概要
発祥は仏教と道教が伝来した5〜6世紀の飛鳥時代とされる。道教が持つ陰陽五行説の概念を軸に、陰陽説と密接な関係にある天文学・暦学・易学などの学問を付随させ、さらに神道・仏教・修験道・禁呪道に影響を受けたことで日本独自の思想・呪術体系として発展していった。それを専門とする者達を陰陽師と呼んだ。
主に自然界の変化を分析し、それが人間界に及ぼす影響を予測する事を主題とする。また災厄を避けるために神仏に通じていったことから、徐々に宗教的な要素も加わっていき、祭祀を管理・運営する技能も付加されていった。また仏教や神道が本来担っている『厄除け』の役割も任されていき、悪霊祓いや御霊奉神といった心霊対策も守備範囲に入っていく。
当初は漢文の読解に慣れた僧侶がその役割を担っていたが、奈良時代になって律令制が確立されて以降は陰陽寮が設立され、専門機関として発展を遂げていくことになる。
分野
星占術
天文学を用いて星の運行を観測してその並びや輝きの強さから災厄・瑞祥を予想する。また、暦の観測もこの分野に属する。
風水占術
陰陽五行説から地形を読み解き、その場所の吉兆を占う。都の建設など、土地に深くかかわることから陰陽道の主要分野ともなっている。
祭祀・祈祷
神霊を祀り、悪霊や魑魅魍魎を退ける。神道・仏教からの影響から生まれた分野であり、そのため祝詞と真言を状況に合わせて使い分けるという、常識で考えればありえない所作も存在する。ご利益がありそうなものはまず信望してみるという、神仏習合の観念が非常に色濃く出た思想でもある。