CV羊宮妃那
概要
『傷モノの花嫁』の主人公かつヒロイン。
18歳。(物語冒頭は14歳)。
生まれながら強大な〝陰の霊力〟の持ち主。
物語冒頭時点ではその霊力の高さを本家の人間に買われたことによって分家出身でありながら時期当主である白蓮寺麗人の許嫁に任命され、15歳になったら婚姻を結ぶ予定であった。
だが、麗人から貰った簪を無くし結界外の外に出たために猩猩に襲われ、その後額に妖印(×印)を刻まれたことにより周囲から『傷モノ』と呼ばれ迫害を受けることになり、麗人との許嫁も解消されて猿のお面を着けながら劣悪な生活を送り、周囲からの暴力と暴言に堪えながら日々をやり過ごしてきた。
そんな境遇の中で紅椿夜行と出会い、麗人と彼の妻になっていた従姉妹の白蓮寺暁美に言い掛かりをつけられて虐待を受けていた際に夜行と再会し、彼に見初められ、愛される幸福な生活を送ることになるのと同時にさまざまな困難に立ち向かうことになる。
人物
長くて真っ直ぐな黒髪を持っている。
14歳で猩猩に傷を付けられたことで夜行に見初められるまでのあいだの四年間は猿のお面を着けていたが素顔が美しい美少女に成長している。黒髪に黄金色の瞳に透き通る白い肌の持ち主。
その美しさは夜行の同僚である栗宮達雄や緑川蓮太郎が関心し、綾小路真澄が顔を赤くして動揺するほどである。(漫画版では分かりやすく描写されている)
さらに素顔を見た麗人が心を奪われて執着する一因となる。
(なお、暁美は「里一番の美人」と言われていたが四年間、菜々緒はお面を着けられた上に奴隷同然に扱われていたことから菜々緒を含めた評価ではない可能性が高く、「皇都一の美女」と言われている斎園寺しのぶは日常的に大勢の人々が出入りする夜会に参加するような華族の令嬢であり、実際に街中で菜々緒が彼女と対面していた際には華族の令嬢らしき女性たちから興味を持たれていたことから残念ながら彼女たちへの評価は当てに出来るものではない。)
だが、自分よりも幼い子供も含めた白蓮寺家の人々から奴隷のように扱われて日々、暴力を受けていたため顔以外の身体中の至るところに折檻で受けた傷や痣があり、十分な食事も摂れていなかったのかかなり痩せ細っている。
(番外編ではセミの抜け殻も食べられると言っていたことから山中で食料を確保していたと考えられる。)
そのような劣悪環境下で成長したのにもかかわらず奇跡的にも慈悲深い性格で他人を思いやることが出来る美女となった。
傷モノとして
猩猩に傷を付けられたことで麗人や暁美を始めとした白蓮寺家の人々や夜行の母親である紅椿朱鷺子から「傷モノ」と罵られ、憎悪の目を向けられるが翠天宮家の当主で医者でもある翠天宮英世はそのような考え方は「迷信を信じる時代遅れ」であると断言している。
また、妖の血で純粋な血が穢れるという、妄執に捕らわれている白蓮寺の村に対し呆れている。
(朱鷺子は夜行の吸血体質に怯えていることから恐怖による先入観や実家の皇家の影響が強いだけだと思われる。)
菜々緒から見た周囲との関係
白蓮寺暁美との関係
従姉妹であり幼少期の頃は暁美を慕っていたが、傷モノとなった以降、姉同然のように慕い優しかった暁美から手酷い暴力を日常的に振るわれ、さらには食い扶持を与えてあげるという名目で朝餉の支度を任されるなど、主従関係のような立場になっており、菜々緒にとっては酷くトラウマを与えてきた人間の一人とされている。
白蓮寺麗人との関係
元は婚約を結んでいたほどお互い相思相愛で一方的に溺愛されていたが猩猩に傷モノとされた後すぐさま「猿臭い」と言い放ち、縁談を破断された。正妻として迎えた暁美と共に暴力を振るわれる。
破談となった以降は麗人への慕う感情は失せ、代わりに辛い現実からいつでも逃げることができるようにかつて貰った簪を肌身隠さず持っている。だがこの後から麗人に再び狙われることとなる。
実の家族
傷を付けられて以降、実の家族からも距離を置かれていた。(白蓮寺家から離れたところで暮らすことが決められた際に父親だけが時々お饅頭や必要なモノを持って訪ねてきて菜々緒に庇ってやりたいが庇えば一家諸共爪弾きにされてしまう為と言い含めて、訪ねに来ることはなく、菜々緒が夜行に娶られて屋敷を出る際に遠くから、父親は菜々緒に対し謝罪と申し訳ないという気持ちで見送った。
なお、母親は菜々緒が傷モノとなった以降は存在をまるでなかったかのように無関心である。
また、花嫁修業を相当叩きこまされていたと菜々緒が口にしていたことから麗人に娶られなかった菜々緒に相当な期待をかけていた説が高い。)
料理の腕は高く、さらに霊力が強いことから夜行が娶る決め手にもなっている。
(暁美から妻の仕事であった料理を代わりに作ることを強要されるほどであった。)
夜行に娶られたことで奴隷同然のような生活を送っていた村から解放されて皇都での生活を始めることになり、世間知らずな面が多く目立っていたが徐々に慣れ始めている。
白蓮寺家との決別(ネタバレ注意)
ある日、皇都の病院で額の傷の診察を受けた後に琴美の診察で病院を訪れていた暁美と麗人と再会してしまう。
暁美から夜行に厚遇されていることを妬まれて侮辱をされるが態度を一変させた麗人から庇われ、琴美のことで感謝される。
だが、恐怖によって彼から異様な目で見つめられていることに気づかずに「夜行と上手くいっている」と話すと麗人の様子がおかしいことに気づくも遅く、嫉妬に駆られた麗人に無理やり着物をはだけさせられて夜行から吸血された跡を確認されるという乱暴をされたことに恐怖に怯え、悲鳴を上げながら抵抗する。
悲鳴を聞きつけて駆けつけた夜行が麗人に激怒し、一触即発の空気になるが麗人は悪びれることもなく、贈った簪を持っているから自分はまだ想われていると主張し、夜行も戸惑いながらも鵜呑みにしてしまう。
贈られた簪を未だに持っていたことは彼に大きな誤解を与えていたのだった。
夜行とは簪の一件後にギクシャクしてしまい、さらに婚儀を延期されたという屋敷の女中達の噂が耳に入ったことで落ち込み、離縁されるもの時間の問題だと諦観するようになってしまう。
その後も食事も摂らず、窓辺で黄昏ていた際に様子を案じた夜行から白蓮寺から取り引きを持ちかけられたと明かされ、麗人のほうがいいならと告げられると即座に否定し、「夜行といるほうが幸せ」だと断言する。
勇気を出して簪を持っていた本当の理由を打ち明け、彼の目の前で簪を喉に刺そうとするが自分が大きな誤解をしたことで傷を抉ってしまったと夜行から謝罪をされたことで和解し、絆を深める一件となった。
その後、暁美が白蓮寺家での悪事が麗人にバレたことで「正妻」から「側室」に降格することが決まり、己の立場に危機感を持った彼女からの一方的な逆恨みによって紅椿家の屋敷に押しかけられてしまう。
(遠目であったため暁美が持っていた麻袋を琴美だと思い込んでしまい、慈悲深い性格を逆手に取られて騙される形で屋敷に招き入れてしまった。また、その時に白蓮寺の屋敷にいた麗人は暁美が暴走するのを分かっていたかのような口振りであった。)
暁美が自身の目の前で夜行に「正妻」にしてもらおうと色仕掛けし、世継ぎを産んでもいいと宣言する姿を見て不安になってしまうが夜行が彼女の愚かな言動を嘲笑った上で己の意見を求められると自分の思いを伝え、夜行とともに暁美を拒否する。
さらに夜行から暁美が自身を陥れた張本人であり、悪意がある上での犯行だったことを明かされ驚愕する。
逆上した暁美に簪で暴行されそうになったが夜行によって阻止され、暁美は夜行の父親である紅椿夜一郎によって連行された。
後日、夜一郎と改めて対面した際に婚儀が延期になったのは皇家の婚儀が行われることでも有名な陰陽大神宮で行うことになったということを明かされた。
(この時、陰陽大神宮の社家である黒条家に嫁いだ夜行の上の妹の紅椿小夜子が二人の式が行えるように協力していることが明かされている。)
その後、陰陽寮を訪れた際に麗人の策略によって迷い込み、とある一室に押し込められて愛情を告白される。
(実際は付けられていたらしく菜々緒はさらに嫌悪を向けた。)
麗人から今までの所業は猿面にかけられていた呪術のせいだと弁明をされ、その原因を暁美に転嫁し被害者面をし猿面を着ける前から「猿臭い」と罵っていたこと、また自分に惚れ直しているのは化粧で傷を隠し妖印の匂いを消しているからだとを指摘し、当然のごとく、拒絶した。
だが諦めきれない麗人に押し倒され、強行手段として家系の呪術を使って4年間の記憶を消そうと目論み自分の呪いであった猿面を無理やり被せられ記憶を消されそうになる。
夜行との出会いと恋心を失いたくないと意識朦朧の末に呪術の暗示に没頭している麗人に隙を見て持っていた簪を麗人に突き刺すなど反撃をし、自分は夜行の妻だと宣言と同時に決別を言い切った。
麗人が自分に逆らったとして菜々緒に手を上げようとした瞬間に現れた夜行によって制裁を下されて拘束された。
その際まだ自分を好いているとほざく麗人に対し呆れたと同時に怒りを込み上げた。
「自分勝手なこと言わないで!勘違いしないで!私は若様のことなんて何とも思ってない!むしろ、猛烈に気持ち悪い・・・・・・っ。ひたすらに大っっ嫌いよ!」
「私がお慕いするのは夜行様だけ。私が愛しているのは夜行様だけ。夜行様は出会ってから一度も・・・・・私を”傷モノ”だなんて呼ばなかったもの。」
「私には、夜行様がいてくれれば、それでいい。」
「菜々緒(私の)の人生に、若様(貴方は)はいらない。」
そう宣言するのだった。
その後日、夜行とともに翠天宮幸臣から暁美と麗人を始めとした白蓮寺家の処遇の報告を受け、二人の娘である琴美を案じるも幸臣の叔母である藤堂マリアによって引き取られたことを聞かされて安堵している。
だが、新章にて夜行の元許嫁だった斎園寺しのぶが再び夜行に恋慕を抱いたことから、彼女から邪魔者と逆恨みされる。夜行を自分の物にしようと、侯爵令嬢としての権力と価値のある美貌を持つしのぶに対し卑屈に感じてしまうが、後鬼や夜行の兄、紅椿鷹夜から激励を貰い自信を取り戻す。