グロデーズ
ぐろでーず
概要
デザインは松本零士(原案)、板橋克己。過去作では多くのデザイン原案を出してきた松本氏だが、『新たなる旅立ち』以降は自ら直接原案を描くことは減っており、本艦は本作でほぼ唯一の松本原案デザインのメカとなっている。
全長は380mあり、265.8mのヤマトと比べてかなりの大型。劇中ではヘビー級と畏れられている。他の戦闘艦が円盤型なのに対して、本艦は輸送艦などと同じイモムシ型であり、やや異質(メタ的に言えば、プレアデス等とはデザイン原案担当が異なるため)。
艦首に決戦兵器である無限ベータ砲を2門格納している。
劇中では未来の地球と自称する暗黒星団帝国の母星においてヤマト乗組員が見せられた歴史映像の中でヤマトを撃沈しており、聖総統スカルダートはこれがヤマト運命だとして降伏を迫った。それでもヤマトが地球へ帰還しようとすると、映像の通りに襲い掛かり、5隻がかりで集中砲火を浴びせて一方的に蹂躙。ヤマト乗組員も運命には逆らえないのかと一度は絶望しかけるが、ここで暗黒星団帝国が未来の地球であるという話が真赤な嘘であることが発覚。ヤマトは敵母星へ反転することになり、グロデーズ艦隊は逃げるヤマトを追走する格好になる。
敵母星近くまでヤマトが接近すると、グロデーズ艦隊はヤマトへの攻撃を中断して母星の援護に回るが、これによりヤマト側に新波動砲を発射するチャンスが生まれる。グロデーズ側は無限ベータ砲によってヤマトを撃沈しようとするが、5隻分の無限ベータ砲はヤマトの新波動砲にあっさりと呑み込まれ消失。そのまま新波動砲はグロデーズの一隻に命中し、波動エネルギーと暗黒星団帝国のエネルギーの反応による大爆発が他の艦にも誘爆してしまい、グロデーズは全滅する。それに留まらず、発生した爆発のエネルギーは敵母星まで降り注いでその表面を焼き払い、結果的に敵母星の本性を暴くことになった。
スカルダートが「心配無用。我が無限ベータ砲を見るがいい。」と自信満々に言って物々しく出てきた無限ベータ砲だったが、蓋を開けてみればヤマトの新波動砲の足元にも及ばない代物であり、直前までのグロデーズの強敵感と最後の呆気なさの断崖絶壁のような落差は、ネタ扱いされるシーンが多い『永遠に』の中でも特にネタにされやすい。
余談だが、本艦の名を冠した「巨大戦艦グロデーズ」というBGMは本作でも屈指の人気曲である。
プレイステーション版
プレイステーション2で発売された『永遠に』のゲーム化作品『二重銀河の崩壊』で登場。
正式名称は「無限β砲搭載黒色戦艦級グロテーズ」。名前が何故か「グロテーズ」という風に微妙に変わっている。なお、無限ベータ砲も「無限β砲」と微妙に表記が変更。
デザインは宮武一貴によってアレンジされており、丸みがあった原作に比べてシャープな形状になっている。
ちなみに本シリーズの暗黒星団帝国のメカはグロデーズの意匠を取り入れたアレンジがなされており、デザインに統一感が持たせられている。
無限β砲は、前作・前々作でラスボスとしてヤマトを苦しめた自動惑星ゴルバの主砲である「α砲」の後継兵器というポジションになった。威力も波動砲に匹敵すると言われている。
原作同様、最終盤で登場。中盤まで「α砲」の後継として「β砲」の開発が進められていることが劇中で度々語られ、満を持しての登場となる。ゲームオリジナルキャラであるサーグラス准将が他の艦から移乗する形で乗艦し、同作内で度々矛を交えたヤマトとの最終決戦に臨む。
原作と異なり1隻だけであり(ただし最後のムービーシーンでは何故か4隻いる)、ステージ奥から波動砲と同じマップ兵器である無限β砲を連発してくる難敵。さらに攻撃が一切通らない頑強な装甲を持ち、ゲーム内でもダメージは与えられない。
本艦の登場ステージでは、連発される無限β砲を掻い潜りながらグロデーズ以外を全滅させなければならず、当時の攻略本でも囮として味方をいくつか犠牲することを推奨されるなど、終盤に相応しい難易度となっている(しかもこのステージでのとある艦の存亡がエンディング分岐に関わる)。
最後は無限β砲でヤマトの波動砲と直接対決を行うが、2つの砲撃が真正面からぶつかり合った結果、無限β砲は射線をわずかに逸らされヤマトの第三艦橋を破壊するに留まったのに対し、最大出力で放たれた波動砲はそのまま直進し、グロテーズに命中。サーグラスもろともグロテーズは消滅することとなった。
原作と違って最後まで強敵感は崩しておらず、本作の艦隊戦ユニットとしては事実上のラスボスポジションともいえる(これ以降にも2つステージがあるが、1つはアルフォンとの白兵戦、もう1つはミサイル等を適宜処理しながらバリア発生装置を破壊するという内容である)。
リメイク版
『永遠に』のリメイク版『ヤマトよ永遠に_REBEL3199』にて、デザリアムの戦艦として登場する。デザインは明貴美加。
他の艦と形状が大きく異なる理由としては、前作『宇宙戦艦ヤマト2205』でのヤマト・ガミラス艦隊との戦闘データを基に新規開発されたためとされている。
本作では第3話という序盤から登場し、艦長としてランベル少佐という新キャラクターも設定されている。
本作ではスタッフから「ヤマトのライバル艦に育てたい」と述べられている。
スペック
- 艦級・艦種:グロデーズ級殲滅型戦艦
- 全長:444m
- 機関:位相機関
- 武装:
- 二連無限ベータ砲×1
- 三連装重核子ベータ砲塔×3
- 艦首魚雷発射管×6
- 艦尾魚雷発射管×6
- 舷側魚雷発射管×12
- 艦上部ミサイル発射管×6
- 艦底部ミサイル発射管×4
- 対空機銃×12
- その他内装兵装
- 艦載兵器:
本艦は『2205』でのヤマトとの接触にて得た知見を基に開発されているため、そのコンセプトは従来の艦と大きく異なる。そのコンセプトは有体に言えば「小型ゴルバ」。
本艦はゴルバと同等ともいえる機能を盛り込まれている。
位相変換装甲はゴルバ相当であり、波動砲の直撃にも耐えうるとされる。実際に劇中では(拡散波動砲の拡散したうちの一本とはいえ)直撃に無傷で耐える描写がある(PSゲーム版の艦を除けば艦船としてはシリーズ初の快挙)。
さらにゴルバ同様、可視光線を含む電磁波を相殺することで高度なステルス化を実現している(ヤマト側からは「透明艦」と呼称されている)。
次元潜航により敵を捕縛する「キャプチャーフィールド」も、ゴルバより小型だが装備。
一方、戦艦として見た場合も優れており、「積層型姿勢制御ユニット」を改良したものを両舷のパドル状の構造物に設置しており、その機動性はプレアデス改級も上回るとされ、劇中ではショックカノンを回避している(ヤマトのショックカノンを明確に回避した艦は『2199』第3話のクリピテラ級駆逐艦以来)。
艦首にはヤマトの波動砲を参考にし、移送デバイスに直結したエネルギーの発射装置「無限ベータ砲」を装備。艦首両舷に格納されている2本の砲身を露出させ、さらに艦首上部と両舷の角状のパーツも展開。角状パーツからのビームでフィールドを形成し、エネルギー球を作り出し、それを放射している(リメイク版火焔直撃砲みたいな感じ)。画面上では直撃だけでなく、その周囲の艦も纏めて薙ぎ払っている。
余談だが、明貴氏によると角状パーツからフィールドを形成する設定は、オリジナルでそこからビーム砲撃をしていたためその代わりとのこと。