概要
一般的に「油圧」というと、油圧アクチュエータやそれを応用した機器、つまり「油圧で動く機械・製品」を指す事が多いが、本来の意味は読んで字のごとく「(機械)油の圧力」のことである。
ものすごく大雑把な原理
基本はパスカルの原理
油圧の基本はパスカルの原理で説明できる。
パスカルの原理とは、
- (密閉された)容器内に掛かる圧力は、単位面積(例えば1cm^3辺りに掛かる圧力)で見るとどこでも一定の数値になる
- 言い方を変えれば、面積が大きいほど受ける(合計の)圧力は大きくなる
という原理である。
で、具体的にはどうなっているの?
例えばここに以下の特徴を備えたU字型の管があるとする。
- 管の左側は右側より太くなっている(=断面積も太くなっている)
- 管の中は液体で満たされていて、尚且つ左右の液面には板が浮いている
ここで、左側の液面に浮いている板におもりを乗せると、当然重さで左の板=液面が下がる。そして、おもりの重さで押し出された液体は右の板(=液面)を押し上げる。
このとき、右の(断面積の小さい方の)板を押してやる、つまり液面を押し下げてやると、左の管から押し出された液体が押し戻されて左の液面が上昇する。
が、このときに右の板を押し下げるための力は左の板が(おもりから)受けている力より遥かに少なくて済む。
これは上に書いたパスカルの原理の「面積が大きいほど受ける(合計の)圧力は大きくなる」で説明できる。
要するに左の管の方が断面積が大きいので、受ける力の合計も大きくなる。
つまり、力が増幅されたと言える。
油圧機器はこれの応用であり、ものすごーく乱暴に言うと「でかいアクチュエータに油をしつこく送ってやれば、しょぼいポンプでも大きな力を発揮できるんじゃね?」という考えである。
油圧機器の構成
油圧機器はこれまたものすごく大雑把に言うと、「油を送り込む(油圧を生成する)ためのポンプ」と、「ポンプで生成された油圧を受け取って動くアクチュエータ」で構成されている。
このシンプルさ故、信頼性が高い。そして設計次第でとんでもない力を発揮できる。
アクチュエータ
油圧機器で実際に出力を行う部分。
- 油圧シリンダ
最も一般的な油圧アクチュエータの一つ。油圧機器と言ったら真っ先に思い浮かぶであろうもの。
シリンダーに油を送り込む(油圧を掛ける)ことによって直線方向に運動する。
重機から飛行機の補助翼、ダムの水門までありとあらゆる場面で使われている。
また、自動車のブレーキにも油圧シリンダの一種が使われている。
- 油圧モータ
乱暴に言うと「油圧で作動するタービン」。油圧を受け取って回転運動に変える。
構造的にはポンプとほぼ同じである(電気モータと発電機のような関係、とも言える)。
電気モータより小型でトルクが大きいが、ちと煩いのが玉に瑕。
JR北海道の新型特急気動車の発電機には、油圧モータが使用されている(メインエンジンで駆動されるポンプで油圧を生成し、発電機を油圧モータで回す)。
油圧で動くもの
関連タグ
キハ281系 キハ283系 キハ261系:油圧モータで稼働する発電機を使用する。
クラタス:重機の油圧アクチュエータを流用している。