人物
西園寺家の令嬢。
見目麗しく社交界の花形として誰もが見惚れる程の可憐な美貌を持ち、また霊力がある。
それゆえに白薔薇と謳われており、「皇都一の美女」だと自他ともに認めている。
令嬢らしくお淑やかに振る舞っているが蝶よ花よと甘やかされて育てられた為に本性は強欲でかつ傲慢であり、白蓮寺家の人間と大差ない人間性をしている。
元は紅椿夜行の婚約者であったが、夜行の特異体質である「吸血」に怯え、それゆえに縁談は破談となり、今は彼の兄である鷹夜と再婚しているが・・・・・・・・・。
女の情念(まだ原作を読んでいない方は注意。)
「やっぱりわたくし、夜行様の方がいい・・・・っ」
夜行の吸血体質を嫌悪し、破談となったが、夜行を心の奥底ではまだ好いていた。
(漫画版では夜行に怯えている描写やその後に朱鷺子に縋りついている描写もされていることからおそらく彼女の思惑で夜行と破談し、鷹夜と婚約を結び直したと思われる。)
夜会にて巨大な妖に餌として襲われそうになった際、討伐のために出動した夜行に偶然に再開し助けられる。(その直後夜行は元婚約者であるしのぶを見て動揺していた。)
救出後、従兄である綾小路真澄に鷹夜との縁談を破談にし、夜行ともう一度結婚したいと訴える。
(真澄は唐突な発言に驚きを隠していなかったがそれ以前に夜行と菜々緒が既に婚姻関係であることを知っていた人物である。)
そして、先日の夜会での騒動の事情聴取を受けた後に夜行に公然とアピールしようと陰陽寮の一室を訪れたことで彼の婚約者である白蓮寺菜々緒と鉢合わせてしまう。
(斎園寺家は陰陽寮に多額の資金提供しているため、夜行たちが下手に扱えないほどの大きな影響力を持っているが紅椿家との婚約を破談した身で本部に出入りするのはなかなかである…。)
その場にいた陰陽寮の面々もうんざりするほどの身勝手な言動や振る舞い(菜々緒を侮辱するような発言や机の上に置かれていた菜々緒の差し入れの握り飯を押し退けて落とそうとして自分で作ってもいない高級弁当を差し出してきた)をしたことに痺れを切らした夜行から菜々緒を「妻」 と紹介される。
夜行から「菜々緒以外娶る気がない」と言われてもなお引き下がることはなく、「自分を娶ることは夜行に利がある」、「五家落ちした白蓮寺家の娘より価値がある」と笑みを浮かべながら話している姿を見た夜行からは"あまりの話の通じなさ"から母親の朱鷺子と話しているようだと呆れられている始末である。
(前皇帝の姪で皇家出身である朱鷺子へさえも「紅椿家(子爵家)ですら自由にできていない」、「その程度で公爵様(しのぶの父)に楯突けると思って?」などと侮辱した発言をしている。)
ここから夜行の「妻」である菜々緒に対して徐々に黒い感情をむき出しにし始め、暴走していくことになる。
その後、皇都の病院に通院するために陰陽寮を後にして馬車で移動していた菜々緒の前に待ち構えていたかのように再び姿を表した。
夜行から命じられて警戒をしていた後鬼が正式に菜々緒を紹介しつつも「夜行と菜々緒は既に"結納"を済ましている」、「菜々緒への用件は夜行を通すように」と牽制をしながら告げてきたことに対して従者の武井が逆ギレを起こして暴言を吐き始めたのを静止すると"菜々緒の実家を確めて話がしたかった"と弁明し、改めて自己紹介をした。
(だが、この時に父親の公爵が大蔵大臣に就任したことを話していたことから菜々緒に対して遠回しにマウントを取っていると考えられる…。)
そして菜々緒が警戒する中で自ら近づいて行き、彼女の首筋の傷を見ると
「あなた"も"夜行様に血を捧げたのですね」
と問いかけ「夜行様に強く求められたことがありますの」と悦に入った表情をしながら赤裸々に語り始めた。(だが、上述されている通り過去に夜行の吸血行為に対して怯えており、また別の意味としても捉えられる"強く求められた"というのは彼女の思い込みである。)
そして鷹夜と朱鷺子に元に訪れると彼ら対して婚約破棄することを告げた。(これで婚約破棄は二回目である。)
そもそも鷹夜からも「話が全然合わない」と酷評されていたが、彼女自身も鷹夜に対して関心が無かった。
鷹夜と婚約破棄したことで再び斎園寺家から、夜行との縁談を申し出ていたが既に菜々緒を気に入り、一家の妻として認めていた紅椿夜一郎からは認められず、拒否されてしまっている。
夜行を手に入れるために斎園寺家の権力を使って夜行を自分直属の護衛にする。
また、夜行と菜々緒が婚姻関係であることが公然とされていないことを良いことに再び妖に襲われた際に夜行に救出されている状況を利用してスクープ写真を取らせ、自分と夜行が婚約するという事実無根のスキャンダル記事が書かれてる新聞を社会に出回らせて既成事実を作ろうとしたりと浅ましい行為を重ねていた。
さらにある時には胸元をはだけさせながら吸血行為を夜行に迫り、その場に居合わせてしまった菜々緒に精神的苦痛を与えようとしたが菜々緒への誤解を解こうとした夜行から拒絶された上に「守ってほしいなら邪魔をするな」と告げられて放置されてしまっている。
そもそも夜行から好感度は彼の吸血体質を拒絶した時点で破綻しており、公爵令嬢としての一定の敬意は払われているものの、あまりにも身勝手で異常とも言えてしまう言動によって暁美同様に菜々緒の立場を脅かす存在でしかないと嫌悪感を抱かれてしまっていることに気づいてない可哀想な人物であると言える…。
夜行が一向に自分になびかないことに焦りを感じていた際に武井から笛を使い、妖を操って菜々緒を拉致して異国へ売り払うという提案をされたことで迷いながらも菜々緒を排除するために強行手段に手を出すことを考え始める。
事実無根の例のスキャンダル記事が書かれてる新聞が出回ると苦手な人物で見下している相手でもある祖母の綾小路香代が真澄を連れて茶会に乗り込んで来たことに心の中では困惑しつつも、彼女から今朝出た新聞について問われると無邪気に喜びながら答えた。
だが、その様子を見て呆れた香代から「痛々しい」と両断され、夜行を諦めるように警告されてしまう。
さらに人々がいる前で「紅椿家の妻にふさわしくない」と指摘されてもなお、菜々緒を「傷モノ」として見下し、嘲笑したことで彼女と親しい仲となっていた香代が激昂。
その言い争いによって夜行には既に菜々緒いう妻がいること、それと同時に菜々緒が「傷モノ」でもあることが公然となってしまった。
見栄を張ってまで嘘をつき、醜態を晒したことでその場にいた華族の人々から軽蔑の視線を向けられることになり、これまで「白薔薇」と讃えられていた華々しい立場が一変したのだった。
だがその後、武井との計画を実行することを決めると伯爵邸から隠し通路を使って脱出する。
その後、一般人がいる皇都の街中で話しかけてきた菜々緒と後鬼に対して敵意を剥き出し、夜行との結婚を妨げていると責めると笛を吹いて妖を呼んだ。
(菜々緒がしのぶを見かけた際に彼女の髪は乱れており、靴は脱げているという街中では異様な様子であったが警戒しながら話しかけた。)
当然、集まってきた妖に自身も捕まりそうになり、助けを求めたことで菜々緒が鷹夜からもらった籠目玉を使って小結界を展開し、彼女に守られる形となった。
笛を取り上げようとした菜々緒と揉み合いになり、夜行が自分だけを守らないことに腹を立て、彼を責めた。
この状況でも夜行を責めている様子から彼を心から愛しておらず、ただ自分の欲望を満たそうとしているあまりにも自己中心的な考えであることから菜々緒から夜行の花嫁にふさわしくないと断言されてしまう。
菜々緒を突飛ばし、籠目玉の結界から追い出して猩猩に襲わせるもそこへ夜行が現れ、猩猩を一瞬で倒されてしまった。
戦いが落ち着いた後、夜行から笛を使ってあやかしを呼び寄せたことを問いただされると共謀した武井のせいにしようとしたが夜行の冷淡な視線に恐怖を抱き、さらに彼から菜々緒を傷つけたことを決して許さないと厳しく非難された。
彼の強い否定からショックを受け、その場に崩れ落ちると最終的に真澄と陰陽寮の隊員たちによって連行された。
菜々緒を「傷モノ」として見下していたが本性が暴かれ、醜態をさらしたことでそれまで「白薔薇」と持て囃されていた社交界からは笑いの的として成り下がり、事実上「傷モノ」の令嬢となってしまったのだった…。
余談
- 鷹夜との婚約を破棄したことで彼女にとって二回目の婚約破棄となったことに読者からは"華族令嬢として大丈夫なのか…?"と将来を心配されていた。(もう手遅れではあるが。)
年齢は不明だが25歳である夜行とそれ以上の年齢であるのが確定している鷹夜の紅椿家の兄弟と釣り合いがとれる年齢であることは間違いないので少なくとも"行き遅れ"の年齢ではないのはたしかである。
(なお、作中のモデルとなっているであろう大正時代の女性の結婚法年齢は15歳からではあるが一般的には18歳から22歳が平均的な結婚年齢である。)
18歳である菜々緒よりも大人っぽく描かれているように見え、菜々緒のことを"白蓮寺家の女性"ではなく"白蓮寺のお嬢さん"や"娘"と呼んでいたことから菜々緒より年上である可能性が高い。
関連タグ
あせび:烏は主を選ばない(アニメ版)のメインヒロイン。こちらも異常であることを指摘され、好意を寄せている相手から拒絶されても自分が異常者であることに気づかなかった可哀想な人。