概要
1990年代初頭に陸上自衛隊に採用された人員輸送用自動車である。開発・納入はトヨタ自動車、製造は日野自動車(羽村工場)が担当。73式中型トラックのシャーシを流用して開発された。
防衛省での略称はハイ・モビリティ・ビークルを略して「HMV」、広報用の愛称は「疾風(はやて)」。自衛隊内での愛称は「高機(コウキ)」。米軍のハンヴィーに似ていたことから、採用初期は「ジャパニーズ・ハマー」「ジャンヴィー」とも呼ばれていた。
価格は一両辺り約700万円弱で、現在では陸自のほとんどの普通科部隊に配備されている。基本型と派生型を含めてこれまでの製造台数は累計3,000両を超え、現在も調達が続いている。自衛隊専用で市販はされていないが、2002年まで民生仕様のメガクルーザーが生産されていた(しかしメガクルーザーの購入者もほとんどが消防や警察、海上・航空自衛隊、JAFなどの官組織だった模様)。
4104ccの15B-FTE型ディーゼルエンジン(ダイナ/トヨエースにも搭載されているもの)を搭載。73式中型トラック同様トランスミッションは4速ATのみ、エアコンを装備しない(メガクルーザーのユニットを流用し後付装備した個体はある)。乗員数は10名、うち8名は後部座席。全長は4.91mで全長・全幅とも2mを超える大きさであるが(ハンヴィーより大きい)、4WSを採用しているため最小回転半径5.6mとサイズの割には小回りがきき取り回しは良い。
ブリヂストン製の37インチという巨大な専用タイヤを装着し、最低地上高は420mmもあり、悪路走破性は非常に優れている。なおこのタイヤはオプションで空気圧を調整でき、パンクしてもしばらく走れるランフラットタイヤである。