症状が深刻な場合は救急車も呼べる。
教育
ロシアの教育は教育・科学省が所管していたが、2018年5月からは教育省(初等・中等教育)と科学・高等教育省(科学アカデミー・高等教育)に分割され、ロシア国民は憲法第43条の規定で一般教育を義務的に無償で受ける権利を有する。なお具体的な事についてはこちらを参照する。
創作物におけるロシア人のイメージ
創作物におけるロシア人のイメージには次のようなものがあるが、往々にして現実のロシア人像とはかけ離れている。2022年2月に開戦したロシア・ウクライナ戦争の影響でロシアに関する話題がデリケートになっており、創作上のロシア出身者と下記の創作物に於けるロシア人のイメージに頼ったキャラクターに対して忌避感が生じている。
- 体格が良い赤ら顔の男性・細身で色白の女性
創作物のロシア人男性は筋骨隆々(後述のサンボとも関係)で顔が赤く、逆に女性は細身で色白な美人として描かれる事が多い。現実のロシア人は混血が激しいので体格は多様で、これと言った特徴は見出しにくい。現実のロシア人も色白の人が大多数で、日に当たるとすぐに肌が赤くなってしまう人も多いが、テュルク系やコーカサス系の血を引いている人はやや肌の色が濃い。小麦色の肌に対する憧れがある事から、特に裕福な階層では念入りに肌を焼いている人も一定数居る。
- 寒さに関連した体質・ファッション
寒冷な気候の地域出身ということで、寒さに強い(あるいは暑さに弱い)体質であったり、冬らしいファッション(ロシア帽・毛皮・ファー・コート・手袋)をしている事が多い。実際にはロシアにも温暖な地方があるし、モスクワのような寒冷地でも夏はかなり暑くなる。
- 銀髪
雪や氷を連想させるためか、銀髪ないし白髪で描かれる。しかしプラチナブロンドの髪が多いのは北欧系のゲルマン人やフィンランド人などであって、現実のロシア人では非常に少ない。ただし欧米人と同じく生まれつきの髪色が濃いのに、明るい髪色に染める人も少なからず居る。
- 格闘技
- コサックダンス(ホパーク)
ウクライナの伝統舞踊・コサックダンスを踊れるが、日本人にはロシア人とウクライナ人の区別がついていない人が多い。
- 酒に強い(酒好き)
酒に強くてウォッカを好むが、ソ連後期・崩壊からの混乱に伴うアルコール依存症の蔓延による社会不安はロシア人にとって強烈なトラウマとなっている。政府による強力なアルコール流通規制などでロシア人の酒量は激減し、日本人と比べて若干多い程度となっている。現在のロシアでは酒はお祝い事などで飲むという向きが強く(その時に大量に飲む)、日本人のように夜な夜な晩酌をする方がロシア人の感覚からすればアルコール依存症と言うべき振る舞いに見えるらしい。
関連タグ
オロス族:ロシア系中国人。ロシア革命の時逃げた白系ロシア人の末裔もいる。
イリヤ・イリューヒン:ブルガリア出身という設定のキャラクターだが、コミカライズ2話のみロシアからの留学生と表記されていた為、ロシア・ウクライナ戦争の影響で設定が変更されたキャラクターの例として挙げられやすい。
ヴィクトル・ニキフォロフ:ロシア出身で作中最高のフィギュアスケート選手という設定のキャラクターだが、彼が出演する作品の劇場版が2019年9月に公開が延期され、2024年4月に制作の中止が発表された。